デビューから6年、大河&朝ドラ出演と急成長続ける井上祐貴 2人の先輩俳優から受けた刺激
28歳の井上祐貴が、伊藤沙莉主演のNHK連続テレビ小説『虎に翼』で初の朝ドラ出演をつかみとった。2023年には大河ドラマ『どうする家康』にも出演するなど、着実に俳優としてのキャリアを積んでいる。18年にデビューしてからはや6年。数年前とは大きく異なる光景が目の前には広がっていた。
28歳の井上祐貴が、伊藤沙莉主演のNHK連続テレビ小説『虎に翼』で初の朝ドラ出演をつかみとった。2023年には大河ドラマ『どうする家康』にも出演するなど、着実に俳優としてのキャリアを積んでいる。18年にデビューしてからはや6年。数年前とは大きく異なる光景が目の前には広がっていた。(取材・文=中村彰洋)
『silent』(22年、フジテレビ)や『unknown』(23年、テレビ朝日)、『マルス-ゼロの革命-』(24年、テレビ朝日)など話題作への出演が続いているが、実感はほとんどないという。
「目の前のことに精一杯すぎて、『自分は今こんな感じだな』と考えることがあまりないんです。それぐらい必死に各作品に向かっているつもりではあります」
17年に開催された第42回ホリプロスカウトキャラバンで審査員特別賞の受賞を機に、翌年芸能界デビュー。演技を始めたのは22歳と遅咲きだった。19年には『ウルトラマンタイガ』で主演を務めたが、「当時の現場では当たり前のことすらも分からない状態でした。あんなにも何も知らない子がよく現場に立っていたなって(笑)。本当に温かいチームの皆さんに助けていただきました」と当時を振り返る。
そこから約5年。「あの頃と比べれば、いろんな部分がちょっとずつは成長できていると思います。そうですね、こうやって振り返ってみると面白いですね。いろんな経験させていただいてます」と笑みをこぼす。
日々研鑽を積んでいるが、現場で関わった人たちの姿を見て、「こういうやり方もあるのか」と参考にすることも多いという。「影響されやすいので、明日からやってみよう、みたいなこともよくあります。いろんなものを見て、知って、ちょっとでも幅を広げていきたいなと思っています」とさらなる成長への意欲を見せる。
エゴサーチなどはしないが、SNSやファンクラブに寄せられるコメントは全て目を通しているとのこと。「皆さんにはそんな風に届いているんだと知ることができるので、読むのが楽しみです。見てくださる方がいるから頑張れます」。
映画やドラマ作品への出演が絶えない日々だが、つねに乗り越える壁があることが「楽しい」と明かす。「壁がなくなってしまうほうが怖いです。そんな日がいつかくるんですかね(笑)。自分に課せられたもの、越えなきゃいけないものがあるということが幸せですね。できないこともいっぱいありますが、そこに向かって工夫したりして、少しでも近づけることが楽しいです」とやりがいに感じている。
学生時代から人に相談することが苦手だという井上。「『あの時は相談した方がよかったな』と思うことがたまにあります。いろんな意見を聞いたほうが視野が広がるのは分かっているのですが、結局『最後に決めるのは自分だから』と思っちゃうんです。聞いてから、最後に自分で決めればいいのに、視野を広げることを省いちゃうんですよね……。そういう癖は自分の良くないところだと思っています」と課題についても口にする。
リフレッシュ方法はゴルフ「本当に始めて良かった」
この数年で大きく変化したのは、交友関係だった。「仕事きっかけで出会った先輩方に、プライベートでもお世話になることが増えました。本当に心から『かっこいいな』『すごいな』と思う方と関わる機会が増えて、たくさんの刺激をいただいています」。
中でもお世話になっている先輩として、中尾明慶と溝端淳平の2人の名前を挙げた。
「お二人ともドラマでの共演がきっかけでした。溝端さんとは『何曜日に生まれたの』(23年)でご一緒させていただいたのですが、そのドラマの撮影ではほとんど関わりがなくて。むしろそのすぐ後に大河の現場でお会いして、連続して同じ作品に出たことで、気にかけてくださって、距離が近くなっていきました。最近ゴルフにハマっているのですが、溝端さんに誘われて始めました」
また、事務所の先輩でもある中尾ともゴルフをきっかけに急速に仲が深まったという。
「溝端さんも明慶さんも、ここ1、2年ぐらいでゴルフを始められたらしくて。だから僕よりもちろん上手なのですが、少し先を行く先輩って感じで教えていただきながら、一緒に回らせていただいてます。明慶さんとは『卒業タイムリミット』(22年)からなので、知り合ってからは長いのですが、ゴルフを僕がやり始めてから一気に距離が縮まりました。お互いの仕事のスケジュールの都合でムラはありますが、月2~3回ぐらいは行かせていただいてますね。明慶さんからは、前置きも何もない『何日どう?』とだけのメールがきたりもします(笑)」
先輩との交流が深まったことで、課題としていた人に相談するということも徐々にできるようになってきたという。また、プライベートな時間でも仕事のことを考えてしまうことが多いというが、ゴルフだけは別だと明かす。
「もう何も考える隙がないんです。ここまで没頭できる趣味にこれまで出会うことがなかったので、本当に始めて良かったです。いつも良いリフレッシュができています」
大河と朝ドラへの出演という目標の1つを達成した。「届くか届かないかぐらいの目標を追いかけることが僕には向いていると思っています。なので、次は大河や朝ドラにメインキャストで出たいです」と力強く語る。
「いずれは大河の主演もやりたいですし、作品で賞を獲ったことがないので、アカデミー賞などを受賞できるような役者になりたいですね。もっと大きいところでいうと、親孝行をしたいんです。両親は家をすでに持ってはいるのですが、いつかもう1軒家を買ってあげたいなとかも考えます」
真っすぐに演技と向き合ってきた6年間で急成長を遂げた。今後、目の前の目標を1つ1つクリアしていったその先には、どのような景色が広がっているのだろうか。
□井上祐貴(いのうえ・ゆうき)1996年6月6日、広島県出身。2017年に「第42回ホリプロタレントスカウトキャラバン」で審査員特別賞を受賞。18年にミュージカル『ピーターパン』で俳優デビュー。19年『ウルトラマンタイガ』(テレビ東京系)でテレビドラマ初主演を果たす。主な出演作は、映画『明け方の若者たち』(21年)、『卒業タイムリミット』(22年、NHK)、『どうする家康』(23年、NHK)など。趣味はゴルフ、サイクリング、サウナ。休日はアウトドアに過ごすことが多い。