『つるぴかハゲ丸』のむらしんぼが絶賛する漫画家・浦沢直樹「僕には絶対に描けないと思った」
1980年代から「月刊コロコロコミック」で連載されていたギャグ漫画『つるピカハゲ丸』は当時、子どもたちがせりふをまねするなど人気を集めたのむらしんぼ先生の代表作だ。そんなのむら先生が感銘を受けた漫画家の名前を明かした。
デビュー前の浦沢直樹氏の絵に感嘆「この人すごいですね」
1980年代から「月刊コロコロコミック」で連載されていたギャグ漫画『つるピカハゲ丸』は当時、子どもたちがせりふをまねするなど人気を集めたのむらしんぼ先生の代表作だ。そんなのむら先生が感銘を受けた漫画家の名前を明かした。
幼少期には漫画にどっぷりとハマる生活だったのむら先生。当時は藤子不二雄さんの作品や手塚治虫さんの作品に夢中になっていた。しかし現在では「漫画はあまり読まない」と苦笑い。「元々あまり読まないんですよね。どちらかというと活字なんです」と明かした。
そんな中でも、のむら先生が感銘を受けた漫画家がいた。「最近の漫画は絵が進化しすぎていて、デジタルを使っているから……」と言葉を濁しながらも、絵のお手本としている漫画家について、「浦沢直樹さんですね」と答えた。
「浦沢さんが学年誌でまだカット描きしていた時代があったんです。そのときに、浦沢さんが自転車などの挿絵を描いていたんです。それを見たとき、『いい絵を描くし、めちゃくちゃうまいし、この人すごいですね』って編集の人と話していたんです。それで『浦沢直樹』という名前を覚えていたんです」と浦沢氏との出会いはプロ漫画家としてデビューする前だったようだ。
そして、月日がたち、手に取った浦沢氏の漫画。
「作品名は忘れてしまいましたが、浦沢さんの作品の中で雨のシーンがあったんですよ。その構図が自分では絶対に描けないなと思ったんです。大きなコマに雨の中、傘を差して立ちすくむ女の子を描いていたんです。遠目から映した女の子。コマの余白をうまく使っていました。たったこれだけで情景描写や心理描写を描いているんですよね。僕だったら、子ども漫画をやっているので、多分顔のアップにしたりするんですよ。やっぱり顔を見せたくなっちゃう。このときに、『浦沢さんってすごいな』と思ったんです。
僕は、絵が下手なんだけど、絵を勉強するために時々買う漫画家の1人なんですよ。こういう絵の感じとか、顔を描きたいなとか思うんですよ。自分から意識して、『この人のこういう絵を描けるようになりたいな』『この人の絵、好きだな』って思うのは、浦沢直樹先生なんです」
表向きには似ても似つかない2人の先生の作品だが、そこには意外なつながりがあった。