パッキャオとボクシング戦の鈴木千裕 2人の師匠は心境複雑「やめたほうがいい」「危ない」

立ち技格闘技イベント「MAROOMS presents KNOCK OUT CARNIVAL 2024 SUPER BOUT “BLAZE”」が23日、東京・国立代々木競技場第二体育館で行われた。メインカードのRIZINフェザー級王者の鈴木千裕(25=クロスポイント吉祥寺)と五味隆典(45=東林間ラスカルジム)の“ボクシング戦”はドロー決着に。試合後、鈴木はボクシングの難しさを語った。一方で2人の師匠は来月マニー・パッキャオとRIZINの舞台で対戦する鈴木へのの不安を吐露した。

囲み取材に応じた鈴木千裕【写真:ENCOUNT編集部】
囲み取材に応じた鈴木千裕【写真:ENCOUNT編集部】

本人は前向き「やっぱりボクシングは難しい」

 立ち技格闘技イベント「MAROOMS presents KNOCK OUT CARNIVAL 2024 SUPER BOUT “BLAZE”」が23日、東京・国立代々木競技場第二体育館で行われた。メインカードのRIZINフェザー級王者の鈴木千裕(25=クロスポイント吉祥寺)と五味隆典(45=東林間ラスカルジム)の“ボクシング戦”はドロー決着に。試合後、鈴木はボクシングの難しさを語った。一方で2人の師匠は来月マニー・パッキャオとRIZINの舞台で対戦する鈴木へのの不安を吐露した。

 年齢差20歳の師弟対決として盛り上がっていたこの試合だが、ファンの期待していた殴り合いにはならなかった。鈴木は五味の大振りなパンチを避け、カウンターパンチを繰り出す戦い方に。MMAで見せる前出る姿はなかった。

 感想について「倒したかったところなんですけど、山場が作れなくて課題が残るなという感じですね。すごい圧を感じました。予想がたつけど入りにくいというのはありました」と語る。

 踏み込めなかった理由について「勝負をいけるところに振り切っていけなかった。練習時点で来る打撃が大体想定できているんですよ。『ここ打ったら、これが来る』、それが勝手な先入観になったのかなと」と明かす。

 そして最後に「やっぱりボクシングは難しいっすね。パッキャオは『ボクシングが深い』って言ってた理由は本当によく分かります。練習じゃ分からないです。試合をやらないとその深さは分からない」と語り、来月のパッキャオ戦へ課題が見つかったとうなずいた。

会見に参加した「KNOCK OUT」の山口元気代表(左)と五味隆典【写真:ENCOUNT編集部】
会見に参加した「KNOCK OUT」の山口元気代表(左)と五味隆典【写真:ENCOUNT編集部】

五味隆典と鈴木の所属ジム会長は不安に

 この日、対戦相手となった師匠・五味と「KNOCK OUT」代表で鈴木のジムの会長である山口元気氏は弟子への率直な心境を吐露する。

 五味は弟子の挑むパッキャオ戦について「いまから練習して1か月後にウサイン・ボルトに勝つっていうこと」と説明した。

「顎でも折れちゃったら防衛戦もできなくなるし。それくらい軽くで折れちゃうからね。本当にそう思うけどね。今日のボクシングだとかなり厳しいと思うよ。ボクシング入門って感じかな。基本通りやってるだけ。迫力は感じなかったかな」

 さらにこの試合は8オンスのグローブが使われることも明らかになっている。

「体重的には10オンスのはずなんですよ。なんでパッキャオ選手がそれを飲んだのか分からない。薄ければ薄いほど危ないと思う。パッキャオ選手は10オンスでも相手を倒してるので、千裕が危険な可能性は高まると思いますよ。ヘッドギアして分からないように入れ替えしたりして出よう」

 一方で「お祭りだっていうのもあるし、パッキャオさんを日本で見れるならっていうのもあるしね……。はぁ」とRIZIN側の考えにも理解を示していた。

「1R目、千裕で2R目俺が出てって」と笑いながらタッグマッチ案を提案。それでも「ダブルブッキングの悪いところだよね。遠慮しちゃったな。もっと正々堂々やりたかったですけどね。師弟ならね」とどこか悲しげな表情をしていた。

 鈴木のジムの会長である山口氏は鈴木のパッキャオ戦に反対していたという。「基本的には無理じゃないかなと。僕自身はあまり気が進まなかった」と大会後の会見で明かす。

 8オンスのグローブで行われることも知らなかったようで「やめたほうがいい」と語り、これまで通りキックボクシングとMMAの二刀流で戦ってほしいという思いを吐露していた。

「でもやっぱり優先するべきは本人じゃないですか」と苦笑い。山口氏も未来ある格闘家の挑戦に悩んでいるようだった。

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