春風亭柳枝発案「能登応援落語会・チャリ亭」発足 人間国宝・五街道雲助や「笑点」春風亭一之輔も二つ返事で出演

若手真打ちの柳亭小痴楽、春風亭柳枝、柳亭小燕枝が13日、東京・らくごカフェで会見し、復興支援プロジェクト「能登応援落語会 チャリ亭」を立ち上げることを発表した。「いても立ってもいられない気持ち」に突き動かされた柳枝が音頭を取り、猛スピードでチャリティー落語会10日間の顔付けに成功。日本全国に「チャリ亭」の輪を広げる起爆剤を目指す。

会見に登壇した柳亭小燕枝、春風亭柳枝、柳亭小痴楽(左から)【写真:ENCOUNT編集部】
会見に登壇した柳亭小燕枝、春風亭柳枝、柳亭小痴楽(左から)【写真:ENCOUNT編集部】

入場料やオークションの売り上げ100%寄付、出演料ノーギャラ

 若手真打ちの柳亭小痴楽、春風亭柳枝、柳亭小燕枝が13日、東京・らくごカフェで会見し、復興支援プロジェクト「能登応援落語会 チャリ亭」を立ち上げることを発表した。「いても立ってもいられない気持ち」に突き動かされた柳枝が音頭を取り、猛スピードでチャリティー落語会10日間の顔付けに成功。日本全国に「チャリ亭」の輪を広げる起爆剤を目指す。(取材・文=渡邉寧久)

 X-JAPANのYOSHIKI、歌手の浜崎あゆみ、SMAIL-UP.(旧ジャニーズ事務所)、メジャーリーガーの大谷翔平ら芸能界やスポーツ界の個人や団体が続々支援の声を上げる中、落語会の若手真打ちも手を挙げた。

「師匠方に出演のお願いの電話を次々させていただきましたが、即答で『出演します』でした。誰一人拒否した人はいません。むしろ声かけてくれてありがとう。ノーギャラなんですけどね、涙が出るような思いでした。噺家は立派なんだなって初めて知りました」と立案の中心人物の柳枝。「(コロナ禍に寄席の)クラウドファンディングで我々は救われた。その恩返しの意味もちょっとあります」と、今度は自分たちの番だと意識した。

「ラーメンをごちそうになりながら(柳枝に)頼まれました」という小燕枝、「私は電話一本でした」と会見を和ませる小痴楽の3人が番頭として顔付け(=出演者を決めること)を担当する。

 会場の無償提供を申し出てくれたらくごカフェ(神保町)、オフィスエムズ(赤坂)、ばばん場(高田馬場)の全面協力を得て、「ここ1週間ぐらいで」(柳枝)、プランを具体的に現実に落とし込むことに成功した。

 人間国宝の五街道雲助や「笑点」メンバーの春風亭一之輔や桂宮治ら豪華メンバーがそろうが、番頭の依頼にみな二つ返事で出演を引き受けてくれたという。追加公演も模索中だ。

 落語公演の後には毎回、チャリティーオークションを開催する。出演者の寄せ書きや名人のてぬぐいなどを出演者に持ち寄ってもらう趣向で、「非売品でお金で買えないものを出したい」と小痴楽。小燕枝が「2年前に真打ちに昇進したとき(に作った)半てんと後ろ幕とかを出したい」と明かすと、「半てん出しちゃうの! すごいね」と柳枝はびっくり。思い出として大切に保存する噺家がほとんどだからだ。そんな具合に何が飛び出すか分からないびっくり感で、観客の財布のひもを緩ませる。

 今回、スピード感を重視し開催にこぎつける「チャリ亭」だが、同時に重視しているのは「継続性」。

「現在は個人で動いている状態なので、10日間の公演で僕の役目はいったん終わりですが、理想を言うならば、都内の寄席が力を貸してくれたり、両協会(落語協会、落語芸術協会)がこういうプロジェクトを立ち上げてくれるといいなと思います」と柳枝は先々を見通す。全国で「チャリ亭」を開催する興行主や世話人が出てきて、支援の輪が広がることにも期待を寄せた。

次のページへ (2/2) 【写真】春風亭柳枝らが登場した会見の別カット
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