「南京大虐殺を忘れるな」…NHK中国籍スタッフのニュースでの発言、詳細判明で「放送ジャック」「重大事件」の声
NHKは22日、今月19日のラジオ国際放送などの中国語ニュースで中国籍外部スタッフが、日本政府の公式見解とは異なる発言をした問題について、「極めて深刻な事態」として謝罪した。そして、同スタッフとの契約を21日付で解除したことなどを公式サイトなどで発表した。
22年間NHK業務の40代男性が発言
NHKは22日、今月19日のラジオ国際放送などの中国語ニュースで中国籍外部スタッフが、日本政府の公式見解とは異なる発言をした問題について、「極めて深刻な事態」として謝罪した。そして、同スタッフとの契約を21日付で解除したことなどを公式サイトなどで発表した。
発表によると、このスタッフはNHKの関連団体と業務委託契約を結び、2002年からNHKの業務を担当していた。発言を重く見たNHKは同団体を通じて本人に厳重に抗議の上、契約を解除。今後、損害賠償請求も行い、刑事告訴の検討も含め「厳正に対処していく」という。
問題の発言は、19日のNHK短波ラジオと衛星ラジオの国際放送、ラジオ第2放送(午後1時1分~1時15分)まで伝えた中国語ニュース番組の中で、中国籍の40代男性スタッフが「靖国神社で落書きが見つかり、警視庁が器物損壊事件として捜査している」というニュースを伝えた後だった。
中国語で「釣魚島と付属の島は古来から中国の領土です。NHKの歴史修正主義とプロフェッショナルではない業務に抗議します」と、沖縄県の尖閣諸島について中国の領土であると述べるなど、原稿にはない発言を行った。さらに英語でも「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな。彼女らは戦時の性奴隷だった。731部隊を忘れるな」と繰り返したとしている。
発覚後の対応としては、19日の短波・衛星ラジオ放送(午後8時30分)と翌20日のラジオ第2放送(午後1時1分)の中国語ニュースで、おことわりとお詫びを行ったとし、NHKの中国語ニュースサイトに、おことわりとお詫びを掲載。また、19日のニュースウオッチ9(午後9時)、ラジオ国際放送などで伝えたほか、同日のラジオ第1放送(午後10時)でも伝えた。
NHKは再発防止策として、ラジオ国際放送の中国語ニュースについて20日から事前収録で放送、他の言語についても「今月中に事前収録に切り替える」とした。また、「必要に応じて、AI音声の導入も検討します」としている。その上で「今後、副会長をトップとする検討体制を作り、短期的な対応だけでなく、管理体制の強化等、中期的な再発防止策を策定し、国際放送に関するガバナンスの強化を行い、信頼回復に努めて参ります」と記している。
詳細が明らかになった同問題については、ネット上で「まさに放送ジャック」「謝って済む問題じゃない」などの声が噴出した。政治家、著名人も次々と批判コメントを投稿。自民党の和田政宗参院議員は22日にXを更新し、「放送が占拠され、事実に反する内容が放送された。NHK会長が責任を取る重大事件だ」と記している。