俳優の江口のりこが主演を務め、8月より公開される映画『愛に乱暴』のティザービジュアルと特報映像が22日に解禁された。

　同作は、『悪人』や『怒り』で知られる吉田修一氏の同名小説の映画化。夫の実家の敷地内に建つ“はなれ”で暮らす主人公の日常が少しずつ乱れていく様子と、愛をはらむいびつな衝動と暴走を描くヒューマンサスペンス。

　江口は主人公の桃子を演じ、森ガキ侑大氏が監督を務める。物語に隠されたある仕掛けから映像化は難しいと思われたが、原作小説を繊細にアレンジし、フィルムを使って主人公の背後からまとわり付くようなカメラワークで撮影を行った。

　桃子は夫の実家の敷地内に建つ“はなれ”で暮らしている。義母から受ける微量のストレスや、夫の無関心を振り払うように、センスのある装いや手の込んだ献立など、“丁寧な暮らし”に勤しみ毎日を充実させていた。しかし、桃子の周囲で不穏な出来事が起こり始める。近隣のゴミ捨て場で相次ぐ不審火。失踪した愛猫。度々表示される不気味な不倫アカウント……。桃子の平穏な日常は、少しずつ乱れ始めてしまう。

　公開されたティザービジュアルは2種類。1枚は、ゴミ捨て場にいる桃子の日常のふとした瞬間を切り取ったもの。もう1枚は、なぜか裏庭でスイカを慈しむように抱える桃子の姿。不穏な空気が漂うミステリアスなビジュアルとなっている。また特報では、桃子が夕暮れ時に一人鼻歌を歌いながら線路沿いを歩く様子が映し出される。エリック・サティの有名曲『ジュ・トゥ・ヴ～あなたが欲しい～』を口ずさみながら、隣を通過する電車の轟（ごう）音にかき消されるまいと、徐々に叫びのように大きな鼻歌になっていく様子が狂気をはらんでいる。

　同作では小泉孝太郎、馬場ふみか、風吹ジュンらが共演する。