福士蒼汰、30歳の現在地「俳優は一種のアーティスト」 明かした野望「性格の上では監督業の方が」

映画『湖の女たち』(5月17日公開、大森立嗣監督)に主演した俳優の福士蒼汰(30)は、本作出演で「初めて銀幕の中にいる役者」という気持ちを体験できたと語る。海外作品『THE HEAD』Season2から映画、ドラマ、舞台に幅広く出演する福士の現在地は?

インタビューに応える福士蒼汰【写真:矢口亨】
インタビューに応える福士蒼汰【写真:矢口亨】

映画『湖の女たち』で主演

 映画『湖の女たち』(5月17日公開、大森立嗣監督)に主演した俳優の福士蒼汰(30)は、本作出演で「初めて銀幕の中にいる役者」という気持ちを体験できたと語る。海外作品『THE HEAD』Season2から映画、ドラマ、舞台に幅広く出演する福士の現在地は?(取材・文=平辻哲也)

 エンタメ作品を中心に、海外ドラマ、短編の初監督など幅広い活躍を見せる福士。本作は吉田修一氏の同名小説を原作、湖畔の介護施設での殺人事件を発端に、現在と過去が交錯していくヒューマンミステリー。福士は出産を控える妻がいながら、容疑者の一人である介護士・佳代(松本まりか)に入れあげ、サディスティックな支配欲を見せる刑事を演じた。

「映画の銀幕に映る役者は、こういうことなんだ、と思えたのは初めての経験でした。今までもさまざまな作品に出演させていただきましたが、今までと違う扉を開いた、というか、本当に大きく変わった気がします。役者として幅も広がった感覚です。それを、20代のラストに感じることができたのはすごく良かった気がします」

 昨今、作品選びも振り幅があるが、出演は自身で決めているのか。

「その時々にマネジャーさんたちと話し合って、決めているのですが、20代の頃はどちらかというと決めていただいたお仕事を受けていたように思います。自分で『これがやりたい』と意思を持つようになったのは、ここ数年くらいかもしれません。14年間、この業界にいて、自分なりに考えを持つことができるようになったんです。自分のことを一番知っているのは自分ですから。でも、周りの客観的な意見も大事にしています」

 2011年にデビューし、『仮面ライダーフォーゼ』では主演を飾り、翌年にはNHK連続テレビ小説『あまちゃん』ではヒロイン、のんの相手役を務めるなど着実に階段を登ってきた。昨年はHuluオリジナル『THE HEAD』Season2に出演。20代のうちに海外進出する夢も実現させている。

「自分自身が変わったと思える瞬間はたくさんあります。『仮面ライダーフォーゼ』『あまちゃん』もそうだし、着実に成長することができた。日本映画という文脈で言えば、『ちょっと今から仕事やめてくる』(17年)での経験も大きかったです。成島出監督の演出は、大森監督と似たような感覚がありました。当時は未熟すぎて感じ取れなかったのですが、成島監督は厳しい中にも優しさと笑顔があり、監督のお仕事が好きだということが伝わってきました」

俳優と監督の違いを明かした【写真:矢口亨】
俳優と監督の違いを明かした【写真:矢口亨】

野望も語る「いつかは長編映画にも」

 WOWOWが開局30周年を記念して企画した『アクターズ・ショート・フィルムズ4』では、ショートフィルム『イツキトミワ』で初監督にも挑戦した。肉体労働で家計を支えながらかつて美大進学を目指していた一葵(清水尋也)は、ギャラリーで自分の作品を見つめる三羽(芋生悠)と出会うというストーリー。参考にした監督はあったのか。

「参考にした作品は特になく、自分の表現したいままを脚本に落とし込みました。演出に関しても、自分がやりたいようにやってみた感覚です。音声を使わない部分では、本番中に僕が役者さんに直接話しかけたり……。役者さんたちからリアクションがあって、それが感情に現れるのが面白かった。自分の中では編集も想像できていたので、大丈夫と確信があったんです」

 この経験は、俳優としてフィードバックしていくのだろう。

「監督と役者は、考え方、見方が全然違うなと思いました。役者は本番の一瞬に全神経を集中させますが、監督は多岐にわたって長く集中している状態なんです。この感覚は結構、好きでした。僕は客観性も強いので、性格の上では監督の方が合っているかもしれない」

 昨今、監督やプロデュースする俳優も増えているが、もともと興味があったのか。

「ありましたが、現実的には難しいとは思っていました。アイデアを出すだけであればできないことはないのですが、監督は全体を見ないといけないので、敬遠していました。でも、やってみたら思った以上に楽しかった。いつかは長編映画にも挑んでみたいです」

 今後は俳優を軸にしながらも、クリエイティブにも関わっていきたい気持ちもあるという。

「俳優は、一種のアーティストという感覚が自分の中でもあるので、いろんなことをやっていいのかなと思っています。また、海外作品に挑戦していくというのも目標の一つ。僕の中で国は関係ないという思いもあるので、国を越えて、人種を越えて、いろんな方と一緒に仕事していきたいと思います」。30代を過ぎて、新たな一面をどんどん見せてくれそうだ。

□福士蒼汰(ふくし・そうた)1993年5月30日、東京都出身。身長183センチ、血液型0型。2011年にデビューして以来、数々のドラマや映画で活躍。近年の主な出演作に、ドラマ『星から来たあなた』(23/Prime Video)、『弁護士ソドム』(23/TX)、『大奥』(24/NHK)、『アイのない恋人たち』(24/テレビ朝日)など。WOWOW『アクターズ・ショート・フィルムズ4』では、初監督作品『イツキトミワ』を手がけた。海外作品デビューとなったドラマ『THE HEAD』Season2はHuluで配信中。

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