俳優の柄本佑がこのほど、藤原道長を演じるNHKの大河ドラマ『光る君へ』（日曜午後8時ほか）の合同取材会に出席。主人公・紫式部（まひろ）を演じる吉高由里子ら共演者との撮影の様子や、撮影を通じた変化について語った。

　本作は千年の時を超えるベストセラー『源氏物語』を生み出した主人公・紫式部の人生を描き、きらびやかな平安貴族の世界と懸命に生きて書いて愛した女性の一生を大石静氏の脚本で物語を紡ぐ。

　柄本演じる道長は父・兼家（段田安則）、姉・詮子（吉田羊）、長兄・道隆（井浦新）、次兄・道兼（玉置玲央）に囲まれた藤原家の末っ子。藤原家を演じる役者陣との共演に、「どことなく家族に見えますね」と顔をほころばせると、「新さんがいて、玲央さんで、羊さんがいて、僕がいて、親父が段田さん。ふわって映った時にすごくきょうだいに見えるなと思って驚きました」とコメント。

　そのなかでも「とにかく段田さんですよね～」と父・兼家が印象的だと語り、「これからの段田さんが、またもう一波あります。僕も一緒にお芝居をさせていただいて、しびれたんですよね」と今後の見せ場に目を細めた。

“きょうだい”についても、「新さんの柔らかいんだけど、どんどん攻撃的になっていく様と、玲央さんの狂気と、そのなかでの道長は1番キャラとしては薄くいようと思っています。周りが強すぎて、羊さんを含めてあの4人に打ち勝つぞと思っても敵わないので、いかに存在感を消せるかという気持ちでやっていました」と印象を明かした。

　道長はのちの最高権力者で、まひろの生涯のソウルメイトという役どころ。「まひろは感情やセリフの内容が行ったり来たりしていて、大石さんっていう人は、なかなかいけずなシーンを書きますな」と苦笑するが、演じる吉高に「懐の深さをすごく感じます」と話し、印象的なシーンをしみじみと振り返った。

「序盤になりますけど、やっぱり第5回のまひろが道長に告白をするシーンが非常に印象に残っていますね。吉高さんに目を奪われていたような気がして、たたずんで見ることしかできなかったです。吉高さんがすごいのは、強いんだけど弱くもあるように見えるんです。しかも、まひろが一言言って、道長のセリフを挟んだ後、今度は真逆のことを言うことがあります。そこがね、明らかに矛盾しているんですけど、どちらも嘘じゃないんですよね。吉高さんには、そのあたりの感情表現で毎回すごいなと思わされています」

　柄本は本作で乗馬や弓、平安時代の馬術競技である「打毬（だきゅう）」にも挑戦。この時代ならではの演出に目を奪われるが、細かな所作にも注意を払っているという。

「弓とか馬とか練習することはいっぱいありましたけど、歩くことはずっと練習していて、暇さえあればうろうろしていました。普通に歩いているんですけど、階段を上り下りする一歩目や敷居をまたぐ一歩目など、全部が左足からなんです。これがね、案外バタつくんですよ。だから、日常に溶かし込んでいこうと意識しています」

　本作には昨年5月、京都・平安神宮でクランクインした。それから9か月以上が経過し、「髪の毛をじゃんじゃん伸ばしています」と見た目の変化について語った。

「まげを地毛で結っています。最初はね、ギリギリ足りてるな、もうちょっと伸びたらいいなっていうところから伸ばし始めました。今は少し伸びすぎていますけど、何よりもセッティングに時間がかからないです。もちろんかつらの人もいますけど、地毛で結った方がコンパクトにまとまって、横も気にせず触れるので楽なんです。1年を通じて出ますし、準備期間もいただけているので、これは非常に助けになっていると思います」