ペット同乗可の航空会社でも「脱出の際には機内に置いて」の規定 客室にいても命を救えない可能性

羽田空港で2日に日本航空と海上保安庁の航空機が衝突した事故で、ペットの客室同乗を求める声が高まっている。発火した日本航空の機体からは、379人の乗客・乗員が全員脱出。尊い人命を救った一方で、機体にペット2件を預かっていたことを明かしたためだ。そんな最中、北九州空港に本社を置くスターフライヤーが、今月15日から客室同乗を全路線でスタートさせるが、緊急時の脱出にはペットを機内に置いていく決まりになっていた…。

羽田空港で起きた衝突事故からペット同乗の規約に注目(写真はイメージ)【写真:写真AC】
羽田空港で起きた衝突事故からペット同乗の規約に注目(写真はイメージ)【写真:写真AC】

高まる「ペット客室同乗」の声

 羽田空港で2日に日本航空と海上保安庁の航空機が衝突した事故で、ペットの客室同乗を求める声が高まっている。発火した日本航空の機体からは、379人の乗客・乗員が全員脱出。尊い人命を救った一方で、機体にペット2件を預かっていたことを明かしたためだ。そんな最中、北九州空港に本社を置くスターフライヤーが、今月15日から客室同乗を全路線でスタートさせるが、緊急時の脱出にはペットを機内に置いていく決まりになっていた…。

 日本航空広報部は事故から3日目の4日、ENCOUNTの取材に「現段階では、ペット客室同乗の検討には入っておりません」と回答した。3日夜、同社はペットを預けていた乗客が2人いたことを明かし、ネット上では「ペットを客室に」の声が高まっているが、事故に伴う乗客への補償金支払い(手荷物代、帰宅の交通費)を優先している状況だ。

 その状況下、フリーアナウンサーの笠井大輔、俳優の石田ゆり子、元乃木坂46の堀未央奈らが、SNSで「ペットの客室同乗」を求めるなどし、スターフライヤーのサービスが注目を浴びた。

 同社は2022年3月27日に国内で初めてペットの客室同乗を一部路線でスタート。飼い慣らされていること、十分にトレーニングされていること、手入れが行き届いていること(におい対策など)などを条件に「1匹に限って持ち込み可能」とし、今月15日から全路線全便に拡大する。

 だが、同社の公式サイトに示された「ぺットを機内に持ち込む際の遵守事項」には、下記の規定が示されていた。

「緊急時の酸素サービスはペットにはご利用頂けません。また、脱出の際にはペットは機内に置いて行かなくてはなりません」

 つまり、国内ではペットを客室に同乗できても、ペットの命が救えないことになる。

 また、日本航空は、緊急時でなくても「機内預かり」でペットが死んでいることを公式サイトに示している。19年~23年で計11例(犬6例、小鳥3例、猫2例)。機体には手荷物とは別にペットを預かる貨物室があり、客室内と同じ温度・湿度となるように空調管理を整えているものの、「気温や反射熱の影響を受けて高温になることも考えられます」「出発間際までは空調の効いた場所や日陰にてお預かりいたしますが、航空機への移動、乗り降りは屋外となるため、季節によっては温度・湿度に大きな変化が生じる場合がございます」と示している。さらには「飛行中は照明が消え、暗室となります。また気圧に関しては0.8気圧(2000mの山頂と同程度)となるため上昇中、下降中の気圧の変化で耳の機能などに悪影響を与える恐れがございます」「常生活とは大きく異なる輸送環境においては、ペットの健康状態にさまざまな影響を与える可能性がございます」と伝えている。

 航空会社側は、乗客の大事なペットの命を守るための努力をしている。日本航空も「ペットを安全に輸送するため、獣医師などの専門家のアドバイスをもとにペットの環境保全に全力で取り組んでおります」と記しているが、「慣れない環境はペットの健康状態にさまざまな影響を与える可能性がございます」としている。乗客は、それらを理解した上での手続きが求められている。

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