若手映画監督に贈られる『第5回大島渚賞』に40歳工藤将亮監督、国際映画祭出品作品が受賞

若手映画監督を顕彰する『第5回大島渚賞』が14日に発表され、映画監督の工藤将亮(40=くどう・まさあき)氏が受賞した。

『第5回大島渚賞』を受賞した工藤将亮監督
『第5回大島渚賞』を受賞した工藤将亮監督

授賞式前日には大島渚監督作品と共に記念上映も

 若手映画監督を顕彰する『第5回大島渚賞』が14日に発表され、映画監督の工藤将亮(40=くどう・まさあき)氏が受賞した。

 同賞は、一般社団法人PFFが2019年に創設。国際的活躍が期待される若手映画監督を表彰する。日仏合作映画『愛のコリーダ』や『戦場のメリークリスマス』など、多くの名作を生み出した大島渚監督のように、世界へ羽ばたこうとする次世代の新しい才能に対して贈られる。第1回から故・坂本龍一さんが審査員長を務めてきた。今回はこれまで審査員だった黒沢清監督が審査員長を務め、荒木啓子PFFディレクターと共に審査を行った。

 今回は工藤監督の23年公開作『遠いところ』が受賞対象作に。幼い息子を抱え、貧しさの中で必死に生きる17歳の母を描いた作品。沖縄を舞台に、青い海に囲まれた美しい島や伝統的な家族のつながりと共に、過酷な日常がリアルに映し出されている。同作は第56回カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭コンペティション部門に、日本映画として10年ぶりに正式出品を果たし、第23回東京フィルメックスでは観客賞を受賞。「貧困にあえぐ日本の性差別を、痛烈に告発する。溝口健二的な現代悲劇」(Variety)と称賛された。また第37回高崎映画祭で新進監督グランプリ、最優秀新人俳優賞(花瀬琴音)をダブルで受賞している。

 1983年生まれの工藤監督は、ビジュアルアーツ専門学校大阪を卒業後、大島監督に憧れ、松竹撮影所に入社。森田芳光監督、石井岳龍監督、山崎貴監督らに師事し、初長編監督作『アイム・クレイジー』(19年)が第22回富川国際ファンタスティック映画祭でNETPAC賞を受賞。長編2作目の『未曾有』(21年)がタリンブラックナイト国際映画祭Rebels with A Cause部門で正式上映された。

 授賞式は3月18日に東京・丸ビルホールで行われ、審査員長の黒沢監督から審査講評が発表される。また授賞式前日の3月17日には、『遠いところ』と大島監督作『少年』が記念上映される。

次のページへ (2/2) 【写真】工藤将亮監督が手がけた作品『遠いところ』
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