武尊「僕は1番のビビりです」 知られざるカリスマの本心「恐怖を抱えながら過ごしている」
今月28日に開催されるONEチャンピオンシップの4年ぶりの日本大会「ONE 165: スーパーレック vs. 武尊」(東京・有明アリーナ/ABEMA PPV ONLINE LIVEで国内独占生中継)。元K-1・3階級王者の武尊はONEフライ級キックボクシング世界王者のスーパーレック・キアトモー9(タイ)とタイトル戦を行う。「僕は1番のビビりです」。武尊が自身の強さの秘密について明かした。
今月28日にONEデビュー戦…いきなりのタイトルマッチ
今月28日に開催されるONEチャンピオンシップの4年ぶりの日本大会「ONE 165: スーパーレック vs. 武尊」(東京・有明アリーナ/ABEMA PPV ONLINE LIVEで国内独占生中継)。元K-1・3階級王者の武尊はONEフライ級キックボクシング世界王者のスーパーレック・キアトモー9(タイ)とタイトル戦を行う。「僕は1番のビビりです」。武尊が自身の強さの秘密について明かした。(取材・文=島田将斗)
当初はONEフライ級ムエタイ世界王者のロッタン・ジットムアンノン(タイ)とスーパーファイトを行う予定だった武尊。試合まで1か月が切ったところでロッタンのケガが判明し熱望していた試合は中止に。代わりにロッタンを倒しているキック世界王者のスーパーレックとタイトル戦を行うことになった。
今回がキック世界最強とも言われているONEでのデビュー戦だ。相手がロッタンでもスーパーレックでもやることは変わらない。バチバチのファイトスタイルと真逆の一面を明かす。
「僕の方が格上って言われてた試合だとしても、毎回試合前の数か月間、恐怖を抱えながら過ごしているんです。だからこそ強くなる努力をするし、最悪の事態の対処法も考えています。試合を観ているみんなは僕を強いし自信満々だと思ってるかもしれないけど、1番のビビりです」
K-1、負けなし、「THE MATCH 2022」までさまざまなものを背負ってきた。天心に敗戦後には精神障害を公表。完治するものではないが、現在は上手に付き合っている。SNSでは情報のシャットアウトの大切さをつづっていた。
「ここ数年で病気になったりして、メンタルの大事さを知りました。どれだけ体が疲れていなくても心が疲れちゃうと疲れた状態になってしまう。そのコンディションだと良いパフォーマンスもできない。それをどう改善すればいいかなって思った時に米国へ行って情報を遮断したんです」
SNSの普及でいろいろな声が本人に届くが、スマホから離れるだけが「遮断」ではない。自分に関わる人間も最小限にした。米国合宿では、会話したのはジムのファイター、体のケア担当ぐらいだと振り返る。
「ネットだけでなくて、いろんな人からの情報もなくす。それですごい心のコンディションが良くなりました。情報量が多いと、その情報1つ1つに対して考えて脳が処理してしまう。体力がそっちに使われちゃうんですけど、全部遮断すると対話するのは自分だけになる。
そうなって気が付けることってすごく多くて。『ここ疲れてたんだ』『ここ痛めてたんだ』『こういうことが嫌だったんだ』『こういうことが幸せなんだ』。自分と対話できるようになったことはすごく大きいです」
自然と表情が柔らかくなる。年間20日ほどしか雨が降らないというロサンゼルスが武尊を変えた。
「日本にいると、あまり幸せを感じることがなかったんですよ。練習はきついし、常にいろんなプレッシャーと戦っているし。他にも仕事があったり、常になにかに追われているような状態で。幸せを感じるとしたら、おいしいごはんを食べたり、友達と遊んだり……。
それが米国だと練習が終わって、外を歩いてボーっとしているだけで幸せを感じられた。そういうことが幸せなんだ! って気が付けましたね」
2023年は元K-1ファイターたちが、国内最大のイベント「RIZIN」で話題になった。中には薬物に手を染めるものいたが、“K-1のカリスマ”は元K-1にこう呼びかける。
「それぞれの人生があるので、僕はとやかく言うつもりはないです。でも、大事な格闘技に対する心だけは忘れないでほしい」
「K-1の強さを世界に」――。立ち技世界最強と呼ばれる団体でどんなデビューを果たすのか。激しくそして笑顔で打ち合う“あの姿”を世界の舞台で。武尊第2章がいま始まる。