「傷は私にとっては自然なもの」 生体腎移植手術から10か月でプロレス復帰、春日萌花の今
来年プロレスデビュー20周年を迎える、“闘うお天気お姉さん”こと春日萌花は、2023年9月に生体腎移植のドナーとして、実姉に腎臓を提供した。それから10か月、春日はプロレスラーとしての復帰戦を迎えた。すでに数試合を行い、ラジオパーソナリティーの仕事にも復帰した春日に、今の気持ちを聞いた。
腎移植の先輩・伊東優作とのタッグで復帰戦を行う
来年プロレスデビュー20周年を迎える、“闘うお天気お姉さん”こと春日萌花は、2023年9月に生体腎移植のドナーとして、実姉に腎臓を提供した。それから10か月、春日はプロレスラーとしての復帰戦を迎えた。すでに数試合を行い、ラジオパーソナリティーの仕事にも復帰した春日に、今の気持ちを聞いた。(取材・文=橋場了吾)
7月15日のガンバレ☆プロレス高島平大会。春日萌花はおよそ1年ぶりのリングに上がった。対戦カードは、春日&伊東優作vs勝村周一郎&YuuRI。春日とは逆に、生体腎移植により腎臓をもらった伊東が春日と組み、今のガン☆プロのアイコニックなタッグチームと対戦することになった。
「勝村さんと戦いたいという気持ちはあったんですが、復帰発表当時は二冠王者だったので、あまりアピールもできず……ただ幸か不幸か、勝村さんがベルトを落としてしまったので、このカードになりました。パートナーは伊東さんというのは、最初から考えていたんです。去年の4月に記者会見でドナーになることを発表したときに、ファンの方から『伊東選手と逆だね』という話を聞いて、それからコンタクトを取りました。経験者ならではの、どんなことに気をつけたらいいか、などなどいろいろなお話を聞かせてもらいました」
そして迎えた復帰戦、春日の腹部には傷跡がくっきりと残っていた。
「もともと傷のことはあまり考えずデザインしたのですが、想像以上に見えてしまっていましたね。これは、私のおしりのサイズが大きくて、もっと隠れるはずが上まで上げられなかったからです(笑)。この傷は私にとっては自然なものなので、隠す必要はないかなと。試合自体は、凄く疲れました。手術前と比較すると、相当早い段階で息が上がっちゃった感じですね。これまでは継続して試合があったので、いきなり体力がストンと落ちることはなかったので、キャリア初ですよね、ここまで突然体力が落ちている段階で試合をしたのは。しかも傷口へ容赦ない攻撃もありましたし。ただ、レスラーとしては遠慮される方が嫌なので、容赦なく来てくれて嬉しかったです」
ガン☆プロ所属になることで団体に貢献できれば
試合後、春日は万雷の拍手の中、観客にガン☆プロの所属選手になりたいと宣言。もちろん団体側も快く受け入れて、完全なフリーから団体所属となった。
「ガン☆プロがサイバーファイトから独立するときに、誘ってもらったんです。フリーのときは、春日萌花の後ろには肩書がなかったんですが、そこに『ガンバレ☆プロレス』
と入ることで団体の発信になって貢献できるのだったら所属がいいのかと。ありがたいことに、試合のオファーもたくさんいただいて。もともと私がプロレスラーになった理由は『世の中に必要とされたい』でしたから、オファーをいただけるならば、できるかぎりいいものをお返ししていきたいなと思っていますし、今回休業を経験したことで、試合の重みや貴重さをより学べた気がしています。一試合ずつ、大切に戦っていきたいです」
復帰してすでに数試合を行った春日。今はどんな気持ちでプロレスに接しているのだろうか。
「さすがに1年ほど試合を休んだので、気持ち的には(プロレスと)離れていた時期はありました。でも、その気持ちを戻してくれたのは「いつまでも待っているよ」と言ってくれるファンの方々です。そして10年近く深夜ラジオの生放送をやっていますが、今も『ふとした出会い』というのがあって。ラジオは聴いたことはあるけど、プロレスを見たことはないという方はいて、そういう方々の入り口になりたいなと。待ってくれているファン、そして新しいファンの両方に見てもらいたいというのが、プロレスに戻った理由です。まずはガン☆プロで復帰後初勝利を挙げて、もっともっとたくさんの方々にプロレスを見てもらえるように頑張っていきたいですね」