【ブギウギ】スズ子、訃報に9秒無言の背景 NHK「台本…人形のように生気感じられない」
俳優・趣里が主人公・福来スズ子を演じるNHKの連続テレビ小説『ブギウギ』(月~土曜、午前8時)の第86回が2日に放送され、スズ子が女児を出産し、幸せな時間を過ごしている中、突然、愛助(水上恒司)の訃報を聞く衝撃的な内容が描かれた。幸せムードが一転して深い悲しみに包まれる激動の展開。制作統括の福岡利武氏が取材に応じ、幸せと悲しみを一気に演じた趣里の撮影時の様子や劇中、ショックでぼう然としたスズ子の無言の約9秒間のシーンなど舞台裏を明かしてくれた。
制作統括が明かす愛助の衝撃的な悲報の舞台裏
俳優・趣里が主人公・福来スズ子を演じるNHKの連続テレビ小説『ブギウギ』(月~土曜、午前8時)の第86回が2日に放送され、スズ子が女児を出産し、幸せな時間を過ごしている中、突然、愛助(水上恒司)の訃報を聞く衝撃的な内容が描かれた。幸せムードが一転して深い悲しみに包まれる激動の展開。制作統括の福岡利武氏が取材に応じ、幸せと悲しみを一気に演じた趣里の撮影時の様子や劇中、ショックでぼう然としたスズ子の無言の約9秒間のシーンなど舞台裏を明かしてくれた。
「愛助の死については、これまでしっかり積み重ねてきたことがありますので比較的自然な感じで撮影は始まりました。やはり、お芝居になると、今まで愛助のことを思ってきたこともあって、自然に出た表情といいますか、趣里さんが素直に感じたこと、思うことを表現したのかなと思います」
愛助の死を知った直後、スズ子がぼう然として約9秒間一言も言葉を発しないシーンにより、スズ子のショックの大きさが視聴者に伝わった。
「ショックを表現しているのですが、ショックでまさに何も言えないシーン。撮影はもっと長く撮影していますが、適度な長さを探りつつ、編集であの長さにしました。9秒もあったのは意外でした。もっと短いと思っていました」
見る人が9秒を短く感じてしまうほど物語に入り込み、スズ子の心情に胸を打たれるシーンだった。撮影は別撮りだったのだろうか。
「出産後の幸せな時間から愛助の死を悲しむ一連の流れの中で、アングルを変えて撮影しました。台本にまるで人形のように生気を感じられないと書いてありました。台本と趣里さんご本人の気持ちで表現できたと思います」
陰と陽を一気に表現した趣里。あらためて福岡氏に趣里の魅力を尋ねた。
「現場で置かれた状況をきちんと感じてお芝居していると思います。長くスズ子を演じておりますし、台本を読んで準備をして1年ぐらいはスズ子と愛助を意識してやっていますので、その中で感じることをとても大事にしていると思います。引き込まれる、共感できるお芝居になっているのは本当に素晴らしいと思います」
モデルとする笠置シヅ子さんはドラマと違い、出産前にパートナーの死を知った。ドラマでは亡くなったことを知ったのは出産後。理由を尋ねた。
「脚本の足立紳さんの中では亡くなったことを伝えるのは、出産後にしたいという思いがありました。しっかりと元気な赤ちゃんを産んでほしいと願う愛助のためにも伝えるのは産んだ後と話していたのがすごく印象的でした。愛助が亡くなるタイミングもかなり議論しましたが、生まれて亡くなってというのが、ドラマチックすぎて仕掛けが臭うという心配もありました。でも、足立さんは、劇的ではありますが、この流れが一番自然でしっくりくると話していました。生まれる前に愛助の死を伝えるのはスズ子にとって残酷過ぎると強く話していました」
劇的過ぎて仕掛けが臭うかも、という心配は無用だった。うまくいった理由は何だろう。
「やはり趣里さん、水上さんのお芝居のなせるわざだと思います」
愛助が亡くなる直前に書いたスズ子への手紙が愛助の声で読まれた。自身が亡くなった後もスズ子にしっかり生きてほしいという思いがあふれて感動的だった。演じた水上の様子も尋ねた。
「ここが最後ということで気持ちも入っていましたし、集中している印象が強かったです」