2万円のコース、難民にラーメン… 挑戦を続ける名匠の矜持「いろいろ勉強させていただいた」
ラーメン店主がうまいと口をそろえる、“玄人もほれる”名店がある。全国のラーメン店主が投票する業界の表彰式「JAPAN BEST RAMEN AWARDS 2023」(同年12月開催)で2位を獲得した、らぁ麺 飯田商店(神奈川・湯河原町)だ。国内最大級のグルメサイト「食べログ」でもラーメンランキング1位(1月5日現在)を誇る、ラーメン好きなら誰もが知る超人気店。納得のいく一杯を追求し続けてきた、店主の飯田将太氏に2023年の振り返りと今年の展望を語ってもらった。
1週間分の来店予約は、開始まもなく完売も
ラーメン店主がうまいと口をそろえる、“玄人もほれる”名店がある。全国のラーメン店主が投票する業界の表彰式「JAPAN BEST RAMEN AWARDS 2023」(同年12月開催)で2位を獲得した、らぁ麺 飯田商店(神奈川・湯河原町)だ。国内最大級のグルメサイト「食べログ」でもラーメンランキング1位(1月5日現在)を誇る、ラーメン好きなら誰もが知る超人気店。納得のいく一杯を追求し続けてきた、店主の飯田将太氏に2023年の振り返りと今年の展望を語ってもらった。
21年から開催されている「JAPAN BEST RAMEN AWARDS」。全国の有名ラーメン店店主500名の投票により、日本の全ラーメン店の中から“本当においしいラーメン店”を選出する。飯田商店はこれまで2度、1位を獲得し今回も多くのラーメン店からの支持を得て、2位にランクインした。
開業当時は鶏だけをふんだんに使用したラーメンを提供。19年からは約1か月の準備期間を経てメニューを一新し、豚と鶏がメインの新たな商品を生み出した。リニューアル後も人気は絶えず、毎週火曜日に行われる1週間分の来店予約は、開始と同時にあっという間に売り切れてしまうほどだ。
「お客様から評価していただけるのももちろんうれしいのですが、同業者から選んでもらえるというのは本当にうれしいですね。これまでいろんな先輩を見てきて、当然今でも憧れ続けていますが、だんだん後輩たちも増えてきましたから、ちゃんとした仕事と姿を見せていかなきゃなと思います」と受賞の感想を率直に語った。
食べログやGoogleなどのレビューサイトやSNSの発達により、実際に店に足を運び、味を確かめた客の多くの声がネット上で投稿されるようになった。そういった“評価”と、常にしのぎを削る同じラーメン店店主からの“評価”は何が違うのだろうか。「やっぱり同業者の目線っていうのはプロ目線ですからね。そういう上で選んでいただけているというのは、お客様からのものとはまた別のものとして、本当に光栄ですよね」。
「いろんな挑戦」の24年へ
国内では新型コロナウイルスの流行が落ち着く一方、相次ぐ物価高に見舞われた23年。海外では各地で戦争が勃発するなど激動の年となったが、飯田氏にとってどのような1年だったのか。振り返ってもらおうと聞くと、「今年(23年)ってどんなんだったっけな……。忘れちゃうんだよな、過去のことって……(笑)」と頭をかいてから、こう切り出した。
「今年はいろんなプロデュースを手掛けましたが、いろいろ勉強させていただきました。また、ウクライナなどの難民の方々にラーメン作りを行っていますが、それを継続して何回もできたことは収穫になりました。これからもそういうことができる余力や気持ちを常に持っていたいですね」。
ラーメンを通して、さまざまな活動や支援を行ってきた飯田氏。そこでできたつながりも大事だったという。「ウクライナ難民の方へのラーメン作りを通してつながった後輩たちができたというのはうれしかったですね。最近では小麦の生産者さんに講演会を頼まれ、札幌に行った際にも後輩たちが駆け付けてくれて。他の店舗の慕ってくれる後輩たちとかっていうところの、ラーメンを通してのつながりっていうんですかね。いつ、どこに行ったって俺たちはラーメン作るよっていうスタンスを持とうとしてくれるやつらっていうのは、本当に貴重な出会いですし、かわいいですよね」と頬を緩めた。
昨年12月の受賞式では「24年はいろんな挑戦がありますので、どうぞ楽しみにしていてください」と、これからについて大きな動きをにおわせた飯田氏。改めてその内容について聞くと、「異業種の方とのコラボというのが、ちょっと目立ってあります。まず近々だと今月14日からフレンチ、中華、肉料理のお店とうちの4店舗でコラボします。1人2万円くらいのコースで提供する形を考えていますね。また2月には有名そば店『竹やぶ』(千葉・柏市)と一緒にコラボすることも決まっています。その先もすでに決まっていることはありますが、今はまだ言えません」と打ち明けた。
「難民に対してのラーメン作りっていうのは、ずっと続けているので、いろんな店主、業界にお声がけして、巻き込んでやっていきたいですね」と力を込めた飯田氏。いまや国民食となったラーメンは常に進歩し続けている。人気店同士がひしめき合い白熱する、そのシーンの先頭をひた走る名匠の動向に目が離せない。