初代『ウルトラマン』語り継がれる“神回”たち 怪獣にも事情あり…エピソード4選
1966年から67年まで放送された『ウルトラマン』は日本を代表する特撮番組である。その後もシリーズ化され、今年2月には劇場版『ウルトラマンブレーザー THE MOVIE 大怪獣首都激突』も公開となり長く愛されている作品だ。そんな『ウルトラマン』にはファンから神回だと評価されるエピソードが存在する。
単純な勧善懲悪ではおさまらない人間模様が見られたエピソード
1966年から67年まで放送された『ウルトラマン』は日本を代表する特撮番組である。その後もシリーズ化され、今年2月には劇場版『ウルトラマンブレーザー THE MOVIE 大怪獣首都激突』も公開となり長く愛されている作品だ。そんな『ウルトラマン』にはファンから神回だと評価されるエピソードが存在する。
例えばSNS上で「半世紀が経った今でも怖さを覚える」「移民問題を扱う基本設定がすごい」と声があがっている第2話「侵略者を撃て」は代表的な神回だろう。同話ではウルトラ怪獣のなかでも特に有名な宇宙忍者・バルタン星人が登場する。
地球侵略を目論み破壊行動をするバルタン星人はウルトラマンと戦うことになる。ただバルタン星人にも地球を狙う理由があったのだ。実は科学者の核実験によって母星・バルタン星が崩壊してしまっていた。幸いバルタン星人は宇宙旅行中だったため、被害を免れたのだ。故郷を失った悲しみを背負うバルタン星人をシンプルに悪役だと断罪するのは酷ではないだろうか。
一概に悪役だといえない怪獣が登場する話といえば第23話「故郷は地球」も有名だ。同話に登場する棲星怪獣・ジャミラはもともと某国の宇宙飛行士だった。宇宙で事故に遭い漂着した水すらもない星で生き抜いた結果、怪獣の姿になってしまったのだ。ジャミラは自分を見捨てた人間たちへ復讐するため地球にやってきて暴れ始め、ウルトラマンとも戦うことに。
そんな戦いの最中、ジャミラが水に弱いことが判明する。これは宇宙飛行士がジャミラに変貌するきっかけとなった星に水が存在しなかったことが起因していた。弱点である水を使ったウルトラマンの攻撃でジャミラは倒されてしまうが、人間だった頃には喉から手が出るほど欲しかった水によって倒されてしまう展開は、物悲しく皮肉めいたストーリーといえるだろう。
人間に見捨てられ復讐のため、地球へと戻ってきたジャミラの最後に視聴者からは「涙なしには見られなかった」「最後の鳴き声が今も耳に残っている」といった声があがっていた。
また第33話「禁じられた言葉」は過去に戦った怪獣が多く登場することから、ネット上では神回と評価されている。同話ではバルタン星人、ザラブ星人、ケムール人を部下として引き連れる悪質宇宙人・メフィラス星人が登場する。
メフィラス星人の地球侵略方法は、ほかの怪獣たちとは一味違う。まずはフジアキコ隊員の弟・サトルにテレパシーで語り掛け、地球を譲ると言わせようとするも失敗。もしサトルが「地球を譲る」と言っていたら、メフィラス星人は地球人の了解を得て地球を貰ったことにして合法的に侵略が完了するところだったのだろう。作戦に失敗したメフィラス星人は次の手としてフジ隊員を巨大化させたうえで操り、東京を破壊させる。
最後にはウルトラマンとメフィラス星人は戦うことになるが、互角の勝負を見せて知略だけでなく戦闘能力も優れている姿を見せつけた。しかし、サトルは姉であるフジ隊員を巨大化させて脅しても地球を見捨てなかったため、最後は「いつか私に地球を売り渡す人間が必ずいるはずだ。必ず来るぞ!」という捨てゼリフを残して姿を消すのだった。
視聴者からは「メフィラス星人の知略に恐怖した」「巨大フジ隊員や過去怪獣の再登場など見どころが豊富」などの声が見られた。
「ヒーローの敗北という絶望を乗り越えた科特隊に感動した」「ウルトラマンの技が通用せず敗北する姿に驚いた」との声があがる第39話「さらばウルトラマン」も見逃せない神回だ。
初代ウルトラマンの最終回である同話では、最強の宇宙恐竜・ゼットンによってウルトラマンが倒されてしまう。しかし、ウルトラマンが倒された絶望的状況にも、特捜隊はあきらめなかった。その後特捜隊本部を襲いかかるゼットンに対して、新兵器・無重力弾を使い、見事ゼットンを粉砕し勝利を収める。ウルトラマンがいなくても、怪獣が襲ってきて絶望的な状況に陥ったとしても、あきらめなければ人類は勝つことができるという最終回らしいメッセージを感じるエピソードだ。
60年近く前の作品でありながらいまだに話題にあがる『ウルトラマン』。今一度、改めて視聴してみてはどうだろうか。あなたなりの神回に出会えるかもしれない。