蝶花楼桃花「あっという間感」 31日連続ネタ下ろし…千秋楽は師匠・春風亭小朝直伝「試し酒」
落語家の蝶花楼桃花(43)が7月31日、東京・池袋演芸場で31日間連続で開催した独演会「桃花三十一夜」の千秋楽直前に都内で会見した。じっとしていても大変な暑さの最中、真夏の大冒険というか常識外れというか無謀なプランに果敢に挑んだ真打ち2年目の新鋭。「もっと疲れていると思ったら意外と元気で」と引き締まった表情で、誰もやったことがないひと月間を振り返った。
ストレスを貯めないために食欲を我慢しないこと、睡眠は6~7時間で体調維持
落語家の蝶花楼桃花(43)が7月31日、東京・池袋演芸場で31日間連続で開催した独演会「桃花三十一夜」の千秋楽直前に都内で会見した。じっとしていても大変な暑さの最中、真夏の大冒険というか常識外れというか無謀なプランに果敢に挑んだ真打ち2年目の新鋭。「もっと疲れていると思ったら意外と元気で」と引き締まった表情で、誰もやったことがないひと月間を振り返った。(取材・文=渡邉寧久)
「始まったとき(7月1日)は『これ31日間やるんだ』と、自分で設定しておきながら(先は)長い! と思いましたが、きょうが千秋楽。“あっという間感”があります」と笑顔で振り返り「もっと疲れているかと思ったら意外と元気で」と、コンディションのよさを伝えた。
午後9時開演の31日間連続の独演会開催も前代未聞なら、2席しゃべるうちの1席はネタ下ろし(初めて客前でしゃべること)という快挙、というよりも暴挙。肉体的にも精神的にもパリ五輪のアスリート並みの極限の状態に置かれる。
当初は、風邪もひけない、と慎重になっていたが、開演後の桃花を支えたのは、食欲に自由であろうとすることで得たストレスフリーの日々。
「とにかく疲れを貯めないために好きなものを食べる、を課していて、(午後)11時に終わって、そこから家系のラーメンを食べました。あとはよく寝ること。睡眠6~7時間は確保しました」と、睡眠時間を削ってけいこにあてないと……という恐怖心を自身の中で飼いならし、体調管理に重点を置いた。「脳みそを使っているから全然太らなくて、食べても脳みそを働かせれば大丈夫」という意外な成果も得たが「8月以降は、脳みそを動かさないときは食べるべからず」と自らに言い聞かせるように話した。
芸人としての収穫も大で「どんな形であれ、やったという自信は芸人として持たせてもらった。今後、つらいことがあっても、31日間ネタ下ろししたこと、31席覚えるために、これは覚えたけどすぐ忘れちゃうな、とか、これは最短で覚えることができたとか、自分への(メモリー)情報が分かったのが大きな収穫だった」と振り返った。1週間に3席も覚えたことがあったという。
午後9時開始という通常なら木戸が閉まっている時間に開催し、大勢の客を集めることができたことも桃花には自信で「今後、(夜の開催も)出てくると思う。そこをご提示できたらなという思いがあった。寄席があり得ない(=開いていない)時間にしゃべっている高揚感もありましたし、楽しかったですね」と手応えを明かした。
これまで中年男性客が多かったという客席にも、明確な変化が生じた。「カップル多かったですね。お若い方もいらしていただいて、うれしかったですね」と、新たな落語ファンの獲得にも成功した。
真打ちになってわずか2年で挑んだ今回の挑戦。「大きな事故もなく」千秋楽を迎えたが、桃花の落語家人生はまだ始まったばかり。
「長い噺家人生。これからもルーティンになる落語会や演目を作っていきたいなという気持ちがありますね、少しずつゆっくり作品と向き合って、ひとつの話をじっくり詰め込むということをやりたいと思います」と、息の長い活躍も視野に入れる。「今後も私なりの課題をもって、いろんなことをやりたい。蝶花楼桃花の今後の注目してください」と、千秋楽前会見を締めくくった。
ちなみに千秋楽のネタ下ろしは、師匠の春風亭小朝直伝の「試し酒」だった。