上谷沙弥の闇落ち、小波の裏切り…話題の新ヒールユニット「H.A.T.E.」のリーダー刀羅ナツコが明かす野望

今年7月28日、札幌で生まれた新ヒールユニット「H.A.T.E.」。そのリーダー、刀羅ナツコはスターダム生え抜きにして、デビュー8年でついに”赤いベルト”ワールド・オブ・スターダム王座を獲得した。8.31武蔵野大会の初防衛戦で中野たむに敗れ1か月天下となってしまった刀羅だが、ここからどう逆襲していくつもりなのか……。

今後の「H.A.T.E.」の展望を語った刀羅ナツコ【写真:橋場了吾】
今後の「H.A.T.E.」の展望を語った刀羅ナツコ【写真:橋場了吾】

2024年の話題を独占するためにH.A.T.E.に生まれ変わった

 今年7月28日、札幌で生まれた新ヒールユニット「H.A.T.E.」。そのリーダー、刀羅ナツコはスターダム生え抜きにして、デビュー8年でついに”赤いベルト”ワールド・オブ・スターダム王座を獲得した。8.31武蔵野大会の初防衛戦で中野たむに敗れ1か月天下となってしまった刀羅だが、ここからどう逆襲していくつもりなのか……。(取材・文=橋場了吾)

 スターダムの中でも歴史の長いユニットであったQueen’s Questのリーダーを務めた渡辺桃と上谷沙弥を擁するという、凄まじい陣容となったヒールユニットH.A.T.E.。その初代リーダーとなった刀羅ナツコは、2024年に入ってから着々と計画を進めていた。

「全ては赤のベルトを奪う日(7.28札幌大会)のために、そして2024年の話題を総取りするための長期的な計画だね。作戦というか、計画を進めていたと。テクラの加入も、小波の裏切りも、中途半端だったスターライト・キッドの追放も、上谷沙弥の裏切りも全部。ただ裏切りだけではつまらないから、最後の最後で大江戸隊という名前を捨てて、H.A.T.E.になった。大江戸隊という名前があると、どうしても過去がつきまとうからね。その時々のリーダーの”色”というものがあるから、もしこのまま続けていって自分ではない誰かがリーダーになったときにも変わるというイメージにならないだろうと。そんな感じで老舗になってしまうなら、イメージを一新したいというのはずっと考えていたんだよね」

 H.A.T.E.とは「Harass(苦しめる)」「Abuse(虐待)」「Terrorize(威嚇する)」「Eradicate(全滅させる)」の頭文字をとったもの。この名前を決めるにあたり中心となったのは5か国語を操るテクラだった。

「大江戸隊ってゴリゴリの日本語だったから、海外に行ったときによくわからないんだよね。今は海外でスターダムを見ているファンもたくさんいて、自分たちは日本だけじゃなくて色々な国の人に見られているとなったときに、もっとストレートに伝わる名前の方がいいよなと。だからテクラがいるのは、H.A.T.E.にとってすごく強みになっているよね。バックステージのコメントも英語でやってくれるし(笑)」

 そしてSNSでも大きな話題になったのは、上谷沙弥の闇落ちだ。デビュー以来、キラキラとしたイメージだった上谷が、黒のメイク・コスチュームに変えた。

「上谷については、過去の自分を見ている感じがするね。手探りの状態って誰にでもあるんでね……桃も琉悪夏も小波もあったし、もちろん私も。今までたくさん手探りの状態の選手を見ているし、自分も経験しているから『今すぐにこうなりなさい、今すぐに結果を出しなさい』とは思ってなくて。とにかく自分がやりたいことをやって、自分が「これ、はまったな」と思うものをどんどん追求していってほしいなと。その手助けは自分たちもするし、上谷が『これが私の考えるヒールだ』というのを完成させてほしいね」

得意のスワントーンボムで相手を圧殺【写真:(C)スターダム】
得意のスワントーンボムで相手を圧殺【写真:(C)スターダム】

また赤いベルトを獲るために、中野たむのことは認めない

 7.28札幌大会でワールド・オブ・スターダム王座を獲得した刀羅だが、8.31武蔵野大会で中野たむに破れ、1か月強で最高峰から陥落してしまった。

「自分が負けたのは、プロレスって結局やってみないとわからないということだよ。初防衛戦の相手に中野たむを選んだのは、ずっと因縁があるから。たむがスターダムに来て初めて5★STARの枠を賭けて闘ったのも自分だったし、アーティスト(・オブ・スターダム)のベルトを獲られたのもたむだったし。だから赤いベルトを獲ったときに、ぱっと顔が浮かんだのは中野たむだった。あとこれは言いたいんだけど、試合後にのこのこ出てきて『そのベルトに挑戦させてください』みたいな形は絶対嫌だったんだよね。(試合時間が)27分超えているんだけど、感覚的にはそんなに長く感じなかったな。負けはしたけど、中野たむのことを『ヒーロー』とは認めていない。認めてしまったら、またこの舞台には戻ってこられないし。でも一度赤いベルトを巻いたから、今までよりは赤いベルトへのハードルは低くなったと思っている」
※戦前、刀羅は「自分からベルトをはがすのは『ヒーロー』だけだ」と発言していた

 最後に、今刀羅が考えていることを聴いた。

「スターダムの数あるユニットの中でも、H.A.T.E.は常に一番でありたい。だから戦力拡大はもちろん、また赤いベルトも狙っていくし。アーティストは……誰も獲りに行こうといわないのは、最近のチャンピオンに魅力がないからじゃないの? 以前はデビューして2~3年の選手の登竜門的なベルトだったけど、今は誰も獲りたいといわないよね。そう、ベルトには意味が必要なんだよ。中野たむが私から赤いベルトを獲ったのは、意味のあることなんだ。だって、今一番話題を提供しているのは、私でありH.A.T.E.なんだから」

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