『夜桜さんちの大作戦』川島零士&本渡楓、成長経て“同じ役”に再抜擢 共通点の多い「全く違う」2人

「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載中の人気漫画『夜桜さんちの大作戦』のテレビアニメがMBS・TBS系で4月7日からスタートする。本作は、歴史あるスパイ一家の夜桜家で過ごす高校生・朝野太陽が個性あふれる兄妹ちに囲まれながら波乱の日常を送るスパイ家族コメディーだ。権平ひつじ氏による原作漫画はこれまでのコミック累計発行部数250万部(電子版含む)を誇る人気漫画。アニメスタートを目前に期待が高まる中、主人公・太陽を演じる川島零士とヒロイン・夜桜六美役の本渡 楓がインタビューに応じ、同作への意気込みや魅力を語った。

インタビューに応じた川島零士(左)と本渡楓【写真:北野翔也】
インタビューに応じた川島零士(左)と本渡楓【写真:北野翔也】

同じ役への挑戦は「絶対に負けられない戦いです(笑)」

「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載中の人気漫画『夜桜さんちの大作戦』のテレビアニメがMBS・TBS系で4月7日からスタートする。本作は、歴史あるスパイ一家の夜桜家で過ごす高校生・朝野太陽が個性あふれる兄妹ちに囲まれながら波乱の日常を送るスパイ家族コメディーだ。権平ひつじ氏による原作漫画はこれまでのコミック累計発行部数250万部(電子版含む)を誇る人気漫画。アニメスタートを目前に期待が高まる中、主人公・太陽を演じる川島零士とヒロイン・夜桜六美役の本渡 楓がインタビューに応じ、同作への意気込みや魅力を語った。(取材・文=中村彰洋)

――川島さんは2020年に「ボイスコミック」で太陽役、本渡さんは21年に「ボイスカレンダー」で六美役を担当されていましたが、アニメでも同じ役を演じることになりましたが、心境はいかがでしょうか。

川島「ボイスコミックは4年前なので、お芝居もうまくなっていなきゃいけないじゃないですか。それを経て『今だったら何ができるんだろう』とつねに考えています。昔の自分との絶対に負けられない戦いです(笑)。ジャンプ漫画の主人公という、すごく名誉な役をいただけているので、『1つも譲らないぞ!』とプレッシャーをかけながらやっています」

本渡「ボイスカレンダーのときもオーディションが実はあったんです。ボイスコミックでもありましたよね?」

川島「あった!」

本渡「カレンダーのときは、何役か受けさせていただいたうえで、六美とのご縁をいただきました。ボイスカレンダーだけでもうれしかったんですけど、『ジャンプだし、きっとアニメになるんだろうな。そのときに私はオーディション受けられるのかな?』と思いながら当時は精一杯やっていました。そして今回、アニメのオーディション資料をいただいたときは本当にうれしかったですね。でも、何を信じればいいのかが難しかったです。過去の自分の演じ方を再現した方がいいのか、それともさらにもう1歩先の何かをやった方がいいのか。その部分はすごく葛藤しました」

川島「普通に受けるよりもヒリヒリするね」

本渡「そうなんです。もう1度、同じ役のオーディションを受けるというなかなかないパターンでした。その上で、またご縁を改めていただいたので、喜びはひとしおでしたね。零士くんがさっき言っていた『過去の自分に負けない』という思いは私も感じていました。今までにあまり経験したことのないことだったので、ちょっと緊張もしました」

――数年越しにまた同じ役をやることで何か発見はありましたか。

川島「ボイスコミックは、3話までしか収録をしていなかったので、そこで完結するようなお芝居を意識していました。でも今度は、アニメとして長くやる作品になると思うので、その分だけバックボーンの助走もより深く準備して、挑んでいます。ほかにも間とか、映像がついていたりと全く違うので、自然とアプローチも変わるなという発見がありました」

本渡「ボイスカレンダーの頃は、『今どんな表情かな?』と自分でかみ砕きながら、考えていました。アニメだと映像があるので、他の兄妹たちがドタバタを繰り広げているとき、『六美ってこんな顔で見守ってたんだ』といった発見もあって、新たな魅力にも気付けました。全く別物の収録のような気持ちでしたね。カレンダーは個々での収録でしたが、今回はキャストさんと掛け合いでの収録だったので、そこでの新たな発見もありました」

川島「兄妹たちをすごく個性的に演じてくださっているので、それを俯瞰したときに『もっと太陽はこうした方がより作品が映えるな』とか、バランスを見ながら、より深いところまで考えることができたことはアニメでの収録が始まって、一緒に掛け合いをしたからこそなのかもしれないですね」

――キャラクターのことは好きになりましたか。

本渡「なりますね~」

川島「共通点とか探したりする?」

本渡「します! 今の宣材写真(黒髪に前髪のみ金髪)と大体髪が一緒です(笑)。このときの私の前髪をちょっと左にグッてずらしたら六美と一緒とか思いますね。こういった取材をさせていただいたり、イベントがあったりするたびに、キャラクターのことを考える時間が増えてどんどん好きになっていきます」

川島「こういうインタビューも一緒に受ける人数が増えれば増えるほど楽しいですね。各々の役への考え方を聞くと、『ということは太陽ってもうちょっとこうだよな』とか、より深く知ることができます。自分のことを器用貧乏な方だと思っていたのですが、追い込まれたときに、めちゃめちゃ不器用な一面が出てしまったことがあって、そのときに、初めて『太陽と近い部分あったわ』とも気付きました(笑)」

朝野太陽役を務める川島零士【写真:北野翔也】
朝野太陽役を務める川島零士【写真:北野翔也】

川島の私服を借りての“ペアルック”のインタビューで「夫婦感」

――ジャンプ漫画の主人公とヒロインというとても大きな役だと思いますが、漫画原作がある作品とアニメオリジナル作品で演じ方の違いなどはありますか。

川島「どちらが好きかとか、やり方だとかったりは声優の中でも、読者さんや視聴者さんの中でも意見が分かれるところですよね。僕は、もちろん原作をすごく大切にすることが大前提ですが、シーンごとに原作の雰囲気を少し混ぜた方がより魅力が伝わるかもとか、アニメだと映像がついているので、原作よりも少し派手にとか、抑えた方がアニメの完成品としてはいいかも、みたいなところはフラットに見るようにしています。変に僕の意図だけで曲げないようには意識しているかもしれないですね」

本渡「これまでにアニメオリジナル作品もやらせていただくことがありましたが、違いは感じていました。オリジナルの場合は、前もってシナリオを渡される場合もありますが、台本を読むタイミングで知るということもありました。だから共演者の中で『これ、どういう意味だと思う?』などディスカッションをしていました。『この先こういうことあるのかな?』とか、スタッフさんも含めてみんなで育てていくような印象がありました。だから、自分の頭の中で想像を膨らませることが多かったです。

 原作がコミックスの場合は、すでにきれいな絵が描かれているので、それを道しるべにすることができるんです。先々のことも知ることができますが、それを知っていた方がいいのかも役によって違うんです。魂胆があるキャラクターの場合は多分知っていた方がいいとは思うのですが、それも読み進めないことには分からないんですよね。

 もう1つ私の中で違うのは、アフレコする際に、漫画を覚えるほどに読み込んでしまうと、描かれていた顔でしゃべっちゃうんです。それもいいのですが、よりアニメーションとして広げたい場合に、そこにとらわれてしまうと難しくなってしまう感覚があるんです。そこの違いは、アフレコ現場で痛感しますね。どちらにも良さがあって、どちらにも難しさがあります」

――同年代で同じ出身地、ともに声優アワードで新人賞を受賞など共通点が多いですが、お互いの印象はいかがでしょうか。

川島「楓ちゃんも服がめちゃくちゃ好きで、『あ! そのコラボバック持ってる声優さんっていないでしょ!』と声を掛けたのが初めてでした。女性が持つにはなかなかの破壊力があるというか……」

本渡「その言い方だと『何を持っているんだ』ってみんなすごい想像しちゃうから! すごい機嫌がいい日に勢いで奮発したカバンです(笑)。零士くんと共演する前に、どんな人だろうと検索してみたんですけど、キャラクターの役作りノートを作っていたというのをお見かけして、『うお、めちゃくちゃ真面目な人なのかな』と思っていたらこんな感じだったんで(笑)。『なんだ~全然違うじゃ~ん!』って」

川島「おいおいおいおい!」

本渡「『最新刊の何ページ何コマ目見ましたか?』とか言われたらどうしようと思っていたんですけど、こんな感じだったので、すごい安心しました。私とは全く違うタイプですね。私の友達や周りにはいないタイプだったので、新しい友達という気持ちです」

夜桜六美役を務める本渡楓【写真:北野翔也】
夜桜六美役を務める本渡楓【写真:北野翔也】

――今日はペアルックのセーターを着用されていますね。

本渡「確かに! もうペアルックなことを忘れていました。これは零士くんが……」

川島「赤と白のトラさんがかわいすぎて、私服で買いました。ちょっと表情が微妙に違うんです」

――え、私服なんですか。

本渡「これは零士くんが買った私服なんです。急に『めちゃめちゃ太陽と六美じゃない? よかったら着ない?』ってLINEがきたんです。そんなこと言われるの初めてだなって(笑)。『人の私服に袖を通していいのだろうか……』って」

――では、川島さんの私服を着ているということですね。

本渡「はい。私物です。背中にタグもついてます(笑)」

川島「外していいのに!」

本渡「ダメです。人様の服のタグなんて取れないです。衣装提供していただいたと書いておいてください(笑)。でも本当にぴったりでした。2人で写真に写ったときにめちゃめちゃかわいい夫婦感、タッグみたいな感じが出ていて、ぴったりでした」

川島「『夜桜』はコメディの部分も魅力だと思っています。だから、ちょっとこのおそろいのトラさんたちを通して、『夜桜』のコメディの魅力が伝わればと……。ビジュアルでも楽しんでもらえたらと思っています」

本渡「だそうです(笑)」

――お2人とも似合っていますね。

川島「これ着こなせるのすごいよ。僕は家で合わせるとき、どうやって着たらいいんだろうって、組み合わせが難しかったんです。楓ちゃんは、現物がないので、脳内で想像してコーデ決めたんでしょ? すごいなって(笑)」

本渡「ありがとうございます(笑)」

□川島零士(かわしま・れいじ)11月30日、愛知県出身。2017年に声優デビュー。21年にテレビアニメ『不滅のあなたへ』で初主演。同年、第16回声優アワードで新人男優賞を受賞した。23年に『マッシュル-MASHLE-』、24年には『夜桜さんちの大作戦』など数々の話題アニメに出演。

□本渡 楓(ほんど・かえで)年3月6日、愛知県出身。2015年に声優デビューし、同年に『アニメかみさまみならい ヒミツのここたま』で初主演。19年には『転生したらスライムだった件』など多数の人気アニメに出演。同年に開催された第13回声優アワードで新人女優賞を受賞した。その後も22年『パリピ孔明』、23年『ポケットモンスター』などでメインキャラに抜てき。24年には『夜桜さんちの大作戦』でヒロインを務める。

『夜桜さんちの大作戦』が7日から放送
『夜桜さんちの大作戦』が7日から放送

◯『夜桜さんちの大作戦』
原作コミックス最新23巻&ノベライズ第2弾発売中
TVアニメ『夜桜さんちの大作戦』
4月7日から日曜午後5時~MBS/TBS系全国28局ネットにて放送開始
Prime Video/Netflixにて日曜午後5時30分~見放題最速配信

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