TBSドラマ『訳アリ女ダイアリー』が3月2日（午後2時）に放送される。主演を務める俳優の森川葵と臼田あさ美、吉住が放送を前に囲み取材に応じた。役柄への印象や、仕事とプライベートの両立などについて語った。

　本作は、25歳の若手ドラマプロデューサー・美知留（森川）と42歳のベテランディレクター・昭子（臼田）、35歳の気弱な脚本家・佳代（吉住）が、とあるドラマの脚本づくりに四苦八苦する様子を描いたコメディー。会議室という閉じられた空間の中で、世代も性格も異なる3人の恋愛や社会に対する赤裸々な本音が炸裂する。さらには、私生活での“訳アリ”な事情も影響し、ドラマ脚本の話し合いは大混乱へ。20代・30代・40代と世代で異なる価値観のズレや人生における悩みを抱える3人によるコミカルでリアルな会話劇も見どころの一つだ。

　脚本を担当するのは、数々のバラエティーで放送作家を務め、日曜劇場『ドラゴン桜』（2021年）などのドラマ脚本も執筆するオークラ氏。バナナマンや東京03などのコントも手掛けるコメディーの名手が、女性たちの赤裸々な本音をリズミカルな掛け合いで描く。

――最初に、本作の脚本を読んだときの感想を教えてください。

森川「自分も知らなかったテレビ業界の裏側が描かれているなと思いました。本当の部分もあれば、ドラマとしての部分もあると思うんですけど、いろんなドラマに携わっている私もプロデューサーさんや脚本家さんがどんな話し合いをして作品を作っているのか知らないこともあったので『裏ではこうなっているのかな？』って初めて知る部分が多かったです」

臼田「普段の撮影現場でも女性ディレクターの方ともお仕事することがあるので、あの方の要素も当てはまるかなと思い浮かべながら読みました。3人の訳アリな事情はリアリティーもありつつ、話が進むに連れて『そういう展開になるの？』と楽しめました」

吉住「私は脚本家であり、母親の役だったので『もし自分に子どもがいたらこんな感じなのかな』と思いながら読んでいました。会話劇もテンポが良いですし、やりとりにこだわりも見えて『丁寧にやりたいな』と思いました。テレビ業界のあるあるも入っていて、このドラマのスタッフさんたちが『これ、あるある！』と言っていたのが印象的で、リアリティーがかなりあると思いました。そこも楽しんでいただきたいです！」

――役柄の印象や自分と似ている部分があれば、教えてください。

森川「美知留はドラマが好きで、好きだからこそ熱い気持ちがあるんですけど、気持ちだけが空回りして『それ言わなくてもいいんじゃない？』みたいなことを言っちゃう部分もある女の子です。そういうところは自分と似ているなと思いました。言わなくてもいいことをけっこう言っちゃうんですよね（笑）」

臼田「私はベテランディレクターなんですけど、彼女の華やかな印象とは裏腹に、一人になったときの孤独感は理解できるなと思って演じていました」

吉住「気弱な脚本家の佳代は、演じながら『言えばいいのに』と思うことがたくさんありました。でも、最後には言いたいことが言えて、爽快感もありました。と言いつつも、『そこまではやりすぎかな』って思うことも（笑）」

――本作の登場人物と過ごせるなら誰となにをしたいですか。

臼田「岡部（たかし）さんが演じた護間さんの少しカッコつけているようないないような芝居が絶妙で。『すごい嫌だけど、すごく好き』みたいな気持ちになったので、護間さんと飲みに行きたいです！（笑）」

森川「私は、美知留から面白いドラマを教えてもらいたいです。ドラマが好きな子で、家のセットにもDVDがたくさん置いてあって、面白いドラマをたくさん知っていそうなので」

吉住「佳代は『うじうじしていて嫌だな』と思ったんですよね（笑）。『プライベートのことをそんなに顔に出す？　周りに気を使わせちゃだめでしょ』って。なので、佳代にはスポーツさせたいです！」

森川「佳代は絶対しないですよ！」

吉住「スパルタにやりたいです。なんなら、川に突き落としたいくらい（笑）」

――印象的なシーンを教えてください。

森川「吉住さんと2人でのシーンで、信じられないくらいのケンカになってしまったんですよね（笑）。現場でやってみたら想像していたものと違って、『現場に行くと変わるってこういうことだな』と思いました。お互いが現場の空気感でヒートアップしちゃって」

吉住「そっちがそうくるならこっちもこんな感じでいきますけど、みたいなね」

臼田「他のケンカのシーンでも、台本に書いてある以上に増し増しでケンカしていたので『そんな言葉（脚本に）出てきたっけ？』って。私は『まぁまぁ』と止めなきゃいけない立場なのに、ずっと見ていたくなりました（笑）」

吉住「盛り上がりすぎて、臼田さんが止めてくれていてもケンカし続けてしまいました。普段人とケンカすることがないので、楽しんじゃいましたね」

森川「カットがかかったら、もう笑うしかなかったです（笑）。私はとにかくセリフの量が多くて、ずっと同じ場所でしゃべり続けているので、声の抑揚とか動きとかを意識していました」

吉住「撮影がギュッとしていたこともあって『半年分しゃべった』って言っていましたよね」

臼田「セリフは膨大なうえ、熱が入っているからテンションも普段と違ったね」

森川「吉住さんは気弱な脚本家だから、ぜんぜんしゃべらないんですよね」

吉住「そうなんです！　だから、『ラッキー！』って（笑）。でも、『すごいな』って思いながら見守っていました」

――撮影の合間もお話しされていたのですか。

吉住「撮影に入る前は『大女優のお二人……』と思っていたんですけど、お二人ともとてもきさくに話してくださって。私は自分の演技で精一杯だったのに、合わせて動いていただいたりもして、『演技って楽しいじゃん』って思わせていただきました」

――3人は世代も性格も違うという設定ですが、そういった関係についてはどう思いますか。

臼田「年齢や世代は違っても一緒に熱くなれる仲間もいるんだなということをリハーサル中に自然と感じられました。監督から役柄として『先輩風をもう少し吹かせて』って言われて『あ、そうだ！』とも思ったんですけど、一緒に一つのものを作る雰囲気が良かったです」

森川「年齢は違うけど、同じものを作るために集まって、プライベートの友達とは話さないことも話しました。これをきっかけに、プライベートでも年齢は関係なく人と仲良くなれそうだなと思いました。必要以上にツッコんでいくこともありましたし、すてきな関係性だなという印象です」

吉住「私は売れない脚本家役だったので、最初はテレビ局の3人の外側にいる気がしていたんですけど、ものづくりを通して真剣になることで踏み越えちゃいけないところにも踏み込む瞬間がありました。それくらい本気だからいいものが作れるのかなって。私は普段ピン芸人でそういうのから逃げてきて、普段は分からないので『こういうのって大事だな』って思いました」

――“訳アリ”事情をかかえる3人のお話ですが、みなさんが普段の仕事とプライベートの両立において、意識していることはありますか。

吉住「両立できなくなったとときは『そうなっちゃったな』と思って絶望します。芸人は30歳くらいにテレビに出られるようになるので、私はちょうど今キャリアをスタートできるようになったんです。でも、同い年の子は子どもを産んでたりしていて、まさに悩んでいるところです。『一日一日をしっかり生きていくしかないな』って思っています（笑）」

臼田「私も、両立なんて程遠くて……。仕事は自分である程度コントロールできるけど、子どもは急に熱を出したり思うようにいかないことも多いです。だからこそ仕事も子育ても、今この瞬間の選択を大切にしながら日々精一杯です」

森川「私は、人と会いたくないときが多いんです。でも、人と会わずに仕事だけをしていると視野が狭くなって自分のことしか考えられない嫌な性格になっていくので。どれだけ疲れていても、誰かに会うようにしています。嫌だったことを話さなくても、会うだけでも気分が晴れるんですよね。仕事だけに集中しすぎないように、分散するように、心がけています！」

――それでは最後に、視聴者へメッセージをお願いします。

吉住「いろんな女性の悩みがふくまれていて、共感できる部分もあると思います。最後はスカッとするコメディーになっているので、楽しんでいただけたらうれしいです！」

臼田「ドラマ作りの裏側を覗き見した気分も味わえると思うので、そこも楽しんでみていただけたら」

森川「会話劇なのでシチュエーションがあまり変わらないのですが、そこにいろんなドラマが合わさって、見ていけばいくほど面白くなります。最後まで見るのをやめずに、見てほしいです（笑）。ぜひ、ご覧ください！」