再計量でまさかの体重増量…神田コウヤがプロ19戦目で初の減量失敗のワケ「いつ起きてもおかしくなかった」

格闘技イベント「DEEP 120 IMPACT」(東京・後楽園ホール)が14日、行われた。第6試合のフェザー級(65.8キロ)マッチで木下カラテ(27=和術慧舟會HEARTS)と対戦し、判定負けを喫した神田コウヤ(28=THE BLACK BELT JAPAN)は13日の前日計量でまさかの体重超過をした。10代のレスリング選手時から戦ってきている66キロ、MMAではプロ18戦、これまで1度も計量ミスはなかった。一体何が起きていたのか。試合後の控室で話を聞いた。

試合後の神田コウヤ【写真:ENCOUNT編集部】
試合後の神田コウヤ【写真:ENCOUNT編集部】

10年以上戦っている66kgで初のミス

 格闘技イベント「DEEP 120 IMPACT」(東京・後楽園ホール)が14日、行われた。第6試合のフェザー級(65.8キロ)マッチで木下カラテ(27=和術慧舟會HEARTS)と対戦し、判定負けを喫した神田コウヤ(28=THE BLACK BELT JAPAN)は13日の前日計量でまさかの体重超過をした。10代のレスリング選手時から戦ってきている66キロ、MMAではプロ18戦、これまで1度も計量ミスはなかった。一体何が起きていたのか。試合後の控室で話を聞いた。(取材・文=島田将斗)

 ◇ ◇ ◇

――なぜ体重超過をしてしまったのでしょうか。

「まずは木下選手、申し訳ありません。試合を成立させてくださり本当にありがとうございました。超過ですが、自分はデビューのころから水抜きとリカバリーの幅が増えてきていて、感覚がマヒしていたのかと思っています。いつのまにか体が限界を迎えていました。毎回、フェザーに落とす減量はきついと思っていて、それはファイターだから当たり前だと思ってやってきました。一方で、毎試合減量するたびに体が大きくなっていたんです。今までと同じ方法で失敗してしまいました。遅かれ早かれ、このミスはいつ起きてもおかしくはなかったです」

――今回は具体的にどのような計画で減量をしていたのでしょうか。

「これまでと同じプロセスではありました。1か月前の体重は75から76キロ、1週間前には74キロ、3日前は73キロ、そこからまず塩抜きを1.5キロしました。ここでカリウムを過剰摂取し、動悸などの症状が出始めました。試合2日前から約5キロの水抜きを始めた形です」

――12日開始の水抜きのどのあたりで異変を感じ始めましたか。

「最初は夏なので浴槽に浸かった水抜きで1回1.5キロほど落ちました。それでも最後の方になってくると全く落ちず。1分間お湯に浸かっているだけで心拍も上がってきてしまうという形です」

――減量中はパートナーなど付いていたのですか。

「いつもと同じく1人です」

――それはとても危険なのではないでしょうか。

「そうですね。思考がもう深く狭まっていってしまうので、極限の選択をする気持ちは分かります。オーバーしてしまったときのことも想像してしまうし、寝られないし、もちろん水も飲めないしという状況でした」

ライト級変更を示唆「フェザーで続けていくことは今は考えられないです」

――どのタイミングで体重を落とせないという決断になりましたか。

「13日(計量日)の朝です。1時間お湯に入ったり出たりを繰り返しても100グラムも落ちなかったので、DEEPの事務局に電話をさせていただきました」

――DEEP事務局からはどんな返答を。

「減量事故の問題もあるので、とても心配してくださって、『無理やりにでも落とせ』というよりは、『三半規管もおかしくなっている』ということで今できることを考えてくれました。体重計には誠意を見せるために乗った形です」

――1回目の計量時よりも再計量時の体重の方が重かったため、ネット上では「ルール内での意図的な体重戻し」を指摘する声がありました。

「これについては申し訳ありません。自分の理解不足です。1回目に体重計に乗って2キロ未満のオーバー(試合成立の条件)でした。そのあとに午後4時から再計量があると知らなくて、リカバリーを始めてしまったんです。それで2.95キロオーバーしたところから落とす形になって増えてしまいました。木下選手、大沢ケンジ代表からしても、印象は悪かっただろうなと申し訳ないです。試合時の体重はこれまでと同じです」

――試合前にはメンタル面の変化を語っていました。それが今回のミスに影響したと思いますか。

「全く関係ないですね。このミスは次だったかもしれないし、前回の試合だったかもしれない。17、8歳から66キロでやっています。減量をすると、その後って絶対リバウンドします。それが10年間積み重なって、今回。シンプルに筋肉量が増えている。水抜きの量も増えている。その分、リカバリーできるから有利になると思っていたんですけど、体の限界を超えてしまいました。もう無理です。こうやってオーバーしないと気が付けなかったのは愚かでした」

――TBJでは4月に減量セミナーも開催していました。松井斗輝選手、神田選手と計量ミスが続いていますが、組織的な問題なのでしょうか。

「そうではないですね。(減量の限界は)自分で気が付くのが難しいけど、気づかなければいけないところです。自分も松井もTBJでインストラクターをやっています。面汚しではないですけど、今回の件で鶴屋浩代表に頭を下げてもらって尻拭いしてもらった部分もあるんです」

――今後の階級はどうなるのでしょうか。

「今回の件でいろんな方に多大な迷惑をかけてしまったので、フェザーで続けていくことは今は考えられないです」

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