6年前の「キャバクラヨガ」騒動は「事実無根で強い憤り」 バッシング浴びたヨガ講師の今

自民党総裁選に出馬が見込まれる林芳正官房長官。文部科学相だった2018年には、公用車で都内のヨガスタジオに通っていたことが発覚し、批判の対象になった。この問題をスクープした週刊文春は同スタジオを「キャバクラヨガ」と表現した。あれから6年。ENCOUNTはこのスタジオ経営を継続する庄司ゆうこさんを取材。あらためて「キャバクラヨガ」を否定した上で、林氏に向けて「今でもめちゃくちゃ応援しています」とエールを送った。

ヨガスタジオ経営を継続する庄司ゆうこさん【写真:本人提供】
ヨガスタジオ経営を継続する庄司ゆうこさん【写真:本人提供】

元グラビアアイドルの庄司ゆうこさん

 自民党総裁選に出馬が見込まれる林芳正官房長官。文部科学相だった2018年には、公用車で都内のヨガスタジオに通っていたことが発覚し、批判の対象になった。この問題をスクープした週刊文春は同スタジオを「キャバクラヨガ」と表現した。あれから6年。ENCOUNTはこのスタジオ経営を継続する庄司ゆうこさんを取材。あらためて「キャバクラヨガ」を否定した上で、林氏に向けて「今でもめちゃくちゃ応援しています」とエールを送った。(取材・文=白川ちひろ)

 私は取材に入る前に、庄司さんよるヨガのレッスンを受けることにした。プライベートスタジオに到着。ドアを開けると、既にレッスン着の庄司さんが待機していた。「ようこそ~」。あの騒動でメディア露出していた頃よりも、さらにボディーラインが引き締まった印象だ。

「ゆっくりと目を閉じて。まずはご自分の呼吸の動きを観察していきましょう」

 スローリズムの音楽が流れる中、レッスンが始まった。庄司さんとともに瞑想のポーズを取る。当時、伝えられていたセクシーなサービスはなく、スタンダードなヨガレッスンだ。彼女の声は心地良く、心身ともにリラックスした時間を過ごすことができた。そして、終了後、取材に転じて庄司さんに「あの騒動」のことを聞いた。

「記事には『元AV女優など』と事実無根のことも書かれましたが、私はもともとグラビアアイドルでした。小室哲哉さんのファンで、globeに憧れて芸能界を目指しました。高校生の頃、雑誌に載っていた有名なオーディションを片っ端から受けて全滅。『それなら、東京に行ってスカウトされよう』と思いました。アルバイト掛け持ちして資金を作り、20歳で上京。数か月間、原宿を歩きまくったんですが、夜のお店や怪しい事務所からしか、声を掛けてもらえなくて…。そんなある日、やっと大手の事務所さんからスカウトされました。そこで2年ほどエキストラ役などを経験し、雑誌のグラビアに出るようになりました。写真集、DVDも出させてもらいました。」

 その後も芸能活動を続けていたが、1つの辛い出来事が人生を変えることになった。

「深夜のバラエティー番組『おねがい!マスカット』(テレビ東京系)にレギュラー出演していたんですが、突然メンバーの入れ替えがあって、私だけが番組を降ろされてしまったんです。当時はそれがとても悔しくて、納得できませんでした。そして、『タレントではなく自分で会社をやろう』と決意し、キッパリと芸能界を辞めました」

 庄司さんは次の仕事を模索したが、「不幸」は続いてしまった。

「当時お付き合いしていた年上の彼がいたんですが、お酒をたくさん飲むし、大食いで、かなりぽっちゃり体型で、全く健康に気を遣わない人でした。その彼が若くして亡くなってしまったんです……。この経験から『世の中の方にもっと健康に意識を向けてほしい』という思いが強くなり、体がリラックスできるヨガのインストラクターになろうと決めました。その後、ヨガ講師の資格を取って、2010年に渋谷のマンションの一室を借りてヨガスタジオを立ち上げました」

 だが、グラドル時代の一部ファンによる非常識な行動に悩まされたという。

「連日、多くのお客さまからご予約をいただいて事業が軌道に乗ったので、マンションの一室から広いビルに引っ越しました。ホームページに新スタジオの住所を載せて、大々的に宣伝もしました。すると、大勢の男性がビルの前に押し寄せてしまって…。中には、ヨガに興味があるふりをして長話をしてきたり、無断で写真を撮影してくる方もいました。『ヨガはどんな衣装でやられるんですか』『露出度の高い服でレッスンお願いしたいな』とか、セクハラ発言をする人もいました。『ただ、庄司ゆうこさんと話がしたいんだ』と電話をかけてくる人がビル内に無断侵入し、私を待ち伏せる人もいました。結果、他のテナント様に多大なご迷惑をおかけしてしまい、管理会社の方からひどく怒られました」

 それでも、ヨガ講師を続けていた庄司さんに「キャバクラヨガ」騒動が降りかかった。

「林先生はある経営者の方の紹介で通われるようになりました。私自身は林先生の健康のために、真面目にヨガをレッスンしてきたのに『元グラビアアイドル』というだけで、まるでセクシーなサービスがあるかのように書かれました。事実無根で強い憤りを感じましたし、スタジオのスタッフが周りから白い目で見られたことが一番悲しかったです。結果的に多くの優秀な人材が辞めてしまい、辛い思いをしました。そして、常連客の方々も『奥さんに誤解される』という理由で予約を次々とキャンセルされました。記事を面白がった男性からいやらしい電話がかかってくることも頻繁にありました」

40歳になった庄司さんは「美ボディー」を追求し続けている【写真:本人提供】
40歳になった庄司さんは「美ボディー」を追求し続けている【写真:本人提供】

体脂肪33%超から始まった「美ボディー」追求

 ビルの前には、大勢の取材陣が押し寄せた。周囲からは「ホームページを消して、ヨガも辞めるべき」と勧められたが、庄司さんは逃げずに闘うことを決意した。

「『ここで逃げたら負けだ』と思って、全てのテレビ局の取材を受けることにしたんです。実際にヨガのレッスンを受けに来てくださる記者の方もいましたね。その結果、私のヨガスタジオが健全であるという記事を多数のメディアの方が書いてくださいました。そして、徐々にお客さまも戻ってきました。林先生は来られていませんが」

 あれから6年の月日が経った。庄司さんは約30人のスタッフを雇用し、ヨガ事業を継続していた。そして、さらなる目標を立てていた。

「(騒動のあった)2018年に結婚をし、子どもを2人産みました。ただ、産後に体重が10キロも増え、体脂肪率が33%を超えてしまったんです。『これはいけない』と思い、パーソナルジムに通い始めたのですが、トレーナーさんから『目標があった方が頑張れるから、ボディーの美を競う大会に出てみませんか』と誘われました。そして、日本で一番有名な健康美ボディーを争う大会『ベストボディジャパン』に出場。子育ての傍らで努力を重ね、今年は6月の神戸大会、7月の福岡大会でどちらも優勝。11月には両国国技館で日本大会が開催されるのですが、グランプリを狙っています。女性は年齢を重ねると、『もう、年だから』と諦める方も多いですが、そんな方にこそボディーメイクを頑張ってほしいですね。今は女性向けのパーソナルジムを立ち上げることを目標に、自分がお手本になるように体を磨いていきたいです」

 芸能界引退、恋人の死、バッシング。庄司さんは苦難を乗り越える度にたくましくなった。そして、掲げた目標にまい進。40歳になった庄司さんが「美ボディー」を追求し、再び注目される。そんな日も近そうだ。

□庄司ゆうこ(しょうじ・ゆうこ) 1984年2月22日、兵庫・神戸市生まれ。20歳で憧れの芸能界入りし、グラビアアイドルとして活動。引退後はヨガスタジオを経営し、自身も講師をしている。プライベートでは2児の母。160センチ。血液型B。

次のページへ (2/2) 【写真】「美ボディー」でヨガのポーズを披露する庄司ゆうこさん
1 2
あなたの“気になる”を教えてください