堀口恭司VS朝倉未来の構図が完成!? 日本格闘技界に新たな“流れ”は生まれるのか
「TOP BRIGHTS」旗揚げ戦(1月21日、群馬・オープンハウスアリーナ太田)のオンライン記者会見が8日に実施され、堀口恭司エグゼクティブプロデューサー(EXP)ら首脳陣と、参戦する日本人選手5人(1人は別の場所からオンライン参加)が出席した。
「どっかから力がかかっちゃうと」(堀口EXP)
「TOP BRIGHTS」旗揚げ戦(1月21日、群馬・オープンハウスアリーナ太田)のオンライン記者会見が8日に実施され、堀口恭司エグゼクティブプロデューサー(EXP)ら首脳陣と、参戦する日本人選手5人(1人は別の場所からオンライン参加)が出席した。(取材・文=“Show”大谷泰顕)
日本人格闘家として最高の実績を持つ、堀口恭司EXPが仕掛けるイベントとなれば、また、堀口の出身地である群馬県での開催という、他の格闘技イベントとはアプローチの仕方に変化を持たせてきた「TOP BRIGHTS」ともなれば注目されるのは当然だ。
しかしメインカード10試合のうち、日本vsタイによるムエタイルールの5対5決戦(大将戦は吉成名高vsジャオクントーン・ソーベッチタワン)には日本人が5人並んだものの、MMAマッチの5試合には、松嶋こよみがかろうじて日本人として名を連ねてはいるだけ。それ以外の4人はすべて外国人選手になっている。
これに関して堀口は、「日本人選手には出てほしいって何回も言っているんですけど、どっかから力がかかっちゃうとね(笑)。そこをちょっとクリアしてからって感じですね」と話していたが、今回が旗揚げ戦となる「TOP BRIGHTS」には、当然のことながらこれまでの実績がない。
となると、普段は日本に存在する他の格闘技団体に参戦している日本人選手からすれば、海のものとも山のものとも分からない「TOP BRIGHTS」のリングをまたぐのにはリスクを伴うのだろう。もちろん正式に他団体との契約で縛られた選手も一定数はいるに違いないが、それよりも日本特有の島国根性からか、おいそれとそこを飛び越えられない雰囲気があるようだ。
とはいえ、その足りない部分を補強してあまりある仕掛けが「TOP BRIGHTS」には存在する。まさかのジャパントップチーム(JTT)である。JTTの所属選手には朝倉未来や朝倉海がいる。つまり昨年から堀口が声高に繰り返してきた朝倉未来がCEOを務めるBreakingDown批判を横目に見ながら、「TOP BRIGHTS」はその先にあるJTTとの交流を視野に入れ始めた。
「TOP BRIGHTS」の山田義則CEOが話す。
「JTTとの関係に関しては、未来選手はこの間(一部メディアで実現した堀口との対談で)お会いしたときに、『TOP BRIGHTSでどうですか?』ってお話した時には、『(ファイトマネーは)高いですよ』という回答でした(笑)。具体的なお金の話はしてないんですが、JTT、堀(鉄平CEO)さんですかね、とは少しお話をさせていただいていまして、当然、堀口選手はATTにおられますので、JTTとATT(が闘う)っていう構造は面白いのかなあってこの間、お話させていただいております。『TOP BRIGHTS』としてはグローバルにやっていこうと思っているので、これから少し、年内に仕掛けられたらなあって思っています」
「成長過程を楽しんでください」(堀口EXP)
山田CEOいわく、目的は日本人選手の底上げを視野に入れた連携だという。
「当然、日本国内で闘えるカードがあれば用意したいんですが、海外選手のアグレッシブなものを取り入れて、強い日本人をつくりたいっていうのは朝倉選手も堀口選手も同じコンセプトだと思いますので、そこはチームとしてやってきたいと思っております」
こうなると、JTT対ATTによる日米決戦の開戦間近になるが、それはすなわち、朝倉未来と堀口恭司との代理戦争の幕が切って落とされる、ということ。
MMAに限って言うなら、ここ数年は堀口恭司と朝倉兄弟の活躍なくして、文字通り日本の格闘技界は語ることができない、いわばトップランナー。その両雄がBreakingDownの手法を巡って、真っ二つに分かれたイメージの対立構造を激化させた結果、誕生したのが「TOP BRIGHTS」だったはずなのに、実はその対立がこの後の前振りだったという話になれば、衝撃的な落としどころになる。
実際、山田CEOは、「年内に朝倉未来選手やJTTさんと何かを仕掛けたいとは思ってます。未来選手やJTTさんとは格闘技を盛り上げるために組みたいと思っております!」と素早い行動力で結果を残そうとしている。
「第1回大会が近づいてきて、全部カードが出そろってきて、この後、試合順とかが決まっていくんですけど、今のところ、すごくパッとしてないですよね(笑)。第1回だから慣れていないので、これが当たり前だと思っているので、TOP BRITGHTS自体もブラッシングされて光ってくると思うので、第1回大会を見て、成長過程を楽しんでください。応援よろしくお願いします」
会見の最後に堀口恭司EXPはそんな言葉で締めくくったが、その言葉には、堀口EXPの純朴な人柄の良さが感じられた。
たしかに圧倒的な人目を引くようなド派手なカードが組めたわけではないが、まずはありのままの『TOP BRIGHTS』を披露しながらともに成長していく。そんな格闘技イベントがひとつくらいあってもいいし、ひいてはそれが、既存の格闘技のワクから出ようとせずに独自の日本の文化を進めてきた“流れ”とは、まったく違った“流れ”を引き寄せる可能性は否定できない。
実はその道こそが最もエキサイティングかつ、今までになかった衝撃をもたらすことになれば、これ以上言うことはない。