落語協会、新真打ち4人揃い踏み 柳家さん喬会長「昇進は終点じゃなくスタートライン」

落語協会(柳家さん喬会長)の新真打ち4人、柳家花ごめ、古今亭志ん松改め7代目古今亭志ん橋、春風亭朝之助改め春風亭梅朝、古今亭始改め古今亭伝輔が5日、都内で会見。9月下席(21日)から上野鈴本演芸場で始まる披露興行への思いなどを語った。

会見に出席した花ごめ、志ん橋、梅朝、伝輔(左から)【写真:ENCOUNT編集部】
会見に出席した花ごめ、志ん橋、梅朝、伝輔(左から)【写真:ENCOUNT編集部】

花ごめは怪談噺、志ん橋は侍が登場する噺、梅朝は軽い噺、伝輔はできなことをやっても無理と着々派

 落語協会(柳家さん喬会長)の新真打ち4人、柳家花ごめ、古今亭志ん松改め7代目古今亭志ん橋、春風亭朝之助改め春風亭梅朝、古今亭始改め古今亭伝輔が5日、都内で会見。9月下席(21日)から上野鈴本演芸場で始まる披露興行への思いなどを語った。(取材・文=渡邉寧久)

芸能界屈指の肉体派が絶賛する驚きのトレーニングアイテムとは?

 今年6月に新会長に就任した柳家さん喬は「会長という職に就きまして、初めての公の場。新真打ち以上に緊張しています」と切り出し、「(昇進は)終点ではなくあくまでもスタートライン。勝ち負けでなく一生懸命張り合いなさいよ、ということ」と新真打ちにはなむけの言葉を贈った。

 柳家花緑門下の花ごめは、慣れない会見に緊張の面持ち。「落語はもちろん、チャレンジすることにはチャレンジしてきたいと思います。ここ数年で(新作落語)を作り始めて、披露目でも自作の噺ができればいいなと思う。最近ちょっと怪談噺を手掛けるようになったので、どう表現できるか、模索したい」と、自身で発見した鉱脈に対する手ごたえを明かした。

 師匠の花緑は「数年前に花ごめが作る新作を聞いて面白いなと思いまして、この子のいい面を発見した」と、弟子の成長に目を細める。「寄席の出番を確実にコンディションをよくして、最大の芸を発揮してほしい。満杯にするとか、大きな望みを持たないように。そういうことが器用にできる子じゃない」と、身の丈にあった取り組みを期待した。

 昨年10月に亡くなった師匠の名跡を継ぐ古今亭志ん橋は「まだ1年もたっていない中、師匠の名前を襲名させていただくことは大変お恐れ多い」と遠慮をのぞかせる。「師匠がラジオ番組で、『欲をもってやってもらいたい』と言ってくれて、そんな風に思ってくれるんだと感じました。それから欲をもってやりたいなと思って、噺にも取り組んでいるつもりです。侍の出る噺が好きなので磨いていきたい」と、芸欲を伝えた。

 兄弟子として昇進までの時間を新師匠として引き受けた志ん丸は「もともとはきょうだい弟子でした。1年しかたっていないもので、いくらなんでも襲名は早いんじゃないかという話がありました。それでも私が彼に勧めたのは、新しい志ん橋は前の師匠に似ている。人間が大変に不器用でしくじりもします。正直者で頑固で、やり遂げる信念がある」と、襲名適任者であることを伝えた。

「落ち着きのない、後輩からも大丈夫なのかといつも言われていまして、あまりしっかりできないままこの日を迎えました。慌てず、騒がず、落ち着いて披露目を迎えられればと思っています」と、梅朝は慎重に言葉を選ぶ。

 師匠の一朝は「鶯春亭(おおしゅんてい)梅朝、これでいいかときいたら、字が書けない、それじゃ春風亭でいいか、ということで春風亭梅朝になった」と笑わせ、「近頃、珍しいくらい好人物でして、そそっかしいんですけど人間がいいものですから、みんなかわいがられる。兄弟子からかわいがられて、下からも慕われる」と人間性を称え、同時に「人間はいい、だけではこの世界はやっていけない。芸で慕われる噺家になってほしい」とあたたかな注文を付けた。

 朝梅の得意ネタは、軽めの噺。本人も自覚は十分で「やっぱ軽い噺ですかね。とにかく僕は不器用ちゅうか、器用な方ではないんで、軽い噺を磨いていきたい」と目標を掲げた。

 伝輔は「師匠がつけてくれた名前、気に入っています。大きくできるよう一目で頑張っていきます」と意欲的。「15年、20年、30年なんてぼーっとしてたらあっという間だよ、と師匠に言われた。二つ目になって、自分の落語会をいろいろやって、あっという間でした。これからはひとつひとつの会を真剣に突き詰めていきたいと思っています」と気持ちを引き締めた。

 師匠の志ん輔は「半分はうれしい、半分は不安ですよ」と親心をのぞかせ、「ここにいる4人はいいものを持っているので、いい噺家になってくれると思います、精進と言う言葉も安易に使う言葉じゃないと思いますが、しっかり足元を見つめて1歩ずつ進んでほしいと思います」と鼓舞した。

 新真打ち昇進襲名披露興行は、今月21日の上野鈴本演芸場から始まり、新宿末広亭、浅草演芸ホール、池袋演芸場、国立演芸場主催公演まで45日間行われる。

次のページへ (2/2) 【写真】会見での集合写真
1 2
あなたの“気になる”を教えてください