大後寿々花、映画出演で幽霊のような人間のような役柄「違和感しかなかった」

俳優の大後寿々花(30)が映画『幽霊はわがままな夢を見る』(6月29日公開、グ スーヨン監督)に出演した。俳優になる夢に破れて、故郷・下関に戻ってきた主人公ユリ(深町友里恵)につきまとう“お菊”。大後が「役には違和感しかなかった」と語る理由は……。

大後寿々花【写真:荒川祐史】
大後寿々花【写真:荒川祐史】

映画『幽霊はわがままな夢を見る』に出演

 俳優の大後寿々花(30)が映画『幽霊はわがままな夢を見る』(6月29日公開、グ スーヨン監督)に出演した。俳優になる夢に破れて、故郷・下関に戻ってきた主人公ユリ(深町友里恵)につきまとう“お菊”。大後が「役には違和感しかなかった」と語る理由は……。(取材・文=平辻哲也)

 本作は、俳優・加藤雅也(61)が下関出身のグ スーヨン監督と俳優・深町友里恵(32)に「下関発のオリジナルムービーを撮ろう」と声かけして実現。俳優になる夢が破れ、故郷・下関に帰って来た主人公・ユリ(深町)が、下関の風に吹かれながら自分を見つめ直す姿を描く。大後の役はユリにいじめられていた幼なじみ・お菊だ。

「お菊役には違和感しかなかったんです。監督は『幽霊っぽく見える感じにしたい』とおっしゃっていたので、しゃべり方、内容、距離感が普通の人とは違う感じでした。実際に作品として仕上がっていた時、どうなるんだろうと思っていましたが、登場人物の中で一番人間っぽいなと思いました」

 確かにお菊は不思議な存在だ。主人公にはいじめられた恨みを持っているが、なぜか後をつきまとっていく。

「ユリのことが嫌いだったら、ほっとけばいいのに気になって、ずっとついていくのはすごく人間らしい(笑)。だから、不思議な人間と見えるし、幽霊と言われれば、そうかなと思えるし、ちょっとあいまいな感じで、今までに出会ったことないキャラクターでした。ボソボソとしゃべっていてもダメと言われることもなかったのも新鮮でした。テレビドラマだと、聞こえるようにはっきりしゃべらないといけないという意識が働くのですが、そういうのもなかったんです」

 撮影は約2週間、下関でロケした。

「空がすごく広いというのが第一印象でした。宿泊先も海の近くで、海も深い青。天気が悪いと、ちょっと荒々しかったりして、自然を目の当たりにするような感覚がありました。下関弁も音源をいただいて、覚えていったのですが、実際の地元の方には訛りはなくて、セリフの方が強いかもしれません」

 劇中、主人公は父親(加藤)が経営する地元ラジオ局の立て直しに協力することになり、ラジオドラマを製作することになり、お菊も、下関ゆかりの怪談『耳なし芳一』を朗読する。大後はラジオドラマの経験も豊富。見ごたえのある場面になっている。

「ナレーションをベースに何役かをやりました。お菊はあいまいな役なので、1本の筋を通さなくても成り立つのではないかと思ったので、それぞれ振り切ってやってみました」

 幽霊のような、人間のような「お菊」は楽しんで演じられたそうで、「昔から、小学生の時に高校生の役が来たり、高校生の時にお母さんの役が来たりと、自分の想像を超えた役の話があったりするのが面白いと思っています。これからも、その時その時の出会いが楽しめたらいいかなと思っています」と大後。意表をついた役で観客を驚かせてくれそうだ。

□大後寿々花(おおご・すずか)1993年8月5日生まれ、神奈川県出身。2000年、舞台「国盗り物語」でデビュー。 05年『北の零年』(行定勲監督)に出演したことがきっかけで映画『SAYURI』(ロブ・マーシャル監督)に出演。チャン・ツィイーが演じるヒロインの子供時代を演じ11歳でハリウッドデビューを果たす。主な作品に『桐島、部活やめるってよ』(12/吉田大八監督)、『鎌倉にて』(16/中田秀夫監督)、『“隠れビッチ”やってました。』(19/三木康一郎監督)、『湖の女たち』(24/大森立嗣監督)など。

次のページへ (2/2) 【写真】大後寿々花と愛犬の2ショット
1 2
あなたの“気になる”を教えてください