『クラスメイトの女子、全員好きでした』監督&番組P語る木村昴の魅力「枝松脛男に“なるべくしてなった”」
木村昴主演、新川優愛共演の読売テレビ・日本テレビ系連続ドラマ『クラスメイトの女子、全員好きでした』(木曜午後11時59分)が12日に最終話を迎える。放送を前に、『ダウンタウンDX』を20年以上演出した読売テレビの西田二郎氏が、綾部真弥監督と矢部誠人プロデューサーにインタビューを行った。
新川優愛は「感受性が人一倍豊か」
木村昴主演、新川優愛共演の読売テレビ・日本テレビ系連続ドラマ『クラスメイトの女子、全員好きでした』(木曜午後11時59分)が12日に最終話を迎える。放送を前に、『ダウンタウンDX』を20年以上演出した読売テレビの西田二郎氏が、綾部真弥監督と矢部誠人プロデューサーにインタビューを行った。
クラスメイトが書いたノートを“盗作”して一躍人気作家になってしまった男が、担当編集者と共に「真の作者」を探しながら中学時代の甘酸っぱい思い出を回想していく、涙あり笑いありのハートフルコメディーとなる同作。いよいよ12日に最終回を迎える。
西田「いよいよ最終話ということで盛り上がってきていますか」
矢部「9話・10話がとにかくもう怒涛の展開で、ラストに向けて今めちゃくちゃ盛り上がっているところです」
西田「木村昴さんもそうですし、新川優愛さんもそうですし、今回出演されている役者の皆さん、やっぱり演技が上手というか、しっかりしていますよね」
綾部「そうですね。この作品は大人も中学生もたくさん登場するので、俳優の生き生きとした演技を褒めもらえると一番うれしいです」
西田「この作品をドラマで見た時に、木村さんが“木村昴が主役の演技をしている”のではなく、ちゃんと脛男になっていると感じました。そのあたり、木村さんの役作りについて話しましたか?」
矢部「木村さんとはクランクイン前にごあいさつするタイミングがあったんですけど、特別に何か役作りをしてくださいとは一切お願いしていないんです。今回、木村さんにオファーさせていただいた理由として、彼の持っている太陽のような明るさや、前向きなピュアさがありました。
主人公の枝松脛男って、演技をやり過ぎると少し気持ち悪かったりする部分もあるんですよね。それも含めて、こういうダメ人間が愛されるドラマにしなければならないと考えた時に、木村さんの持つ天性の明るさやピュアさが、新しい枝松脛男像として映るんじゃないかと思いました。なので、僕らは特別なことをお願いしたわけではなく、木村さんのお芝居と雰囲気が役とうまくマッチしたんじゃないかと思います」
出演する中学生役は「徹底してリアル中学生をキャスティング」
西田「各話の中で出てくる他のクラスメイトさんが、“ちょっと変”なところをうまく大人になって生かしていたり、生かしていなかったりしていますが、その辺りは描きながらどう考えていましたか?」
綾部「元々、原作の爪切男さんの本がそういう本で、かなり個性的な生徒たちによるお話。だから中学生の子たちは、ただお芝居がうまいだけじゃなくて、あんまり洗練されすぎていないというか、人としても芝居としてもゴツゴツした子たちに、なるべく集まってもらいたかったんです。だから一部高校生もいますが、徹底してリアル中学生をキャスティングしました。
リアルな中学生だから、まだまだ人として洗練されていない。つまり、自分のちょっとした欠点やダメなところを取り繕わない人たちなので、お芝居も何となくうまくやってしまうのではなくて、荒削りで彼らが全力でやる演技のおかしみとか面白みみたいなものを前面に出したいという思いでした」
西田「ドラマを見ていると、『こんなところにいるのかな?』と思うようなコミカルなシーンが出てくるんです。ああいうのも監督から中学生役の子たちへの指示なのか、何か意図があったりするんですか?」
綾部「あんまり細かい指示を全部するということはほとんどないですね。どちらかというと、『台本を読んでとにかく自分がやりたいことを考えてくるように。とにかく明日撮影するシーンの前後を含めてもう1回読んできなさい』と僕は口酸っぱく話しています。台本を読んだ上で、じゃあ自分のキャラクターだったらどういうちゃちゃを入れるんだとか、どういう顔をするんだろうとか、おとなしい子もいれば元気な子もいるし、自分のキャラクターによってこの場面でどう演じるのかというのを、中学生の子たちが自分で考えてくることをとにかく徹底しました」
木村昴は「『できない』って言わない」
西田「今回、主役・枝松脛男を演じる木村昴さん、どうでしたか?」
綾部「もう素晴らしかったです。本当にお世辞抜きで。彼が疲れているところを見たことがなかったです。いつも現場で元気よく大きな声で笑って騒いで、分け隔てなくみんなと仲良くして、ある意味、この枝松脛男に“なるべくしてなった”人だと思います。
一緒に仕事をしてすごいと思ったのが、『できない』って言わないんですよね。演出意図を話すと、彼は絶対最後に『分かりました。やってみます』って言うんですよ。昴くんの口から『それはできない』とか、『僕はこう思う』とか聞いたことがなかったです。演出家の考えどんとこいと。その中で自分のものにしてやるぞという気概をすごく感じました」
西田「どんどん木村さん自身が大きくなっていくんですよね」
綾部「どんどん心で芝居が膨らんで演技が伸びていく。すごい才能だなと。ただ言われた通りにやるだけでもなく、それを自分の表現として出してきてくれる。本当に超一流の表現者にしかないこの伸ばし方、お芝居にびっくりしました」
西田「木村さん演じる脛男に翻弄される新川優愛さんはどうですか?」
矢部「おそらく、新川さんとしてはこの役がくるのは意外だったと思います。彼女ってやっぱり強い役だったりとか、バリバリ仕事のできる人というイメージがあると思うんです。
でも僕が思う新川さんの魅力は、やっぱり“受けの芝居”がすごく上手なことで、木村昴さんが綾部監督の演出も含めてどんどん膨らんで、瞬発力もあるから、彼なりのアドリブも撮影中に出るんですが、それに対しての反応がすごく柔軟なんですよ。
きっと彼女なりに、『この日、このシーンはこういう方針で行こう』と事前にプランを練ってきているはずなんですけど、それをすぐ崩して、相手に対してすごく柔軟に対応していくというところなど、受けのお芝居がものすごく上手だし、やっぱり何か“目”がいいですよね」
綾部「そう! 本当に女性としての凛とした強さがありつつも、やっぱり柔らかいんですよね。すごいしなやかな演技がすてきでした」
西田「変顔は綾部監督からの演出ですか?」
綾部「こっちから変顔してほしいってお願いしていないです。彼女がノリノリでしてくれています(笑)」
西田「コメディータッチなドラマとはいえ、デリケートな心の問題も含めたシリアスなストーリーの一面もある物語だから、作る側も大変かもしれませんけれども、俳優の方もめちゃくちゃ難しいですよね」
綾部「難しいですね。技術がないと本当にできないと思うんですけど、僕が一番新川さんがすごいと思った部分は感受性です。感受性が人一倍豊かで、とても敏感な人だと思います。昴くんが演技でアドリブをかましてくると、それにすぐ反応して、自分の元々の考えにはなかったけど、芝居に変えられるところもそうですし、このセリフがどう心に響くとか、この表情に自分がどれだけ感じるかということに、すごく敏感な人なんですね。喜怒哀楽がすごく繊細であり、時には大胆であり、本当に力強い方だと思います」
西田「SNS界隈で真の作者が誰なのか予想で盛り上がっていますね。最終話で『春と群青』の本当の作者が分かります。でも今から見る人もついてこれますかね?」
矢部「今からでも間に合いますので、ぜひ見ていただきたいです。TVerでは最新話だけでなく、1話から3話も見られますので、途中から見てもちゃんと追いつけます!」
記事提供:読みテレ(https://www.yomitv.jp/)