兄の死が大きな転機? 命懸けで主人公の力を引き出した3人の「ジャンプ」兄キャラ
名作と言われる「週刊少年ジャンプ」(集英社)作品の漫画やアニメには、主人公のために命を懸けた兄が登場する。主人公の兄たちは、実力者として大いに活躍する場面が描かれ、人気キャラになることが多い。そのため、彼らが死を迎える場面は、主人公だけでなく読者にとってもショッキングなシーンである。本記事では、そんな印象的な死を迎えた主人公の兄たちについて振り返る。
命懸けで主人公の力を引き出した兄たち
名作と言われる「週刊少年ジャンプ」(集英社)作品の漫画やアニメには、主人公のために命を懸けた兄が登場する。主人公の兄たちは、実力者として大いに活躍する場面が描かれ、人気キャラになることが多い。そのため、彼らが死を迎える場面は、主人公だけでなく読者にとってもショッキングなシーンである。本記事では、そんな印象的な死を迎えた主人公の兄たちについて振り返る。
最初に紹介するのは、漫画『キン肉マン』(作:ゆでたまご)の主人公・キン肉スグルの兄・キン肉アタルだ。コミックス24巻から始まる「キン肉星王位争奪編」に登場したアタルは、当初、キン肉マンソルジャーを名乗って正体を隠していた。しかし、キン肉マン スーパー・フェニックスとの戦いの最中、正体が明らかになったアタルは、フェニックスの技に追い詰められながらも、弟・スグルに自身の戦いぶりを残そうと最後の力を振り絞る。
しかし、奮闘むなしく、フェニックスに敗れたアタルは、スグルを始め正義超人に「キン肉王家3つの心得」を託して消滅してしまうのだった。命懸けでスグルに超人界の未来を託したアタルにSNS上では「自分も死ぬ時はアタルのように人の為に生き、人の為に死にたい」「男としての生き方を教わった」との声が寄せられている。アタルの生き様は、弟のスグルのみならず、読者の心にも大きな影響を与えたに違いない。
続いて紹介するのは、漫画『北斗の拳』(原作:武論尊、作画:原哲夫)に登場する主人公ケンシロウの義兄・トキだ。北斗4兄弟の次男で、ラオウとカイオウの弟にあたるトキは、コミックス12巻で兄・ラオウとの戦いに敗れたのち、病の身体をおして村人の治療にあたっていた。そんな彼のもとに、ケンシロウの実力を見定めようとするリュウガがやってくるとトキに襲い掛かり、強烈な一撃を与える。トキが殺されたと思ったケンシロウは、リュウガに怒りの拳をぶつけ、止めを刺そうとした瞬間、生きていたトキが現れケンシロウは攻撃を止めた。
リュウガは妹であるユリアが認めたケンシロウの実力を確かめるため、自ら腹を切り、トキ殺しの悪名を背負って死んでいく覚悟でケンシロウと向き合ったのだ。
ケンシロウを愛するユリアの兄・リュウガの思いを受け止めた上で、トキはケンシロウに「哀しみを怒りに変えて生きよ!!」と伝え、リュウガとともに息を引き取る。この出来事を機に、ケンシロウは哀しみを力に変え、北斗神拳究極奥義「無想転生」を体得するのだが、トキの死なくしては、技の習得には至らなかったのかもしれない。
最後に紹介するのは、漫画『ONE PIECE』(作:尾田栄一郎)の主人公・ルフィの義兄であるポートガス・D・エースだ。「黒ひげ」ことマーシャル・D・ティーチとの決闘に敗れ、世界政府に捕らえられてしまったエースは、公開処刑の対象となる。そこにエースを救出しようとする白ひげ海賊団などが現れ、世界政府との頂上戦争が勃発する。
戦争の最中、エースは一度は処刑台から救出されるものの、海軍大将(当時)・赤犬の攻撃からルフィをかばい命を落とした。自らの腕の中でエースの最期を看取ったルフィは、ショックのあまり意識を失う。この出来事がきっかけとなり、ルフィたち麦わらの一味は、それぞれ2年間の修行で力をつけて再会することになる。エースを救えなかったという無念が、より厳しい修行をするきっかけになったに違いない。
今回紹介した3人の兄は、いずれも自らの死によって主人公の生きざまに影響を与えている人物ばかりである。そしてその影響力は、漫画内に留まらず、読者に対しても、生き方を考えるひとつのきっかけとなっているだろう。