“億り人”杉原杏璃、タワマンは投資目的でも「買わない」 月約10万円の生活費…意外な倹約ライフ

グラビアアイドルを出発点に、補正下着ブランドを展開する実業家としても活躍する杉原杏璃は、この道20年の投資家の顔を持つ。23歳の時に株式を始め、30歳を過ぎて“億り人”になった。今では不動産投資も順調で、資産形成術を伝える執筆・講演活動で多忙な日々を送る。そんな“億万長者ライフ”はイメージとは逆に、月約10万円程度の生活費で、倹約そのもの。「無駄な買い物はしない」がモットーだという。「こんなに投資のお仕事ばかりをするようになるとは。でも人生は何があるか分からないから楽しいですよ」。失敗を糧に資産を築き上げたサクセスストーリーとは。

杉原杏璃は投資のサクセスストーリーを歩んでいる【写真:かんき出版提供】
杉原杏璃は投資のサクセスストーリーを歩んでいる【写真:かんき出版提供】

「こんなに投資のお仕事ばかりをするようになるとは」 新たな“株主優待の師匠”との出会いも

 グラビアアイドルを出発点に、補正下着ブランドを展開する実業家としても活躍する杉原杏璃は、この道20年の投資家の顔を持つ。23歳の時に株式を始め、30歳を過ぎて“億り人”になった。今では不動産投資も順調で、資産形成術を伝える執筆・講演活動で多忙な日々を送る。そんな“億万長者ライフ”はイメージとは逆に、月約10万円程度の生活費で、倹約そのもの。「無駄な買い物はしない」がモットーだという。「こんなに投資のお仕事ばかりをするようになるとは。でも人生は何があるか分からないから楽しいですよ」。失敗を糧に資産を築き上げたサクセスストーリーとは。(取材・文=吉原知也)

 16歳でスカウトされて芸能界に入り、19歳で上京。ところが、オーディションとレッスンに忙殺され、仕事面で伸び悩んでいた。「何か他にお金を稼ぐ手段を見つけないと」。思い付いたのが、投資だった。23歳、ガラケーでネット証券に登録した。野球が大好きで、30万円の資金で東京ドームの株を買ったのが第一歩。時に痛手を負いつつも着実に資産を増やしていった。「株式は好きなところから買う。それが一番応援しやすいと思っています」。今でも、それが個別銘柄を選ぶ時の基準の1つになっている。

 株式投資を始めて5年で金融資産1000万円に。29歳の時にはキャッシュで実家に家を建てた。運用を軌道に乗せ、30歳を過ぎて、“億り人”となった。

 不動産投資に乗り出したのは、6年前。中古の大阪の区分マンションを約1400万円で購入したのがスタートだ。実際の入居者への対応などは管理会社が行うため、「私自身がやることは毎月の通帳を見るぐらいです」。それなりの元手は必要だが、安定した家賃収入が魅力だという。「株式投資と比べると、めちゃくちゃ簡単です。それに、資産のリスク分散の意味合いも強いです。例えば、コロナ禍では株価は大きく下がりましたが、不動産投資は何も響かなかったです。ある意味の支えになります。安定感のメリットがあると思います」。ちなみに、何かと注目されるタワーマンションについては、地震などの災害リスクを考慮すると、投資目的という点で見ても、「私は買わないでしょう」とのことだ。

 投資人生はけっして、すべてが順風満帆だったわけではない。株式投資を始めて3年で、リーマン・ショック(2008年)に見舞われ、大きな損失を被った。今年に入ってからも、購入当初の期待値までふるわなかったIT企業の個別株で損切りをしている。

「投資のよくある失敗みたいなことは、最近はそんなにしなくなりましたけど、私は『まだいけるまだいける』と思って持ち続ける傾向があります。感情がすごく入ってしまうタイプなんです。それで決めかねている間に利益がなくなって、下手したら損を抱えてしまう。『戻るかな』と何年も待ってしまうことがありました。そうなると、他に出てきたいい株が買えない。そんな悪循環の状況になってしまうことを経験して、ずるずる待たずに次の決算が出る前に売ろう、この銘柄は例えば15%の利益が出たら売却しようなど、マイルールを決めてなるべく感情を捨てて機械的に対応できるように考え方を切り替えました」と明かす。

 何十億円、何百億円の資産を持つ投資家と普段から交流している。投資のプロと接する中で感じるのが、「百発百中の人はいない」ということだ。「皆さんはすごくストイックに生活されていて、いかに投資のスキルを上げられるかに心血を注いで、その道を究められています。そんな皆さんであっても、損を出す失敗をされています。私自身も失敗から学んで成長してきました。勝率はよくて7~8割という感覚です。一般投資家の皆さんに向けては、ちょっと損切りしたからもうやめようではなく、長期の視点で1年を通してプラスの収支であればいいなといった考えで取り組むことが大事だと思います」と語る。

 そんなミラクル人生において、株はなくてはならない存在だ。「株の利益がなかったら、補正下着を作ることもなかったです。会社経営はものすごくお金がかかるので、その資金までは、きっと芸能活動だけでは捻出できなかったと思っています。株をやることによって、人生の選択肢や視野が広がったと感じています」。

 もともとは経済が大の苦手。「経済ニュースは全く見ないという人間でした」。それが、自分のお金を市場に投じるようになり、国内外の経済ニュースだけでなく、政治や国際情勢、自然災害など、多くの要素が株価に影響を及ぼすことを知った。「株をやることによって、世界の経済や社会情勢を学ぶようになりました。大人になっても勉強できるということはありがたいことですし、お金以外に得られる大切なものがある。そう思っています」と実感を込める。

「やっぱりいつまでも美しくいたい」新事業も構想

 意外なのが、これだけ財を成したのに、「物欲がない」という倹約ライフを送っていることだ。ぜいたく品に興味がなく、洋服は大好きなブランドがセールをやる時に、株主優待券を使ってまとめ買いすることが多い。それに、コンビニでお菓子は買わず、スーパーに足を運ぶ徹底ぶりだ。家賃を除けば、月の生活費は10万円ほどで済んでしまうという。

「衣食住の、衣と食には全然使っていません。女の子だったら今季の新作のワンピースが欲しい、ブランドバッグを持ちたいとか、おしゃれなところでご飯を食べたいと思うかもしれませんが、私にはそういう欲が全くありません。本当にお金を使わないんですよ。よく地元の広島のお友達に、『東京に住んでるのにすごくもったいない』と言われます。20数年東京に住んでいるのにほとんど知らないんです(笑)」。あっけらかんと話す。

 家にもあまり物を置かず、「無駄なくすっきり」した住空間が好み。ここ最近での高い買い物を聞くと、“住”にまつわる答えが返ってきた。「家も古くなってきたので、新しい家を1軒。車と家はキャッシュで買う派なのですが、今回はローンを組んでいます。家にはお金を惜しまないですが、でも別荘を買いたいとかそういう欲は全くありません」という。

 財テクで駆け上がった想定外の人生。「こんなに投資の仕事ばかりするとは思ってもいなくて、自分でもびっくりしています。でも人生とはそういうもので、何があるか分からないから楽しいです。自分に向いてるなと思うことを追求していくこと。それは、主婦の方でもサラリーマンの方でも皆さんにもできることだと思います。私は投資という思わぬ世界が広がりました。楽しみながら追求していると、いいことがあると思いますよ!」と笑顔を見せる。

 このほど、著書『マンガでよくわかる資産運用1年生 億り人杉原杏璃と一緒に』(かんき出版)を上梓。資産形成術の発信にも取り組んでいる。実業家としても、チャレンジの未来を描く。「補正下着以外の事業も考えています、やっぱりいつまでも美しくいたいので、体の中からきれいになれるような、何か新しい事業を生み出していきたいです」。

 新たな“師匠”との出会いも。株主優待で生活をする投資家として知られる桐谷広人さんだ。「桐谷さんは株主優待のスペシャリストで、70歳を過ぎてもガシガシ運用をされています。ああいうふうに楽しみながら、資産運用を一生続けていきたいです。桐谷さんにいろいろ教えていただいています」。そして、これからの投資生活を見据えて、「『みんなで楽しんで使える』投資の方法を学んで、自分自身が実践してやっていけたらなと思っています」と目を輝かせた。

□杉原杏璃(すぎはら・あんり)1982年、広島生まれ。グラビアタレントとして雑誌やバラエティー番組に数多く出演。2015年に補正下着ブランドを立ち上げ、大手通販チャンネルで大ヒット。投資本の執筆や投資セミナーの講師としても活躍の場を広げている。

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