レコ大新人賞も苦しんだ7年間 適応障害告白、結婚…激動の日々を歩んだNOBUの再出発
シンガー・ソングライターのNOBUが23日に『人となる』を配信リリースした。真っすぐなメッセージが込められたNOBUらしさあふれる1年ぶりの新曲は、新たなレーベル「Village Again Association」に所属しての“再出発”の楽曲となった。結婚や子どもの誕生と人生の新たな岐路に立ったNOBUが同作に込めた思いを明かした。
真っすぐな歌詞に込めた思い「当たり前のことを歌いたい」
シンガー・ソングライターのNOBUが23日に『人となる』を配信リリースした。真っすぐなメッセージが込められたNOBUらしさあふれる1年ぶりの新曲は、新たなレーベル「Village Again Association」に所属しての“再出発”の楽曲となった。結婚や子どもの誕生と人生の新たな岐路に立ったNOBUが同作に込めた思いを明かした。(取材・文=中村彰洋)
――『人となる』はまさにNOBUさんらしい1曲でした。今作への思いをお聞かせください。
「僕の音楽には、当たり前のことを歌いたいという思いが根底にあります。『人となる』は、平和の歌だと思っています。今まで平和に対しての歌を作ったことがなかったので、僕なりに『平和ってこういうことかな』という思いで作りました。世界中でいろんな事件や戦争だったりが起きている今こそ、当たり前のことを改めて歌いたいなという思いを込めています」
――『人となる』の制作を始めたのはいつごろでしたか。
「6月ぐらいからでしたね。僕はタイトルがパンッと浮かぶことが多いのですが、今回もタイトル自体は半年前から決まっていました。曲を作る時に時間をかけるのが好きではないので、曲自体は1日で作りあげました」
――メロディーを作って、その後に作詞という流れで作られているのでしょうか。
「作曲と作詞を同時に行うようにしています。5歳からクラシックピアノを弾いていたり、いろんな楽器に触れてきたからこそ、鍵盤やギターを弾いてしまうと、メロディーにしばられてしまう感覚があるんです。なので、アカペラでメロディーと歌詞を同時に出すようにしています」
――歌詞がストレートで分かりやすいです。NOBUさんは楽曲に難しい言葉を使わない印象があります。
「僕、全く勉強してこなかったんです。漢字とかも読めなくて……。その分音楽を頑張った感じなんです(笑)。なのであえて簡単な言葉を使っているというより、自分から出てくる言葉をそのまま詩にしている感じです。歌詞をひねって伝えることが苦手なので、小さい子どもが聞いても分かるような曲にしたいなという思いもあります」
――ミュージックビデオ(MV)は絵本テイストで温かみのある映像でした。
「楽曲にメッセージ性だったり、フルオーケストラのアレンジによって壮大さがあるので、だからこそMVは力を入れずに見ていただけるようなものにしたいと考えました。MVにはリリックも書いてあるのですが、実は母親に書いてもらったんです。今回の楽曲作りは、全部を自分の周りで完結させています。イラストも宮崎の先輩に描いていただきました」
――これまでの楽曲との共通点や変化はございますか。
「僕はジャンルにこだわっていなくて、自由な音楽を通して希望だったり平和を伝えたいという思いは、音楽を始めた頃から全く変わってないです。一方で、去年結婚して、子どもが生まれてから、初めて作った歌だったんです。だからこそ、覚悟を持って、親としてどういう思いを伝えたいかという決意の歌にもなっているかなと思います」
――NOBUさんが音楽活動を通して1番伝えたい思いはどういった点でしょうか。
「1番はジャンルにとらわれないでほしいという思いです。音楽って、音を楽しむって書いて音楽なんです。とにかく自分がやりたいように奏でるのが音楽だと思っているんです。とにかく自由な音楽を通して、僕の音楽への価値観を届けたいと思っています。
僕は、レゲエやヒップホップのフェスに出たりもしているのですが、そういったスタイルがようやく認めてもらえるようになったかなと思っています。最初は『お前はレゲエなのかヒップホップなのか分からない』と批判が多かったんです。でも、NOBUとして活動するようになってから、ずっと言い続けてることが『ジャンルにとらわれず』という部分なんです。僕のライブでも盛り上げるブロックでは、レゲエやラップだったりを取り入れています。でも1番伝えたいところは、アコースティックギターを弾きながらバラードで歌ったりしています。そういった部分が1番伝えたい音楽スタイルです」
NOBUが楽曲制作に込めた思い「頑張ろうと思っている方たちの救いになるような音楽を」
――2017年には「日本有線大賞」と「日本レコード大賞」で新人賞をダブル受賞されました。そこからの7年弱はどういった期間でしたか。
「2017年に賞を獲らせていただいた時は、希望に満ちあふれていて、1つ目指していた山を登れた気持ちになっていました。でもそこから、本当につらい時期が続きました。新人賞を獲らせていただいたからこそ、『この歌を超える楽曲を作ってくれ』と言われるんです。正直、その楽曲を超えるって誰も分からないことだと思うんです。そこで僕は楽曲の作り方が分からなくなってしまったんです。だからこそ、22年にリリースした『たのしみなさい。』の存在は大きいです。賞を獲るとか、ランキングで上位になりたいという思いより、僕がやりたい音楽、自分がどういうアーティストになりたいかをまた再確認することができました。そこに気付くまではすごくつらかったですね」
――そういった壁にぶつかっても、音楽活動を続けてこられた理由はありますか。
「僕は音楽以外、何もできないんです。小さい頃から自分がやりたいと思うことには打ち込めるんです。メジャーデビューしたのが2012年で、その後も2年間ぐらいバイトをしていましたが、それ以降は音楽一本でここまできています。音楽のためならどんな苦労でもできるという覚悟があったので、コロナ禍も、給料がもらえなくなったり、苦しい時期もありましたが、『ここを音楽だけで乗り越えられたら成長できる』という思いで、バイトや他の仕事という選択肢をなくしました。とにかく音楽で全てを乗り越えていこうと決意したんです。つらいこともうれしいことも、全て僕の人生は音楽なんです」
――23年には、数年前から適応障害だったと告白されました。なぜ、あのタイミングでの公表となったのでしょうか。
「新人賞を獲らせていただいた頃から適応障害になっていました。公表するまでの6年間は、同情を求めているみたいで、公表することが弱いことと思っていたんです。でも、いろんな方への連絡を返すことがつらくなったり、トラブルになったこともありました。そんな時に、同じ病気の方のことを調べたり、記事を読んだりした時に、気持ちが楽になったんですよ。ということは、自分が公表することによって、同じ病気で苦しんでいる方が少しでも楽になるのではないかなと思いました。また、多くの方に少しでもこの病気を知っていただけかなとも思ったんです。
それに、関係者の方たちに毎回、『僕は適応障害なんです』と説明するのもつらいなと思っていたので、勇気を出して公表させていただきました。ライブやSNSのDMで、『実は私もです』とか『NOBUさんも頑張ってるから、僕も頑張ります』という声もたくさんいただけて、公表して良かったなと思っています」
――今回の病気が音楽制作にもたらした影響はありましたか。
「今でも症状に波があって、寝ることがつらくなったり、突然、LINEを見ることがつらくなる瞬間があるんです。いつそれが襲ってくるか分からない日々です。でも、そんな時でも曲は作れるんです。曲が作れなくなってしまうと僕の全てが崩壊してしまうって自分でも分かってるんでしょうね。きついからこそ、『この言葉を伝えよう』というメンタルになっているんだと思います」
――この1年弱で結婚、子どもが生まれたりと大きく環境が変化しましたね。
「もう全てがっていうぐらい変わりましたね。独身の時は自分さえ生活できればいいので、向上心がどんどん薄れていました。ずっと結婚願望はあって、嫁さんと初めて出会った時に、『この人と結婚する』と思ってその場でプロポーズしました。それですぐに結婚したんですけど、子どもも生まれたことで、自分のためだけではなく、家族のために頑張れるという気持ちが生まれました。背中を押されて、エネルギーがすごいことになっています(笑)」
――現在は東京と宮崎の2拠点生活をされていますが、宮崎に拠点を戻した理由はございますか。
「やっぱり1番は家族ですね。子どもに僕が生まれた場所ですくすくと育ってもらいたいなと思いました。それに、自分のメンタルが1番落ち着く場所が宮崎だなとも思ったので、決断しました。今までは『東京でやるべきだ』という葛藤があったので、2拠点は考えていなかったんですよ。でも、宮崎に帰ることが増えた頃、宮崎からでも全国での活動が意外にできると気付けたことも大きかったですね」
――SNSなどでは、頻繁に「夢」や「目標」という言葉を使われていますね。
「音楽を始めた時から変わっていないのですが、『紅白歌合戦』に出たいです。あとは武道館だったり、夢物語に聞こえると思いますが、一度の人生なので、東京ドームにも立ちたいです。そして、僕の音楽を世界の皆さんに伝えたいです。そこは夢を持ち始めた小6の頃から、ずっとブレていない部分です」
――根底にはどのような思いがあって、音楽活動を続けられていますか。
「僕は、実体験を歌にしているんです。『頑張ろう』と思っている方たちの救いになるような音楽をたくさん生み出したいです。僕自身が、いい経験ばかりではなくて、悔しいことや悲しいことを経験するからこそ、そういった歌が生まれると思っています。今回の『人となる』って、あまりにもストレートすぎるので『こんな歌を作るのか』と思う人もいると思うんです。僕も客観的に聞いた時、『こんな当たり前のことを歌にしている人っていないよな』って思ったんです(笑)。そういった僕の思いが自然に皆さんに伝わっていけばいいなと思っています」
□NOBU(のぶ)1988年7月3日、宮崎県生まれ。12年8月にアルバム『POWER TO THE PEOPLE!!!』でメジャーデビュー。17年に『いま、太陽に向かって咲く花』をリリースし、「第50回日本有線大賞」と「第59回日本レコード大賞」で新人賞をダブル受賞。24年8月23日に『人となる』を配信リリース。現在アルバムも制作中。
<NOBU ONEMAN LIVE2024「人となる」in Miyazaki>
12月1日/OPEN:15:30 START:16:00
<NOBU ONEMAN LIVE2024「人となる」in Tokyo>
12月15日/OPEN:18:30 START:19:00
プレミアム先行チケット(優先入場・プレミアムグッズ付/限定Tシャツ)
受付日時:8月25日/12:00~8月31日23:59
受付URL:https://www.cnplayguide.com/nobu2024_p/
「人となる」配信LINKTREE:vaa.lnk.to/vmy4Jr