19歳の鈴木梨央、キャリア14年で味わってきた挫折と転機「終わった時は抜け殻状態になった」

ブロードウェイミュージカル『ピーター・パン』(7月24日~8月2日、東京国際フォーラムホールC、演出・振付=長谷川寧)で新たにウェンディ役を務めることになった俳優の鈴木梨央(19)。5歳の時から芸能活動を始め、今年で14年。鈴木が、子役から俳優になったと思った瞬間とは?

鈴木梨央が自身の俳優人生について振り返る【写真:荒川祐史】
鈴木梨央が自身の俳優人生について振り返る【写真:荒川祐史】

5歳から活躍の人気子役が俳優になったと感じた瞬間は

 ブロードウェイミュージカル『ピーター・パン』(7月24日~8月2日、東京国際フォーラムホールC、演出・振付=長谷川寧)で新たにウェンディ役を務めることになった俳優の鈴木梨央(19)。5歳の時から芸能活動を始め、今年で14年。鈴木が、子役から俳優になったと思った瞬間とは?(取材・文=平辻哲也)

 鈴木は日本テレビ系ドラマ『Mother』(2010年)で教え子役の芦田愛菜(19)を見て、「愛菜ちゃんのようになりたい」と思い、芦田が所属する事務所のオーディションに応募。NHK大河ドラマ『八重の桜』(13年)で八重(綾瀬はるか)の幼少期役で注目を集め、その後ヒロイン波瑠の幼少期と娘役を演じた連続テレビ小説『あさが来た』(15年)、CMではKDDI、ポカリスエットなどで人気子役となった。

「朝ドラ(あさが来た)は大阪弁と京都弁があって、方言指導の先生が吹き込んでくれた音声を聴いて、ラップのようにして覚えていました。先生に褒めていただけた時は本当にうれしかったです」

 子役としては順調にキャリアを積み重ねてきたように見えるが、挫折も経験しているという。

「オーディションに落ちて悔しい気持ちは何百回も味わってきました。また、作品ごとに難しいと思ったり、悩んだりすることも多かったんですけど、やめたいと思ったことはなかったです。(俳優業には)それを超えた楽しさがあります。」

 転機になったのは、中学3年の時に舞台初出演した『奇跡の人』(19年4月、演出・森新太郎)だという。1歳半で視覚と聴覚に障害を持ち、言葉を失った少女ヘレン・ケラーが、教師アン・サリヴァン(高畑充希)との出会いをきっかけに、新たな人生を歩みだしていく物語だ。

 この舞台では、ヘレンとともに、成長を実感できた。役を演じるに当たっては盲学校を訪問し、障害を持つ同年代の生徒たちとも触れ合った。

「何も分からない状態の自分に、アドバイスしてくださる方がいて、深くヘレン・ケラーと関わり、演じることができたと思います。小学生の時とは違う、でも大人でもない時に出演させていただいたことで、改めて頑張らないといけないという気持ちにさせてもらいました。この舞台でヘレン・ケラーを演じるにあたり、よりエネルギーを使いましたので、すべての公演が終わったあとには抜け殻状態で、身も心も鍛えられました」と振り返る。

 22年の公演(高畑充希、平祐奈)にも足を運んだそうで、「本当に大好きな作品です。お客さん側で見ていても、ゾワゾワするものがありました。舞台はお客さんに見ていただいて、どう感じていただけるかを肌で感じられるのも魅力で、自分の中では楽しいと思える空間なんです」

 そんな鈴木が子役から俳優になった瞬間はいつだったのか。

「自分ではあまり意識したことがありませんが、年下の子や小さい子を見て、“あの時の自分はこうだったな”と思う瞬間や今まで最年少だったはずなのに、いつからか『アドバイスしてほしい』とも言われたりするようになりました。」

 来年2月には20歳になる。

「高校を卒業して、自分では大人になってきたつもりですが、まだまだ勉強中。色々な方から教えていただいています」

『ピーター・パン』ではピーター(山﨑玲奈)とともに永遠の子どもの国「ネバーランド」へ冒険に繰り出す少女ウェンディを演じるが、芝居への気持ちは子役時代から変わりはない。

「これは大人になっても変わらないんだろうと思います。お芝居することが大好きなので、これからも向き合って、見てくださる人に届く役者でありたいと思っています。それにはお芝居だけではなく、日頃から精神面も含めて成長していかないといけないなと。小さなことからでも良いと思うので自分の力でできることを増やしていきたいです」と誓った。

■鈴木梨央(すずき・りお)2005年2月10日生まれ、埼玉県出身。5歳から芸能活動を開始。大河ドラマ『八重の桜』で主人公の幼少期、連続テレビ小説『あさが来た』では主人公の幼少期と娘役を演じる。19年に『奇跡の人』で初舞台を踏み、『るろうに剣心京都篇』(22年)、『ダーウィン・ヤング悪の起源』(23年)、博多座『新生!熱血ブラバン少女。』と舞台経験を積む。主な出演作に、ドラマ『Woman』、『お兄ちゃん、ガチャ』、『青のSP』、『ひきこもり先生』、『命のバトン』、『リエゾン』の他、映画やCMと多方面に活躍中。また声優として『どろろ』『ミルドレッドの魔女学校』『屋根裏のラジャ―』『遊☆戯☆王ゴーラッシュ!!』など。

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