ミュージカル『GIRLFRIEND』、公開稽古で脚本家がキャストにオーダー「キラキラを消して」

俳優の高橋健介、萩谷慧悟(7ORDER)、島太星(NORD)、吉高志音、井澤巧麻、木原瑠生が28日、東京・千代田区の帝国劇場稽古場で、6月14日から開幕する日比谷シアタークリエミュージカル『GIRLFRIEND』の公開稽古を行った。今回、同ミュージカルの翻訳と演出を手掛ける脚本家の小山ゆうな氏が、脚本や役者たちについて語った。

取材に応じた脚本家の小山ゆうな氏【写真:ENCOUNT編集部】
取材に応じた脚本家の小山ゆうな氏【写真:ENCOUNT編集部】

原曲の“繰り返し”をいかし翻訳はシンプルを意識

 俳優の高橋健介、萩谷慧悟(7ORDER)、島太星(NORD)、吉高志音、井澤巧麻、木原瑠生が28日、東京・千代田区の帝国劇場稽古場で、6月14日から開幕する日比谷シアタークリエミュージカル『GIRLFRIEND』の公開稽古を行った。今回、同ミュージカルの翻訳と演出を手掛ける脚本家の小山ゆうな氏が、脚本や役者たちについて語った。

 同作は、アメリカのシンガーソングライターで1990年代の“パワーポップ”を代表するマシュー・スウィートの楽曲をモチーフにしたミュージカル。脚本家のトッド・アーモンド氏が、91年にマシューがリリースしたアルバム『GIRLFRIEND』の楽曲と自身の経験を織り交ぜ、ミュージカルに仕立てたもの。90年代のアメリカ・ネブラスカ州の田舎町を舞台に、学校に馴染めない男子高校生ウィルと、野球部でスポーツ万能な人気者・マイクとの恋模様を描く。高校卒業時にマイクがウィルに渡したミックステープをきっかけに、2人の距離が近づいていく。もともとの『GIRLFRIEND』収録曲は男性から女性に向けた歌詞だが、劇中ではウィルとマイクの心の内や2人の距離が縮まっていく様子を表している。

 90年代のアメリカといえば、98年にワイオミング州で同性愛者であることを理由に大学生のマシュー・シェパードさんが殺害された事件が発生。同ミュージカルは、同性愛者であることを公にすることが難しかった90年代を舞台に、互いの気持ちをなかなかオープンにすることができないながらも距離を縮めていく男子高校生の2人の青春を描く。

 小山氏は、「プロデューサーさんが企画から全部作られた作品で、最初の企画書の段階で、どういう風な作品にしたいか、歌をどういう風に見せたいかがはっきりしている作品でした。そこにスタッフもキャストものっかっている状態で、どこに向かったらいいかという道筋がはっきりしています。『シアタークリエで新しいことをしたい』というプロデューサーの思いがこのキャスティングにも表れていると思います」と語った。

 マシュー・スウィートの楽曲は日本語で披露されるが、「もともとの英語はポップスなので同じ歌詞の繰り返しが多いのですが、ある程度その繰り返しの要素をいかそうと判断しました」と説明。「この子たち(ウィルとマイク)は語彙もそんなに多くない。シンプルな言葉しか持たず、流ちょうに話せないから間もできちゃう。その中で一生懸命に相手に思いを伝えたい。翻訳の中では、そんなシンプルな言葉を意識しています。今みんなで、『この言葉の裏の本当の意味はなんだろうね』という(理解を深める)作業をやっています」とこだわっている点を明かした。

 キャストの印象を聞かれると、「6人それぞれ全然違って、得意なことも違う。ある種、ライバルでもあると思うけれど、お互いの得意なことをシャットアウトするのではなく、お互いに渡し合う。相乗効果でみんなどんどん良くなる」と称賛した。

 しかし、「みんなキラキラしていて、そのキラキラをもうちょっと消してほしい」とオーダー。「この作品は、疎外された子たちというか、マイクも人気者ではあるけど、田舎町の疎外された人たち(が登場人物)。でも、みんなキラキラしていてる」と俳優陣のオーラに戸惑いも。マイク役の萩谷について、「萩谷さんはギターもダンスもめちゃめちゃ上手で、アメリカの田舎町だから(そこまで目立たないで)」と伝えれると、萩谷は「公開でダメ出しされた……もうちょっと田舎町感を出します」と自虐的に笑いを誘った。

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