投資用タワマン購入のリスクとは? 不動産のプロが警鐘「ほぼ詐欺行為。鵜呑みにしないで」
投資の対象として変わらぬ人気を誇る不動産物件。中でもタワーマンションは価値が下がりにくいとされることから、副収入源や税金対策、インフレ対策と経済状況に左右されにくい投資対象として、多くの投資家が注目している。
投資目的であれば早期の売却も手の一つ
投資の対象として変わらぬ人気を誇る不動産物件。中でもタワーマンションは価値が下がりにくいとされることから、副収入源や税金対策、インフレ対策と経済状況に左右されにくい投資対象として、多くの投資家が注目している。
しかし、何事も「うまい話」ばかりではないのが現実。都内某所のタワマンに住む立花良亮さん(仮名・41歳)は、所持している物件の価格が思った以上に上がらなかったことに不満を覚えているという。
「『投資に最適だから』。そう言われ、今から10数年ほど前に築2~3年程度の比較的新しいタワマンの部屋を購入しました。ぶっちゃけてしまうと、立地はあまりよくありません。でも、子どもの通う私立小学校に近く、商店街も近くにあり、暮らす上で不便を感じることはありませんでした」
子どもたちが大きくなってきて手狭になったこと、また東京オリンピック以降、東京都内の不動産価格が上昇したこともあり、部屋を購入金額より高い値段で売却し、その利益で新しいマンションを購入しようと画策した立花さん。しかし、その目論見は外れることになった。
「業者に見積もりを取ったところ、購入時より安い金額を提示されたんです。投資に最適と言われた以上、買値より高い値段で売ることができると信じていました。妻は『築15年たった物件に、価値なんてあるわけない。あなたがうまい言葉にだまされただけでしょ』と、あきれ顔。子どもたちからは『パパ、僕の部屋はまだ?』と嘆かれています。僕はだまされたんでしょうか」
不動産は「立地」がものを言う
「実際にその物件の場所や状態を見てみないことには確実なことを言えませんが、立花さんご自身が『立地はそこまでよくない』とおっしゃっているので、それが全てだろうと思います」
そう話すのは、20年以上に渡り不動産業界で活躍する、中目黒コレカライフ不動産の姉帯裕樹さんだ。
「不動産物件の価値は、新しい・古い、タワマンか否かといった要因よりも、駅からの距離、つまり立地がものを言います。駅から離れれば離れるほど価値が下がるんです。ただ、住環境そのものはそこまで悪いようにも思えないし、都内のタワマンの価格はそこまで下落していると思えないので、見積もりをお願いした業者が安く見積もっている可能性もなくはありません。別の業者にも“あいみつ”を取ってみたほうがいいでしょう。また、買い取り&再販を行う業者は、物件を買い取った後にリフォームを行ってから再販します。購入代金とリフォーム代分を差し引いてもうけを必ず出さなければならないので、その分を見積もり金額から差し引いて、安く買い取りたいんです」
肝心の「投資に最適」という売り言葉は的確だったのだろうか?
「うーん、何をもってして業者がそのようなことを言ったのか……。売買でメリットがあるというよりも、賃貸に出して利益が得られる可能性を言っただけなのかもしれないので、何とも言えませんね。ただ、売買での投資目的であれば、築年数が浅く価格が下落しないうちに手放すという手もあったのでは? と思います。
ちなみに『税金対策のためにもマンションを買ったほうがいい、そのために住宅ローンを組んだ方がいい』そんな言葉で釣ってくる場合は詐欺行為みたいなものなので鵜呑みにしないようにしてください。そもそも不動産投資は、プロでも正解が分からないことが多いもの。不動産に限らずどのような投資も、リターンがある分、リスクもあるものですので、そのことを心にとどめておきましょう」
□姉帯裕樹(あねたい・ひろき)「株式会社ジュネクス」代表取締役。宅地建物取引士の資格を持ち、不動産取り扱い経験は20年以上を数える。独立した現在は目黒区中目黒で不動産の賃貸、売買、管理を扱う「コレカライフ不動産」として営業中。趣味はおいしいラーメンの食べ歩き。