繊細なタッチの絵本作家・やまもとしんじ、「絵本作家は人に勧められない」ワケ

絵本作家・やまもとしんじが29日、都内で行われた自身の新刊「スーパーマーケットはなまる」(白泉社)発売記念取材会に登場した。当日、やまもとは同著をアピールしつつ、これまでの絵本作家としての活動を振り返った。

取材会に登場したやまもとしんじ【写真:ENCOUNT編集部】
取材会に登場したやまもとしんじ【写真:ENCOUNT編集部】

やまもとしんじ、新作絵本は2214キャラクター全てが手書き

 絵本作家・やまもとしんじが29日、都内で行われた自身の新刊「スーパーマーケットはなまる」(白泉社)発売記念取材会に登場した。当日、やまもとは同著をアピールしつつ、これまでの絵本作家としての活動を振り返った。

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 やまもとはCMやNHK子供番組等で立体オブジェの制作も手掛けるほか、近年では人気コミック「ONE PIECE」とのコラボレーション作品も出版。繊細なタッチでさがしもの絵本を中心に活動の幅を広げている。

「元々、絵本作家になろうとは思っていなかった」という。日本大芸術学部在学中からイラストレーターとして活動し、営業をしているうちに絵本を描いてみないかと声を掛けられてデビューした。

 プロデビューから15年。「大半が苦しいことだった。うまくいかないこと続きでしたが、めげずにやってきた。絵を描くだけで生活するというのは大変なことだと思います。1冊に3年かけたこともありました。こんなにかけていたら仕事として成立しません。アルバイトをしながら描いていましたね。僕の経験上だと、絵本作家は人に勧められません。仕事として成立させるのが難しいと思います。続けてこられたのは自分が描くことしかできないなと思ったから。描いているときが一番心地よさを感じます。一日の大半を描くことに捧げています」と振り返った。

 同著の舞台は開店前のスーパーマーケット。よく探すと間違った売り場に5つの商品が迷い込んでいる。カラフルに細かく描きこまれた売り場でさがし絵遊びができる。また、野菜に果物、魚にお肉、さまざまなものの名前を覚えられるような絵本となっている。

 今回、描かれた2214キャラクター全てが手書きだが、4か月で作画を終わらせた。「限られた時間の中でクオリティーを落とさずに描くのが大変でした」と語った。また、幼少期のころ両親がレストランを経営していたというやまもとは「僕自身も食べ物を描くのが好きだったので、好きなことを生かして、子どもたちに食育をテーマに何かを伝えられたらいいなと思っていました。特にこだわったのは、かわいいだけでなくリアルに食べ物の質感に寄せることで、現実世界の食べ物にリンクしやすいように心がけて描いたので、そこが見どころというか注目してほしいポイントです」とアピールしていた。

 同著の発売を記念し、9月21日から23日に東京・STANTION kitasando 9Fで「スーパーマーケットはなまる原画展」も行われる。

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