歌手・前川清（75）がメインボーカルを務めた歌謡グループ、内山田洋とクール・ファイブの小林正樹（こばやし・まさき）さんが、今月15日午前4時に老衰のため都内の病院で死去していたことが21日、発表された。81歳だった。葬儀・告別式は既に近親者のみの密葬で営まれた。

　小林さんはグループのリードボーカリスト・前川を見い出したことで知られている。1968年、長崎・佐世保市のナイトクラブで歌っていた前川をスカウト。クール・ファイブの一員に入れ、69年には6人組の内山田洋とクール・ファイブとしてのメジャーデビューにつなげた。デビュー曲『長崎は今日も雨だった』は大ヒット。同年のレコード大賞新人賞を受賞し、『NHK紅白歌合戦』に初出場した。

　75年4月からはフジテレビ系『欽ちゃんのドンとやってみよう！』に全員がレギュラー出演し、小林さんもコミカルな一面を披露。お茶の間に親しまれた。

　グループは87年に前川が脱退し、06年11月3日にリーダーの内山田さんが死去。同年の『NHK紅白歌合戦』では前川と小林さんら4人が集結し、クール・ファイブが復活して『長崎は今日も雨だった』を披露している。

　5人はその後も前川清&クール・ファイブとして活動。前川はソロとしての活動も精力的に行い、昨年デビュー55周年を迎えた。同2月、東京・中野サンプラザで記念コンサートを開催した際には、小林さんを含めた4人が駆け付けてグループのヒット曲を披露。同10月26日には、前川が佐世保市で開催したコンサートに小林さんを招いていた。

　小林さんはつえが必要な状態だったが、ステージで歌も披露。前川は当日のことを振り返り、「（小林さんは）根っからのステージマンなので、痩せてヨロヨロしながらも立派に歌を唄ってくれて会場が大歓声に包まれました。それが最後になってしまいましたが、今も雄姿が目に焼き付いています。小林さんありがとう。感謝しかありません」とコメントした。

○前川清

「これまで芸能界で仕事をしてこられたのは、クール・ファイブのメンバーに加えてくれた小林さんのお陰であり、私にとっての恩人です。この度の突然の訃報にはとても驚き、残念でたまりません。昨年の10月、私と小林さんの故郷、佐世保での55周年コンサートに体調不良の中、駆け付けてくれました。根っからのステージマンなので、痩せてヨロヨロしながらも立派に歌を唄ってくれて会場が大歓声に包まれました。それが最後になってしまいましたが、今も雄姿が目に焼き付いています。小林さんありがとう。感謝しかありません」

○森本繁

「小林さんとは、一番最初に出会って、仕事もプライベートもずっと一緒に過ごして家族以上にそばにいた人です。正直者で素直過ぎるので、生き方はあまりうまくなかったと思いますが、いい人でした」

○岩城茂美

「若い頃は仕事が忙しかったので、小林さんと森本さんと3人でいつも一緒にいました。こんなに早く逝っちゃって心残りです。もう少し生きてほしかった」

○宮本悦朗

「小林さんの素晴らしいお声が聴けなくなったので、リーダー亡き後、クール・ファイブも一層寂しくなります」