『光る君へ』柄本佑、道長の「えげつない」政治手腕は「彰子のため」 父・兼家と「出発点が違う」

俳優の柄本佑がこのほど、藤原道長を演じるNHKの大河ドラマ『光る君へ』(日曜午後8時ほか)の取材会に出席。佳境を迎えた本作について、今後の見どころとともに“最高権力者”となった道長の心境について語った。

藤原道長を演じる柄本佑【写真:(C)NHK】
藤原道長を演じる柄本佑【写真:(C)NHK】

最高権力者になった道長を熱演

 俳優の柄本佑がこのほど、藤原道長を演じるNHKの大河ドラマ『光る君へ』(日曜午後8時ほか)の取材会に出席。佳境を迎えた本作について、今後の見どころとともに“最高権力者”となった道長の心境について語った。

 吉高由里子が千年の時を超えるベストセラー『源氏物語』を生み出した主人公・紫式部(まひろ)を演じ、その生涯のソウルメイトとなる藤原道長を柄本が演じている本作。物語も進み、左大臣となった道長は、娘の彰子(見上愛)が入内して中宮になり、最高権力者としての地位を確固たるものにしている。

 柄本は道長を演じるにあたって、世間が抱くヒールのイメージよりも「人間味あふれる人物像」を目指して撮影をスタートさせた。それは、兼家(段田安則)の三男である「のんびり屋さんの三郎」としての姿が基礎にあるのだとして、「政治のトップに立ってもそういう人間性は変わらないです」と語る。

「今まで政治的にさまざまな手配をしてくれていたお姉ちゃんの詮子(吉田羊)まで亡くなってしまい、道長が一人になっていろんな悩み方をします。そこで思うことは、より三郎としての人間性が大事だということです。というのも、政治のトップとして帝に意見しなければいけなかったり、謀を企てたりします。でも、まひろとの約束である『民のための政治をやる』ことを果たすためには、彰子を入内させたように今まで道長がやってきたことと乖離した部分も出てきます。そのなかで、やっぱり道長は元々“三男坊ののんびり屋さんの三郎くん”だと意識するようになってきています」

 そんな“三郎”の側面は意外な場面でも発揮されているようで、「鈍感ですよ、道長くん。やらかしてます」と笑う。まひろや倫子(黒木華)、明子(瀧内公美)に対する道長の立ち振る舞いが「みなさんに見ていただいければ『何やってんの』と思うところがありますね。そこもプライドを持つことなく、鈍感です。それは“三郎くん”のちょっと悪いところでもあるかもしれないけれど、そんなところを大事にして、非常に楽しみながら演じています」と明かす。

ドラマ佳境も「道長はまだまだ悩んでいます」

 もっとも、政治的な手腕としては、娘の彰子を入内させたように父・兼家の政と変わらないようにも受け取れる。この点について柄本は「最終的には、全部の台本をいただいて、読み切ってみないと分からない」としつつも、兼家とは「出発点が違う」と解説する。

「僕としてはよく分かる気がするんですよ。結果として父親と同じことをやってしまっているけど、そんなことはしたくないという思いがあります。道長としては、たとえ同じことをしていても気持ちが違う、出発点が違うのだと思います。兼家は『家のために』という思いで政をしていましたけど、道長は『民のためのよき政をするために』同じことをしているだけだと思います」

 そんな思いを持つ道長だが、本作での政治的な姿が「きれいに描かれすぎている」と指摘する声もSNSなどで上がっている。この意見に対しては、「僕らは大石さんが書かれた強度のある台本の道長像を、最初から信頼して演じていますし、そこに関しては何の疑いもないです。でも、いろんな意見があるのはいいことで、すてきなことだと思います」と理解を示した。

 そして、柄本も今作の道長が「だいぶえげつないことをやっている」と明かすのが、第27回「宿命の命」で描かれた、彰子入内に際して用意した屏風だ。公卿たちや花山院の詠んだ和歌を貼り付けた“屏風歌”だったが、「道長は、とにかく彰子の幸せを願っているんですね。それまでは、自分の家族を政には絶対に関わらせたくないと思っていたんです。でも、入内することになったからには、とにかく娘に幸せになってほしいわけですよ。だから、娘のためにした行いが、外から見たら結構えぐいことをやっているように見えた」と説明する。

 撮影も順調に進行しており、物語はいよいよ佳境。それでも、「道長はまだまだ悩んでいます。とにかく家族の幸せとまひろとの約束を果たすためにまい進しておりますので」とドラマの今後にも言及した。

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