江口のりこが16年ぶり橋口亮輔監督作 一言のご近所役から主演に「監督はとても怖い人」

橋口亮輔監督(61)、俳優の江口のりこ(43)主演のCSホームドラマチャンネル開局25周年記念オリジナルドラマ『お母さんが一緒』(日曜午後10時)が18日から放送スタートする。演出家・脚本家のペヤンヌマキの同名舞台を原作に、親孝行のつもりで温泉旅行に連れて行った三姉妹の騒動を描くコメディー。橋口監督と主演の江口が16年ぶりのタッグを語った。

インタビューに応じた江口のりこ(右)と橋口亮輔監督
インタビューに応じた江口のりこ(右)と橋口亮輔監督

映画『ぐるりのこと。』以来、16年ぶりタッグ

 橋口亮輔監督(61)、俳優の江口のりこ(43)主演のCSホームドラマチャンネル開局25周年記念オリジナルドラマ『お母さんが一緒』(日曜午後10時)が18日から放送スタートする。演出家・脚本家のペヤンヌマキの同名舞台を原作に、親孝行のつもりで温泉旅行に連れて行った三姉妹の騒動を描くコメディー。橋口監督と主演の江口が16年ぶりのタッグを語った。(取材・文=平辻哲也)

 橋口監督の映画『ぐるりのこと。』では、江口が、主演のリリー・フランキー演じる主人公がたてた騒音にクレームをつける隣人を演じている。

 橋口監督が「『静かにしてもらえません』という一言の役だったので、よく受けてくれたなと思ったのですが、台本にはないやり取り、一瞬パーンと弾けるような場面が本当に良かった。真摯に役に向き合う方で、その後の活躍を見ていたので、お願いしました」というと、江口は「『よく受けたな』と言われましたけれど、オーディションでした。橋口さんのイメージはとても怖い人。撮影の日は出演者の方もすごく集中されていましたから、邪魔しないようにしよう、と。だから、一緒に芝居を作った感覚はなく、無事に終わったっていうことにホッとしただけ」と笑った。

 本作は、温泉旅行に来た三姉妹の泣き笑いの物語。江口が美人姉妹と言われる妹にコンプレックスを抱く長女・弥生、内田慈が次女の愛美、古川琴音が三女の清美、お笑いトリオ「ネルソンズ」の青山フォール勝ちが、清美のフィアンセ役を演じた。

 橋口監督は、原作の面白さを感じ、自らが脚本も手掛けた。ダメ元で売れっ子になった3人の出演者にオファーしたところ、スケジュールの合う瞬間があり、製作に入ることができた。

 大切にしたのは、リハーサル。最近のドラマではいきなり本番に入ることが多いと聞いていたそうで、本読み入れて4日間割き、撮影に15日間をかけた。

 江口も「そのリハーサルがすごく楽しくて、いろいろ考えたり見つけたりすることができた。撮影に入ったら、後はやるしかないと思い、撮影を乗り切れました。現場にはいろんな事情もありますが、やっぱり、リハーサルはあった方がいいと思いました。撮影は基本的に全部しんどかったですが、青山さんがいらっしゃる日は、監督がご機嫌だったので、そんな時は楽しかった」と振り返る。

 橋口監督は、リハーサルなしでも、プロの俳優はセリフを言ってくれるので、作品にはなるが、それでは「消耗されるだけのモノになってしまう」といい、作品には、生っぽいもの、ザラッとしたもの、心に引っかかる釣り針のようなものが必要だと語る。

「弥生さんは作品のテーマそのものも含まれている役なので、江口さんには生っぽい女の人にするように具体的な例を挙げて、話をさせていただきました。演出家が魂を与えるというけれども、それは無理。演出家のできることは、『ここに行きたいので、皆さん集まってください』と道を示すことだと思います」と話す。

 江口も「改めて、役者の仕事とは何かを改めて考えました。セリフを覚えて、そのシーンを成立させるだけでは面白くない。役の人物をどう見つけていくのかを、改めて橋口さんに教えてもらいました。橋口さんは、実際に自分で見せてくれるので、それが面白い。学校に通っている感覚があって、やっぱり、この仕事は楽しいなと改めて思うことができました」。

 家族のドラマを撮ったことで、新たな発見もあった。

 橋口監督は「作品を見たみなさんは、演出や芝居のことを言う前に、自分の家族のことを話されるんですよ。みなさんはなかなか口には出さないけれども、自分の家族のことが真ん中にあるんだなと思いました」といえば、5人きょうだいの4番目の次女の江口も、「家族って、面倒だなと思いましたね。もういいやと思っても、切り離せないところがあります。下の妹には、イヤなことを言うのは控えようと思いました」と笑う。

 原作者のペアンヌマキは完成作品を見て、涙を流していたそうで、橋口監督は「後で聞いたら、『母も妹も感動すると思います』と喜んでくれたので、一つの家族を救ったな、と思いました」と話していた。

『お母さんが一緒』は各話30分の全5話、アナザーストーリー1話の構成になっている。

□橋口亮輔(はしぐち・りょうすけ)1962年7月13日長崎県出身。大阪芸術大学を経て1985年に映画監督・脚本家として活動を始める。1992年に『二十才の微熱』で監督デビュー。1995年には『渚のシンドバッド』がロッテルダム国際映画祭でグランプリを受賞し、毎日映画コンクール最優秀脚本賞を受賞。2001年の『ハッシュ!』では第54回カンヌ国際映画祭に出品。2008年には『ぐるりのこと。』を手がけた。

□江口のりこ(えぐち・のりこ)1980年生まれ、兵庫県出身。2002年三池崇史監督『桃源郷の人々』で映画デビュー。ドラマ・CM・映画に次々と出演。2004年タナダユキ監督『月とチェリー』では本編初主演をつとめ注目を集める。ドラマ「時効警察」(EX)シリーズにレギュラー出演し個性を発揮。ベテランから新鋭監督まで多くの監督の作品に出演し活動の場を広げている。

ヘアメイク:鈴木彩
スタイリスト:清水奈緒美

『お母さんが一緒』(全5話+アナザーストーリー1話)
CSホームドラマチャンネルにて2月18日(日)スタート!毎週(日)夜10時
監督・脚本:橋口亮輔
原作:ペヤンヌマキ
出演:江口のりこ、内田慈、古川琴音、青山フォール勝ち(ネルソンズ)

ホームドラマチャンネル開局25周年を記念して企画・製作されたオリジナルドラマ。親孝行のつもりで、とある温泉宿に母親を連れてきた三姉妹。「母親のような人生だけは送りたくない」という共通の感情を抱える三姉妹の悲喜こもごもがブラックユーモアたっぷりに描かれる。

詳細はこちら
https://www.homedrama-ch.com/special/okasangaissho

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