【光る君へ】ファーストサマーウイカ「スピンオフ作ってくれないかな」 『枕草子』誕生シーンに感慨

俳優のファーストサマーウイカがこのほど、ききょう/清少納言役で出演しているNHKの大河ドラマ『光る君へ』(日曜午後8時ほか)の取材会に出席。反響を呼んだ『枕草子』誕生シーンについて撮影秘話を明かした。

定子を励まそうと筆を手にしたききょう(ファーストサマーウイカ)【写真:(C)NHK】
定子を励まそうと筆を手にしたききょう(ファーストサマーウイカ)【写真:(C)NHK】

予告で「春はあけぼの」の“声”が使われる

 俳優のファーストサマーウイカがこのほど、ききょう/清少納言役で出演しているNHKの大河ドラマ『光る君へ』(日曜午後8時ほか)の取材会に出席。反響を呼んだ『枕草子』誕生シーンについて撮影秘話を明かした。

 一条天皇(塩野瑛久)に入内した中宮・定子(高畑充希)に仕え、忠誠を尽くしていたききょうだったが、5月26日に放送された第21回では、出家することになった中宮・定子(高畑充希)を励まそうと筆を手にした。

 それが後の『枕草子』となるのだが、演じるウイカにとっては「あのシーンは始まりでもあるんですが、それと同時に定子を取り巻く中関白家の元気がなくなっていく始まりにも差しかかっていましたので、すごく複雑な気持ちでした」と心境を打ち明ける。

 生きる気力を失った定子を、少しでも励まそうと筆をとったききょうの胸の内にも思いをはせた。

「それまでのききょうは、物語の中では異端で、ある種の浮いた存在で、そんな一風変わったききょうが定子様のために『枕草子』を書き始めるという、彼女のこの先の長い人生で、きっと一番の使命として、命がけで書き始めたものの重さ。はじめは中関白家が没落していくことを覚悟していたわけじゃないんです。定子様になんとか笑ってもらおうと、なにか面白い、気が紛れるものを書けたらいいな、という純粋な思いなんです。だからこそ、緊張感もありました。演者としては、やはりこれが1000年後まで人々を魅了するものになるっていう重荷というか、プレッシャーを抱えての撮影という感じでした」

 そんな『枕草子』誕生シーンは、ききょうが筆をとる場面から四季折々の情景を織り交ぜながら、定子が「春はあけぼの」と有名な冒頭部分を読み上げる様子が映し出された。1分以上にわたる“セリフなし”の名シーンとなったわけだが、演出の舞台裏では「紆余曲折があった」と明かす。

「実はですね、この回は原(英輔)監督が演出されたんですけど、制作サイドの中でも意見が分かれていたそうです。まず、私も『枕草子』冒頭の『春は――』から全部読んで録音していたんです。しかも原文と現代語訳の2パターンを録っていたんです。定子様も同じ2パターンを録っていました」

予告に大興奮「何人の方がお気づきか分からないですけど」

 編集が終わる頃、ウイカのマネジャーのもとに1本の電話が入った。

「原監督からお電話がありました。『すみません、あのシーンですが、定子の語りでいきたいと思います』と。理由としては、ききょうが快活な性格上、一方的に喋り立てるようなキャラクターだったのに黙々と書いて定子様にお渡しするギャップがあること、そしてやはりる定子の心の声で朗読した方が、より感動が伝わるんじゃないだろうかという結論に至ったそうです」

 この連絡にウイカは「あまりドラマで『こういう編集になりました』と、わざわざ一介の役者に報告することはないと思うんです」と驚きだったとしつつ、「いろんなパターンを想定されていたのは知っていましたが、監督から説明いただいた瞬間、それだ!! とシーンを想像して鳥肌が立ちました。すぐさま『それがいいと思います。いや、それしかないですね!』と電話口でたかぶりながら答えたのを覚えています」。

 興奮気味に当時のやり取りを明かすと、「私はすべてO.Aで確認するので、ききょうの音声が使われないことがわかったものの、実際どんなシーンになったかはわからない状態で第20回の最後に流れる次回予告を観たんです」と少しトーンを落として振り返った。すると、ここでもウイカの予想を裏切る演出があったと再び声のボリュームを上げた。

「第21回の予告に『春はあけぼの』って定子様とききょうの2人が背中合わせに映ったシーンがあって、『春は』が定子様で、『あけぼの』が私の声だったんですよ! これ、初のコラボレーションですよね! 定子様の声とききょうの声で、『春は』『あけぼの』……ガッシャーン! みたいな。キャーかっこいい!って(笑)」

 本編ではなくとも重要シーンで生まれた高畑との“声”での共演。思いもよらぬ予告に感無量のようで、よりじょう舌になった。

「あの予告の声に何人の方がお気づきか分からないですけど、あそこのアニメ感と言いますか、これだけでもスピンオフを作ってくれないかなって思ったぐらいです(笑)。原監督はおそらく何日も頭を悩まされていたと思うんですが、素晴らしいですね! 原監督は90年生まれの同い年というのもあり、この場面はすごく感慨深いものがありました。同い年の監督に撮ってもらった自分の看板というか、代表になる第21回でしたので、いや~感動もひとしおでしたね」

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