俳優の池松壮亮が10日、都内で行われた主演映画『本心』（11月8日公開）完成披露舞台あいさつに登壇し、共演者に対して「何を考えているのか分からない」と悩ましい顔を浮かべていた。

　本作は、平野啓一郎氏の同名小説を、『月』や『舟を編む』などの石井裕也監督が映画化。今からさらにデジタル化が進み、“リアル”と“ヴァーチャル”の境界が曖昧になった少し先の将来を舞台に、亡くなった母の“本心”を知るためAIで彼女をよみがえらせることを選択する青年・石川朔也（池松）と、彼を取り巻く人間の“心”と“本質”に迫る革新的なヒューマンミステリー。

　この日は、池松のほか三吉彩花、水上恒司、妻夫木聡、田中裕子、石井監督も参加したが、池松は「みなさん、本当に本心が分からなかった」と言葉を漏らすと「三吉さんはスッとされていますが、本当にプロフェッショナルな方で、何を考えているのか分からない。水上くんも、軸はブレずにしっかりしていますが、（場を盛り上げていて）すごくピエロに見えるし……」と発言。

　しかし池松は「優れた俳優の方ほど本心が見えないんですよ」と、共演者が演技派俳優だったからゆえのことだと明かすと「田中さんに至っては、本心どころか何も分からなかった」と苦笑いを浮かべると、田中も「池松さんとはセリフ以外、ほとんど話せていないんです。話したい気持ちはあったのですが、何を話したらいいのか分からず、目があってもぎこちないんです」と名優同士だからこその距離感が、独特の世界観を作り出したようだ。

　また、作品タイトルにちなんで「最近本心を隠してしまった出来事」というお題でトークが展開すると、池松は「この間韓国に行ったのですが、どうしても『サムゲタン』が食べたいと思ってスタッフさんに言って、映画界のレジェンドなども訪れるお店に連れていってもらったのですが、料理が出てきて、実は僕が食べたかった料理がサムゲタンじゃなかったことに気づいたんです。でもそれが言えなくて『これが食べたかったんです』と本心を言えませんでした」というかわいらしいエピソードを披露していた。