ボーイズグループ・BE:FIRSTのメンバーで俳優の三山凌輝が、主人公・佐田寅子（伊藤沙莉）の弟・直明役で出演するNHKの連続テレビ小説『虎に翼』（月～土曜午前8時）の取材会に出席し、朝ドラ初出演が決まった際の心境や直明と自身の共通点、さらに主役の伊藤の魅力などを明かした。

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「出演が決まった時は、ただただうれしかったです。伝統あるNHKの朝ドラに出演するのは自分の目標でした。俳優としての自分の人生設計図の中で、『虎に翼』という作品はすごく大切な作品になるとクランクイン前から確信していました。反響も大きく、いろんな人から声をかけていただきましたし、ファンの方にうれしい報告をできました。今まで応援してくれた方に恩返しできたかなと思います」

　演じる直明は責任感が強く、まじめでしっかりしていて読書好き。演じる上で心掛けたことを聞いた。

「そういう部分のキャラクターの説明だと僕とすごくかけ離れた感があるように思えますが（笑）、根本的な熱量や素直さは僕と似ています。そこはそのまま直明として出していきたいと思いました。それほど真逆の人間ではなく、自分の本性と近い部分がたくさんある役だと感じましたので、僕がこの時代にいたら、ということから始めました」

　あらためて直明をどういう人物ととらえているか。

「最初の登場から直明の人間味が出続けていると思います。自分と似ているというか共感するのは素直さ。直明はすごく愛情を受けてきたと思いますが、僕もすごく家族から愛情を受けてきたので、そこはそのまま直明に溶け込めると思いました。あまり人を疑わないし、人を好きだし……すごく幸せな人間だと思います」

　出演する時代は戦後間もない昭和。昭和の役作りはどうしたのか。

「衣装を着てセットに入り、映像を通した時、顔を含めて周りから意外と昭和っぽいねと言われることが多く、今回のテイストに合っていたようです」

　撮影初参加で撮ったのは久々に実家に帰ってきたシーン。

「猪爪家の俳優さんたちの演技力がものすごいんです。初めましての僕が演じる直明に抱きついて泣いてくれるんですよ。すごいなと思って……あの感動はいまだに忘れられないです」

　他のエピソードも尋ねてみた。

「一日中NHKのスタジオに直明としているので、よし直明を演じるぞと思わなくても自然と自分が勝手に直明になっている気がします。自然にマインドができあがるほど、ずっと直明に向き合っていると思います。ちょっと撮影期間が空いた時は寂しくなりました。舞台裏の話としては、撮影の合間の待ち時間に楽屋で爆睡して、そろそろ出番ですと呼びに来てくださったスタッフの方のドアのノックで目を覚ましたことがありました。急いでスタジオに行ったら、もう本番（笑）」

　伊藤の座長ぶりはどうだろう。

「人としてすてきです。気さくで飾らなくて親しみやすい方。伊藤さんのお兄さん（オズワルド・伊藤俊介）が僕たち（BE:FIRST）のファンという話やうちの母が沙莉さんのファンで舞台を見に行ったという話をして初日から盛り上がりました。笑顔がすてきですし、お芝居はもちろんですが、人として素晴らしく圧倒され、もはや良い意味で引いています（笑）。本当にお姉ちゃんのようでプライベートの話も聞いてくれます」

　具体的にどんな部分に圧倒されるのか。

「さっきまで前室で爆笑しながら話していたのに、直後の本番でいきなり大泣きするシーンを難なく演じるとか……アジャストが天才的な方。自由に迷いなく演じているようにも見えます」

　作品が人気を得ている理由をどう分析しているかも尋ねてみた。

「脚本家の吉田恵里香さんが天才ということは間違いないです。きれいごとだけじゃなく人間の泥臭く、矛盾している部分もうまく台本に落とし込んでいらっしゃると思います。人間味のある台本になっていると感じます。あと昭和の女性の苦労など描かれるテーマが現代にも結びついていて、他人事ではない感覚としてとらえられるのが今を生きる人たちの共感を得ている理由かなと思います」

　兄・直道の息子を演じる子役2人との共演シーンも多い。子役とのエピソードも聞いた。

「昼休憩の時間には毎回、『直明兄ちゃん食堂行こう』と言われて連れて行かれます。3人とも丸刈りですから、並んで食べていると座高が丁度いい具合に携帯電話のアンテナみたいになり、周りからクスクス笑われています。丸刈り3人衆がいつも食堂にいると有名になっているみたいです。僕は子どもがすごく好きで、僕の子どもの頃の夢は幼稚園の先生になることでした」

　直明は読書が大好きな設定。三山が喜びを感じる瞬間はどんな時だろう。

「お酒を飲む瞬間です（笑）。冗談ですが！　僕にとって友人と息抜きをする時間はすごく大事。一緒にサウナに行ったり、デトックスは大事です」

『虎に翼』を通じ人として学んだことはあっただろうか。

「優しさは大事だと思いました。生きづらい世の中、ストレスがたまりやすい都会、僕も気づくとせかせかしたり、イライラする瞬間もあります。そんな時、『虎に翼』の現場に入ると気持ちが落ち着くというかリラックスできます」

　最後に視聴者にメッセージ。

「現代と描かれる昭和の時代がリンクする瞬間が多いです。今を生きる皆さんが共感できて、心にすっと入ってくるような瞬間がたくさんあります。コミカルな部分も多く、重くなり過ぎずすてきなバランスで楽しめると思います」