52歳でアイドルになった元看護師、55歳で今度はミュージカルで二役挑戦「記憶力との闘いです」

全員40代以上のアイドルグループ・フォティプロの中原さくら(55)が、ミュージカルに出演することになった。今月21~23日、『空からの夢』(東京・渋谷区文化総合センター大和田『さくらホール』)で、施設の理事長と看護師の二役を演じる。52歳でアイドルになる夢を叶えた中原のさらなる挑戦。本番を直前に控えた本人に思いを聞いた。

ミュージカル『空からの夢』に出演する55歳アイドル・中原さくら【写真:ENCOUNT編集部】
ミュージカル『空からの夢』に出演する55歳アイドル・中原さくら【写真:ENCOUNT編集部】

つんく♂楽曲提供、全員40代以上グループのメンバー

 全員40代以上のアイドルグループ・フォティプロの中原さくら(55)が、ミュージカルに出演することになった。今月21~23日、『空からの夢』(東京・渋谷区文化総合センター大和田『さくらホール』)で、施設の理事長と看護師の二役を演じる。52歳でアイドルになる夢を叶えた中原のさらなる挑戦。本番を直前に控えた本人に思いを聞いた。(取材・文=白川ちひろ)。

 都内の稽古場。ダンスレッスンが休憩に入ると、薄化粧の中原が記者に気付いて手を振った。ENCOUNTは6月16日に配信した中原のインタビュー記事を配信。看護師だった中原が52歳にして、つんく♂が楽曲提供するアイドルグループ・フォティプロに加入したことを伝えたが、その反響を本人が身振り手振りで明かした。

「友人や劇団の仲間から『見たよ。すごいね』と声をかけてくれたり、他媒体の方からもインタビューの依頼があったりで、うれしい反響が続々でした。私がこの活動を始めた理由の一つは『年齢や性別に関係なく、皆がやりたいことをやって楽しめるようになれば』というメッセージを届けることなので、それが少しできているのかもと感じました」

 そして、中原は55歳の今、ミュージカル出演への準備を進めている。きっかけは、アイドル活動開始前に入った劇団ひまわり内のオーディションだった。かつては漫画『ガラスの仮面』の愛読者で、幼い頃から俳優業に憧れていた。すぐに申し込み、合格も手にした。実は同劇団に入団後、中原は舞台3作品に出演している。うち2作品がミュージカルだが、稽古が始まると、悪戦苦闘。特に「記憶力との闘い」が続いたという。

「ミュージカルは、セリフ、歌、ダンス、さらに段取りや立ち位置と全てを覚えないとなりませんから、とても大変です。私はダンスの振り付けを覚えるのが遅いので、いつも苦労しています」

『空からの夢』は、女子高生・みずきの「夢」の中を描いた作品。不思議な青年と出会い、「過去から学ぶことが大切だと…」と言われ、みずきが亡き母親と再会を果たすためなどの物語が展開する。上演は21日(昼夜)、22日(昼夜)、23日(昼)の計5公演。キャストは「空班」(21日)、「夢班」(22、23日)に分かれ、中原はどちらにも出演する。

「空班では看護師役、夢班では理事長役です。歌って踊ること自体はアイドルと共通していますが、ミュージカル音楽はその場面を象徴し、登場人物の感情のたかぶりを最高潮に表現するため使われるもの。なので、自分自身が表現するというよりは役の人物が表現することだと思い、それを追求しています」

全員40代以上で男性もいるアイドルグループ・フォティプロの一部メンバー。左から2人目が中原さくらさん【写真:本人提供】
全員40代以上で男性もいるアイドルグループ・フォティプロの一部メンバー。左から2人目が中原さくらさん【写真:本人提供】

 ミュージカルゆえに、大勢で群舞する場面もある。作品の見どころでもあり、中原の思いも強い。

「4歳の子どもから60代という幅広い年齢層80人のキャストが舞台に立ます。カウント、手の上げ方や高さ、降ろすタイミングや方向、みんなの息をそろえることに苦労しましたが、これをお届けできたらきっと伝わるものがあるはずです。一体感を持ち、やり切りたいです」

 いくつになっても、やりたいことをやって楽しみ、見ている人を楽しませる。その過程にある「苦しみ」も乗り越え、中原はここでも輝こうとしている。

□中原さくら(なかはら・さくら) 1969年1月14日、東京都生まれ。幼少期からアイドルに憧れるも、看護師の道へ。その後、つんく♂が楽曲プロデュースのアラフォーアイドルグループ・フォティプロのオーディションを受けて合格。正規メンバーとなり、現在はイベントで全国を周り、精力的に活動中。155センチ。血液型 B。

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