引っ越し後の隣人あいさつは必要? マンションのプロに聞いた注意点、不安な女性は「男性同伴も吉」
新年度までいよいよあとわずか。大学進学や新社会人生活に合わせて、1人暮らしを始める女性も多いだろう。引っ越しがピークを迎える中、気になるのが、近隣との付き合い方。手土産を持ってあいさつにいくべき? ゴミ捨てのタイミングは? 大阪で賃貸マンションを展開している株式会社プレジオに聞いた。
隣人あいさつ「マストではないが…」、さまざまなメリット
新年度までいよいよあとわずか。大学進学や新社会人生活に合わせて、1人暮らしを始める女性も多いだろう。引っ越しがピークを迎える中、気になるのが、近隣との付き合い方。手土産を持ってあいさつにいくべき? ゴミ捨てのタイミングは? 大阪で賃貸マンションを展開している株式会社プレジオに聞いた。
諸外国に比べ、治安面の不安は少ないとはいえ、女性の1人暮らしは、注意したい点もある。近年、「深夜にコンビニでアイスを買ってはいけない」(アイスは溶けやすいため、女性が近くに住んでいるとの印象を与える)と盛んに言われているように、都会ならではの盲点も隠れている。
引っ越ししてどのようなことに気をつけるべきなのか。
まず、気になるのは隣の住人へのあいさつだ。マンションやアパートの場合、手土産を持ってあいさつにいくというのは男女問わず、以前から行われている。一方で、隣にどんな人物が住んでいるかは、ドアを開けてみないと分からない。女性専用フロアならまだしも、男性も住んでいる集合住宅であれば、結果的にはいらぬ接点を作りかねないという見方もある。
これについて、プレジオの広報担当は、「弊社としては、女性の単身1人暮らしであってもあいさつはしてもよいという考え方です」との見解を示した。
あいさつをすることで、プラスになることが多いというのが理由だ。
「あいさつをするメリットは、『住人同士のコミュニケーション活性化』です。例えばマンション住民全員は無理でも、同じフロアの住人の顔を知っていれば、『この人は部外者だ』と判断することができます。また、マンション内で会った人にあいさつをすれば、『私はあなたの存在を認識しています』というアピールになります」
仮に侵入者がいた場合、あいさつを交わしている姿を見せることで、抑止力になる効果も。
「侵入者に『自分は見られている』と思わせ、犯行を思いとどまらせる効果が期待できます。都会の賃貸マンションでは、住人同士のコミュニティーは希薄なことが多いですが、あいさつ程度は交わす関係を構築してもよいかもしれないですね」と続けた。
もちろん、あいさつは絶対ではないという。「あいさつをしないメリットは、同フロアの住人への身バレが防げるので、近隣の住人から犯罪等で狙われるリスクが一時的には少なくなります」。存在そのものを消せば、確かにターゲットにはなりにくい。
ただし、そこに住み続けるのであれば、自然と顔を合わせる機会は出てくるもの。「建物内のエレベーターなどに偶然乗り合わせた人が同じフロアの住人だった! ということは往々にしてありえるので注意が必要」とも。あいさつをしていないことが、返って気まずい雰囲気にさせてしまうこともある。「それならば先にあいさつをしておいて、あいさつを交わす程度の仲になっていたほうが犯罪の抑止につながるのでは」と、付け加えた。
とはいっても、1人であいさつをしにいくのは不安という女性もいるだろう。「個人情報保護の観点から他の部屋の入居者の情報を伝えることはどうしてもできない」というご時世だ。契約時に入手できる事前情報も極端に限られている。勇気を出してあいさつに行ったところ、見知らぬおじさんから「出身は?」「大学生?」など、あれこれ質問されても困る。
そこで、同担当者は、あいさつにいく際のポイントとして、「毅然とした態度であいさつをする。同伴してくれる男性がいれば男性についてきてもらうのが吉」と助言。父親でも母親でもいい。頼りになる人を連れていきたい。
置き配、ゴミ出し、洗濯物…1人暮らしの注意点とは
1人暮らしで意識しておきたい点は日頃の生活でもある。
まずは荷物の受け取りだ。コロナ禍以降、置き配が定着。ウーバーイーツなど食事の宅配を頼むことも増えた。
これについては、「のぞき穴などから、人がいないことを確認して置き配を受け取る」を心がけたい。
直接受け取る場合は、「絶対にドアガードをしてから扉を開ける」。部屋にモニターがない場合は、「心配であれば大手警備会社から発売しているホームセキュリティーなどの導入も検討してみるとよいかもしれません。賃貸マンションでも導入可能な工事不要の後付けタイプのホームセキュリティーグッズも発売されています」と、対策を講じることはできる。
また、ゴミの出し方については、「個人情報の含まれているごみは小さくちぎるなどして簡単には個人情報が特定できないようにして捨てましょう。タイミングについては、できるだけゴミ収集の直前にゴミを出すのがベターです」。最近では24時間いつでもゴミ出しOKなマンションも増えている。しかし、深夜にパジャマ姿はなるべく避けたいところだ。洗濯物も、「下着類などは、タオルなどの大きめの洗濯物で隠すようにして干すとよいと思います。夜間の街頭犯罪率はどうしても日中と比べて高いので、できるだけ日中に取り込むのがベター」と指摘した。
犯罪から身を守るためには、物件そのものの設備も問われる。外から部屋の入口が丸見えなアパートよりも、オートロック付きのマンションのほうが安全性が高いのは明らかだ。
「建物の防犯対策のキモは、『いかに部外者の侵入を防ぐか』です。その点で言えば、オートロックは不可欠な条件です。物件の規模や形状にもよりますが、可能であれば物件の敷地内に入る場合、建物内に入る場合と複数のオートロックがある物件が防犯性が高くおすすめです」
さらに、部屋のカギも重要な視点だ。
「『ピッキング』や『サムターン回し』という空き巣狙いの手口を聞いたことがある方も多いと思います。新しいマンションではこれらに対応した錠前を設置するケースが多いですが、古い物件では、簡単に開けられるタイプのカギをつけているケースもありますので事前に確認しておきましょう。1つのドアに2つの錠前がついている『ワンドア・ツーロック』物件の方がより安全です。鍵開けの技術がある空き巣は開けることが可能ですが、2つの錠前があれば開錠に時間がかかる分だけ誰かに目撃される可能性が高くなりますので、そうした物件は初めから狙いません」と解説した。