深夜のタワマンに響く酔っぱらいの怒声 コロナ禍の終焉で訪れた思わぬ事態
昨年5月から新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行し、多くの飲食店でコロナ禍以前のような盛り上がりを見せている。経済が戻るのは良いことだが、3年に渡るコロナ禍と現状とのギャップに悩む人も少なくないようで、タワーマンションの住民も例外ではないようだ。いったいどんな問題が起きているのだろうか。
住居はタワマンの10階付近も「うるさくて…」
昨年5月から新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行し、多くの飲食店でコロナ禍以前のような盛り上がりを見せている。経済が戻るのは良いことだが、3年に渡るコロナ禍と現状とのギャップに悩む人も少なくないようで、タワーマンションの住民も例外ではないようだ。いったいどんな問題が起きているのだろうか。
今回、話を聞いたのは、東京・湾岸エリアのタワマンに住む森田優未さん(仮名・58歳)。商社勤務の夫に付き添い家族そろって海外に駐在していたが、日本の大学に進学する息子のため、コロナ禍直前に帰国を決めたという。
「家を手配し、帰国したのは2020年の3月。すぐにコロナ禍に入りましたが、日本ではロックダウンとまではならなかったし、感染状況も海外ほどひどくなかったので安心して暮らしていました」
優未さんが頭を抱えるようになるのは、それから3年を経た今年の夏。コロナ禍の終焉(しゅうえん)とともに、思わぬ事態が訪れた。
「私と息子が住んでいるタワーマンションは、低層階に飲食店やクリニックなどの商業施設が多数入っているんです。コロナ禍中は人気が少なかったためまったく気にならなかったのですが、日常が戻るや否や、深夜に奇声を上げる酔っ払いや大声で騒ぐ人たちが出始め、それが聞こえてくるためうるさくて……」
優未さんが住むのは10階付近だが、周囲に反響するためか、そうした騒音が顕著に響くという。
「もっと高層部の部屋を買えばよかったと、後悔してやみません。でも、あんな風に騒ぐのもどうかと思うんですよね。ですから、店舗に改善要求を申し入れたいと思っています」
店外での騒音は被害を訴えるのが難しいことも
こうした騒音被害は、たとえタワマンであっても関係なく存在するもの。20年以上のキャリアを持ち、不動産業界に精通する中目黒「コレカライフ不動産」の姉帯裕樹さんに対処法を尋ねてみた。
「今回の騒音のような『住人の利益に反する行為』については、管理規約にあれこれと定められているはずです。まずはそこを確認しましょう。もちろん、店舗に対し改善要求を出すことは可能です。ただ、店舗内での騒音が外に漏れているわけではなく、酔っぱらった人が路上で騒いでいるだけとなると判断が難しいので、騒いでいる人がいたら管理人に連絡し、注意してもらったほうがいいかもしれません」
しかし、うるさいと感じるたびに管理人に連絡を入れるのも面倒臭い。そもそも、管理人が不在の場合もあるだろう。
「理事会が貸し出している店舗に入っているテナントである場合は、マンションの総会にはかり、店舗の営業時間の制限を設けることもできます。しかし、あまり早い時間帯に閉店を求めてしまうと、そもそも入居する飲食店がなくなってしまい、マンションの貴重な収入源が確保できなくなることも懸念されます。まずは管理組合や管理会社に相談を。お一人で動くのではなく、マンションの総意であることを伝え、改善をお願いしたほうがスムーズにいくと思います。
これからタワマンをはじめ、不動産物件の購入を考えているのであれば、どのようなテナントが入っているか確認したほうがいいでしょう。とくに駅に近い物件は、飲食店の有無に関係なく、酔っ払いによる騒音が気になることもあります。音に敏感な方は、駅から離れた閑静な住宅街を狙ったほうがいいかもしれません」
□姉帯裕樹(あねたい・ひろき)「株式会社ジュネクス」代表取締役。宅地建物取引士の資格を持ち、不動産取り扱い経験は20年以上を数える。独立した現在は目黒区中目黒で不動産の賃貸、売買、管理を扱う「コレカライフ不動産」として営業中。趣味はおいしいラーメンの食べ歩き。