ONE OK ROCK「日本のバンドが世界を制す」 新曲からレア曲までの圧巻セトリに10万人が熱狂…最大規模の世界ツアー開幕【ライブレポート】
4人組ロックバンド・ONE OK ROCKが14日と15日、バンド史上最大規模のワールドツアー「ONE OK ROCK 2024 PREMONITION WORLD TOUR」の日本公演を東京・味の素スタジアムで開催した。ワンマンでは久々となった野外ステージ。2日間で集まった計10万人の観衆を熱狂させた。本記事では14日公演の模様をレポートする。
満員の味の素スタジアム2daysで誓う「また僕らはでっかくなって帰ってきます」
4人組ロックバンド・ONE OK ROCKが14日と15日、バンド史上最大規模のワールドツアー「ONE OK ROCK 2024 PREMONITION WORLD TOUR」の日本公演を東京・味の素スタジアムで開催した。ワンマンでは久々となった野外ステージ。2日間で集まった計10万人の観衆を熱狂させた。本記事では14日公演の模様をレポートする。
同ツアーは日本公演を皮切りに、台湾・ドイツ・フランス・イギリス・カナダ・アメリカを回る。アジアはスタジアム会場、北米、ヨーロッパではアリーナ会場と過去最大規模のワールドツアーだ。
バンドにとってワンマンでの野外ライブは2016年の「ONE OK ROCK 2016 SPECIAL LIVE IN NAGISAEN」以来約8年ぶり。超満員となった観衆が4人の登場を待ちわびる中、メインスクリーンに、過去のライブ映像とともに、Taka(Vo)がこれまでのライブMCで披露してきた決意表明ともいえる言葉の数々が流れた。
会場のボルテージが上がる中、ステージ中央のせり上がったステージにToru(G)、Ryota(B)、Tomoya(Dr)の3人が現れた。ひとしきり演奏を終えると3人はせり上がりからメインステージに移動。サイレンの音が鳴り響くと、ステージ下からTakaがガスマスクを装着した姿で登場した。
大歓声の中、マスクを脱ぎ捨てると、鮮やかな緑髪姿のTakaが顔を現した。バンドにとって挑戦とも言える本ツアーの幕開けに選ばれたのは7月に発売された最新曲だった。映画『キングダム 大将軍の帰還』の主題歌でもある『Delusion:All』に観客が酔いしれる中、2曲目は一転して懐かしの前奏が流れた。ライブでの披露は久々となった12年にリリースされた楽曲『欠落オートメーション』に客席からは、どよめきがあがった。さらに続けたのは、11年リリースの楽曲『Re:make』だ。ギターソロの前にはTakaの「Toru行っちゃって!」の掛け声とともに、ステージからは火花が上がった。
この日、最初のMCでTakaは「今日はとにかく皆さんと楽しい夏の思い出を作りにきました。お祭り騒ぎする準備ができていますか!」「大きな大きな花火を僕たちで打ち上げましょう」と客席をあおった。
4曲目は10年に発表された楽曲『じぶんROCK』。Takaの「1、2、3」の合図で轟音が鳴り響き、カラフルな煙幕が味スタの夕空を彩った。続けては、近年のライブ定番曲『Save Yourself』(22年)だ。オーディエンスも「Save yourself」の大合唱でボルテージを上げていった。
Toruは「気持ちいいわ、本当に。久々の屋外でこうやって音を鳴らせて」と充実の表情を浮かべ、9月4に誕生日を迎えたRyotaは「35歳になって一発目のライブなんでめちゃくちゃ気合い入ってます」とこの日への意気込みを明かした。さらに、Tomoyaは「何これ? 味スタってこんな気持ちいいの? すごい景色やなあ」としみじみ。また、「準備万端のはずだったんだけど、メンバーにも言ってないことが1個あって、睡眠もバッチリで、めっちゃ体調もいいけど、口内炎できて」とまさかのカミングアウトも飛び出した。
そしてTakaは「最近野外でワンマンって本当になかったから、久々だからリニューアルを自分の中でもしてみたいなと思って、衣装とか髪型も変えてみたりしてるんだけど」と緑髪にした理由を明かした。そして、「髪すごくない? みんなが立っている芝生と同じ色」とアピール。そして、「皆さんが楽しんでもらえるようなセットリストを頑張って作ってきたつもりなので、知っている人は昔を思い出してでもなんでもいいので、とにかく最後まで騒いで帰ってください」と呼びかけた。
6曲目は15年にリリースされた世界ツアー密着映画の主題歌『Decision』。すっかり日の沈んだ味スタに客席の大合唱が響き渡った。続けては、21年にリリースの人気曲『Renegades』『Wonder』と続けた。Takaが「声聞かせてー」と呼びかけると、大観衆からは「Wonder」の歌声が響いた。
続くMCでは、4人のアバター化したキャラクターがスクリーンに登場。「俺は仮想現実で生きているアバターのTaka」と自己紹介すると、「本人たちに代わって、時々俺らからファンのみんなに何かをお伝えしたりできるようにって、リアルな世界のTakaが俺らを生み出してくれたってわけ」と誕生の経緯を説明した。Takaも「弟みたいな感じでかわいがってやってください」と紹介。今後はこのアバターを介してのさまざまな施策が予定されているようだ。
中盤戦の幕開けは11年の楽曲『キミシダイ列車』。冒頭ではド派手に花火が打ち上がった。さらに、『Make It Out Alive』(23年)では、重厚なギターとベースのビートに合わせて観客がクラップ。間奏ではヘッドバンキングと熱気に包まれた。
Takaは「昨日ここでリハーサルをしていて、せっかくこんなきれいな会場で澄み切った夜空と心地良い風、アコースティックでやりたいなと思って急遽変えました」と前日に演出の変更に踏み切ったことを明かし、Toruのアコースティックギターの音色に乗せて、『Wherever you are』(10年)をしっとりと歌い上げた。オーディエンスはスマホのライトを掲げ、スタジアムを白い光で彩り、Takaの歌声を後押しした。
『Take what you want』(17年)でも、ステージの上手と下手にTakaとToruが分かれ、ギターのみをバックにしっとりと歌い始めた。ほぼアカペラで夜空に響き渡るTakaの美声に観客は酔いしれる中、中盤からは一転。ベースとドラムも加わり、力強い演奏へと変化した。
続いては、楽器隊によるセッションパートだ。Toru・Ryota・Tomoyaが持ち前のテクニックを惜しみなく披露。それぞれのソロパートでは圧巻のスキルで会場を沸かせた。そして、ステージ中央のせり上がったステージにTakaが再登場。07年にリリースされた懐かしの楽曲『カラス』の前奏に会場はどよめいた。そのままの勢いで、『Neon』(22年)、13年リリースの代表曲『The Beginning』と続け、会場のギアはさらに上がっていった。
本編ラストMCでTakaは本ツアーについて「これはただの序章に過ぎない」と今後のさらなる飛躍を誓った。そして、世界を回ることへの思いを口にした。
「日本っていうのは、なかなか思ったことを言える環境でもない。でもだからこそ、言わなきゃいけないことを言う、伝えなきゃいけないことを伝える、周りに何を批判されようとも、時に自分に攻撃が降り掛かってこようとも、嫌われようとも、愛を持って世界の平和のために言わなきゃいけないこととか日本の平和のために言わなきゃいけないこともあると思っています」
「自分さえよければそれでいいとかではなくて、自分が動き出せば周りもきっと変わると信じて生きていってほしいなと思います。そんなことを僕らは今回のツアーで伝えたかったんです。そんな思いをふんだんに詰め込んだ次のアルバムがリリースされて、また僕らはでっかくなって帰ってきます。僕らは世界中を回って、いつか日本のバンドが世界を制する。そんな現実を“突きつけてやろう”ではなくて、“突きつけ”に行ってきます。なので皆さんもぜひ同じような気持ちで自分を、限界を超えて明日を作っていってください」
そして、「僕たちはいつも1つです」と呼びかけ、『We are』(17年)へとつなげた。観客からは「We are~We are」の大合唱が巻き起こる。間奏でTakaは、「俺らは逃げも隠れもしないからな。いつだってこのステージのど真ん中で、このメンバーとマイクと歌とそして大切なお前らと、一生懸命、この世の中が平和になるよう音楽でもって導きたいと思います。そんなバンドですけど、これからもONE OK ROCKをよろしくお願いします」と決意を語った。
さらに14年リリースの『Mighty Long Fall』を披露。満員の味スタが観客のジャンプで揺れた。間奏ではヘッドバンキングとフィナーレに向けて、じわじわとボルテージを上げていく。ラストはTakaが右手を天に突き上げると、いよいよ本編ラストの楽曲となった。最後はライブ定番曲『Stand Out Fit In』(19年)だ。Takaの合図とともに観客が一斉にジャンプ。この日1番の盛り上がりを見せる中、本編を終えた。
真っ暗になった味の素スタジアム。観客たちはスマホのライトを掲げながら、メンバーの再登場を待ちわびた。すると、画面には先ほど紹介されたばかりのアバターが登場。「1つだけサプライズがある」と話し、制作中のアルバムから新曲を1曲披露すると予告。「次の曲はまだ誰も聞いたことがない新曲だ。皆さん準備はいい?」の掛け声とともに、ドラムの音が会場に鳴り響いた。ステージに再登場した4人は、新曲を初披露。初めて聞く曲にもかかわらず、オーディエンスは、手拍子やジャンプと全身で新曲を浴びていた。
Takaが「今のは慣れないなれないジャンプだったね、じゃあ次は昔懐かしい慣れ親しんだジャンプを一緒にいこうか」と呼びかけると再びドラムの音色が鳴り響いた。ライブでは久々となる『Let’s take it someday』(11年)だ。Takaも「俺も久々すぎて正直、ほとんど歌詞を覚えてない」と語るほどだった。満員の観客が座席に座り、Takaの「レッツゴー!」の合図とともに飛び上がり、これでもかというほどにスタジアムを揺らした。
アンコールのラストは19年にリリースされた人気曲『Wasted Nights』。Takaは「世界をグルーっと回って、また帰ってきます。その時はまた楽しい光景と楽しい思い出を一緒に作りましょう」と母国での再会を誓うと、観客も大熱唱で応じた。大サビ前には銀テープが宙を舞う。ラストはTakaがロングトーンの美声を響かせると、上空にはこれでもかと言わんばかりの大量の花火が打ち上がり、夜空を彩った。野外ライブならではの怒涛の演出に観客も魅了されっぱなしとなった。
約2時間20分の濃密なライブ。定番曲から久々に披露した懐かしのレア曲まで、新旧織り交ぜた多彩なセットリストで集まったファンの期待に応えるステージとなった。つねに観客は手を掲げ、大合唱でONE OK ROCKの世界観に没頭。圧巻のステージングの前には、ライブハウスであっても、どんなに広いスタジアムであっても変わらぬ観客の熱量がそこにはあった。
20周年に向けて、さらなる飛躍を誓うONE OK ROCK。「日本のバンドが世界を制する」――。そんな言葉を現実にするためのバンドにとっての挑戦となる1か月間が始まった。
◯「ONE OK ROCK 2024 PREMONITION WORLD TOUR」(9月14、15日@味の素スタジアム)セットリスト
1.Delusion:All
2.欠落オートメーション
3.Re:make
4.じぶんROCK
5.Save Yourself
6.Decision
7.Renegades
8.Wonder
9.キミシダイ列車
10.Make It Out Alive
11.Wherever you are
12.Take what you want
-INST-
13.カラス
14.Neon
15.The Beginning
16.We are
17.Mighty Long Fall
18.Stand Out Fit In
-ENCORE-
EM1.新曲
EN2.Let’s take it someday
EN3.Wasted Nights