『ドリームキャスト』がセガ最後の家庭用ゲーム機となった理由 先進的すぎた機能たち

PCゲームやPlayStation 5、Nintendo Switchなどの家庭用ゲーム、さらにはアーケードゲームまで幅広く開発している老舗ゲームメーカーのセガ。今では家庭用ゲーム機の開発から撤退しているが、1988年にメガドライブ、94年にセガサターン、そして98年にはドリームキャストという家庭用ゲーム機を販売していた。しかし、ドリームキャストを最後にして家庭用ゲーム機事業から撤退。そこで今回は、セガの家庭用ゲーム機開発が撤退に至るまでの経緯について紹介しよう。

ドリームキャスト【写真:ENCOUNT編集部】
ドリームキャスト【写真:ENCOUNT編集部】

プレイステーション2の人気の牙城を崩せず

 PCゲームやPlayStation 5、Nintendo Switchなどの家庭用ゲーム、さらにはアーケードゲームまで幅広く開発している老舗ゲームメーカーのセガ。今では家庭用ゲーム機の開発から撤退しているが、1988年にメガドライブ、94年にセガサターン、そして98年にはドリームキャストという家庭用ゲーム機を販売していた。しかし、ドリームキャストを最後にして家庭用ゲーム機事業から撤退。そこで今回は、セガの家庭用ゲーム機開発が撤退に至るまでの経緯について紹介しよう。

 そもそもセガは94年に発売したセガサターンの売れ行きが好調だったが、競合であるソニー・コンピュータエンタテインメント(現:ソニー・インタラクティブエンタテインメント)のPlayStationとの“次世代機戦争”にて販売台数で遅れをとっていた。そこで起死回生を狙って、ゲームと通信を融合させた次世代機・ドリームキャストの開発に取りかかり始める。

 そして98年11月27日、本格的なオンラインコミュニケーション機能を持つ、業界初の家庭用ゲーム機であるドリームキャストを発売した。進化した3DCG映像や、ネットワークになじみがない当時では珍しいインターネット通信機能を搭載。電話回線をつなぐことで電子メールやチャット、通信対戦が可能だった。

 また、コントローラーも特徴的で、セーブデータを保存するメモリーカードである「ビジュアルメモリ」を直接差し込めるようになっており、コントローラーから抜けばビジュアルメモリでミニゲームも楽しめた。ビジュアルメモリだけでなく、音声入力を可能にする「マイクデバイス」などの拡張オプションもコントローラーに差し込んで使用できたのだ。

 マイクデバイスを使ったゲームといえば、人面魚のような知的生命体と会話ができる『シーマン ~禁断のペット~』が思い出される。99年に発売された同タイトルはマイクデバイスを取りつけることで、音声認識技術、そしてユーザーのプレイ履歴などを反映し、シーマンと多彩な会話を楽しめるのだ。発売時は大きな話題を呼び、本機での最大のヒット作となった。

 肝心な売上は本体発売後、最初の年末商戦で40万台ほど。人気シリーズ『バーチャファイター3tb』や『ソニックアドベンチャー』をはじめ、オープンワールドの元祖といわれる『シェンムー 一章 横須賀』、ゲームセンターのガンシューティングゲームとしてお馴染みのシリーズ『ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド2』といった100を超えるソフトが発売された。

 また、専務執行役員だった湯川英一さんが「湯川専務」として出演したCMも注目を集めたが、2000年に発売されたソニーによるプレイステーション2の台頭、「マニアックなゲームが多い」「早期の値下げによる開発コストの回収の遅れ」などの理由が相まって、厳しい状況になっていく。

 そして、ドリームキャストの業績不振により、01年1月にセガはドリームキャストの製造中止を発表し、家庭用ゲーム機事業からの撤退を宣言。結局、4期連続の赤字となり、特別損失811億円を計上することになった。

 その後はパチンコ・パチスロメーカーのサミーと経営統合して、「セガサミーホールディングス」となって経営を立て直している。次世代機戦争では遅れをとったセガだが、世界中に熱烈なファンが多いことも事実だ。またゲーム好きを驚かすようなゲーム機開発を再開してくれることに期待したい。

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