Vシネマネオ四天王・山口祥行、資格多数の下積み時代「オレは六本木ヒルズを作った男なんです」
大人気オリジナルビデオ・シリーズ『日本統一』で、氷室蓮司役の本宮泰風(52)と共に田村悠人役でダブル主演しているのが俳優の山口祥行(52)だ。刑事役からヤクザ役までこなすベテランはスタントマン志望から俳優になり、Vシネでブレーク。意外な下積み時代を語ってくれた。
竹内力との出会いに感謝「私生活でも面倒を見てもらいました」
大人気オリジナルビデオ・シリーズ『日本統一』で、氷室蓮司役の本宮泰風(52)と共に田村悠人役でダブル主演しているのが俳優の山口祥行(52)だ。刑事役からヤクザ役までこなすベテランはスタントマン志望から俳優になり、Vシネでブレーク。意外な下積み時代を語ってくれた。(取材・文=平辻哲也)
1月期のテレビ東京系ドラマ24『闇バイト家族』では刑事役を演じ、『日本統一』の映画版『氷室蓮司』(4月12日公開)が控える山口。Vシネマの『仁義』シリーズ、『覇王』シリーズ等に出演し、“Vシネマネオ四天王”と呼ばれるが、意外な代表作がある。それは、下積み時代に建設に関わった有名ビルの数々だ。
「オレは六本木ヒルズを作った男なんですよ」
山口は13歳のときに、ジャパンアクションクラブ(通称・JAC、現ジャパンアクションエンタープライズ)の養成所に入所し、キャリアをスタート。16歳の時にジューヌ・ヴェルヌの原作を日本に置き換えたドラマ『十五少年漂流記~忘れられない夏休み~』で主演に抜てきされた。
「スタントマンになろうと思っていたので、俳優は最初、アルバイト感覚でした。オーディションに受かって、気づいたら俳優になった感じですかね。19歳の時にニューヨークへの語学留学を経験したのは、前の事務所の社長が『英語を頑張って学んできなさいよ』と言われて。でも、お金は出してくれなかった(笑)」
俳優としての転機には「難しいことを聞きますね」と苦笑いを浮かべる。
「あっという間にここまで来た感じですね。留学から帰ってきて、最初にやったのは『鶴姫伝奇 -興亡瀬戸内水軍-』(後藤久美子主演、日本テレビ開局40周年記念の年末時代劇、93年)でした。アメリカナイズされてきたのに、思いっきり時代劇でちょんまげの役。なにかタイムスリップした感じで、これは面白い世界だなと思いました」
20代~30代初めまで下積みも長く、建設現場でアルバイトをしていた。
「いろんな免許を持っていました。玉掛け免許(クレーンにつり下げる特殊技術)、アーク溶接、高所作業車運転免許、コンクリート圧送施工技士も。いくつものアルバイトをして俳優以外の職業を真剣に考えた時期もありました。でも、俳優の現場が楽しくて、先輩たちにも恵まれたので、続けたかったんでしょうね」
その手掛けた建築現場がすごい。
「六本木ヒルズの基礎工事に携わりました。当時コンクリート圧送は、いい給料を頂けたんです。しかも夜中の作業だから、夜勤手当もある。ディズニーランド、ディズニーシーの基礎工事や、エルメス(銀座)のビルも携わりました。普通の一軒家や小規模のマンションもありましたが、大きい現場の方が日当が良く、その時は特にうれしかったですね」
俳優としては、以前の所属事務所でもあった「RIKIプロジェクト」の竹内力との出会いも大きい。
「昔の会社の社長でもあり、私生活でも面倒を見てもらいました。弟的な扱いをしてくれて、よく怒られもしました。優しい方であるけれど、厳しいところもあります。事務所を離れても連絡は取り合っていて、僕が出ているドラマもチェックして、喜んでくれます」
山口も面倒見がよさそうに見えるが、「若手からは相談されませんね。あのキックはどうやったらいいですか、とアクションのことは聞かれても、人生のことは聞かれないです」と笑い。
強面なマスクとは対照的に、スミスとダンベルを飼う愛犬家という面も持っている。
「メロメロですね。家の中で飼っているんですが、散歩にも行きます。今、近所が建築ラッシュなんですが、スミスのウンコを取っている時に、建築現場の人から『ファンです。握手してください』と言われてしまって(笑)。『握手はダメだろうって。じゃあ、写真だけな』と言いました」とちゃめっ気たっぷりに話していた。
□山口祥行(やまぐち・よしゆき)1971年8月6日生まれ、東京都出身。ジャパンアクションクラブ出身。2017年ジャパンアクションアワードベストアクション男優・最優秀賞受賞。主な出演作品に、映画『覇王』シリーズ(16-17)、『アウトレイジ最終章』(17)、『罪の声』(20)、『BAD CITY』(22)等。ドラマ『駐在刑事』シリーズ(14、18-)、『鎌倉殿の13人』(22)『ファーストペンギン!』(22)『闇バイト家族』(24)、ゲーム『龍が如く7外伝 名を消した男』(23)。