大河『光る君へ』は「チャレンジングな題材」 制作統括が語った平安時代と現代をつなぐテーマとは
昨年11月初旬、俳優の吉高由里子が主人公・紫式部(まひろ)を演じる今年のNHK大河ドラマ『光る君へ』(1月7日スタート、日曜午後8時)の合同取材会が行われ、制作統括の内田ゆき氏が出席。本作の見どころや吉高の魅力について語った。
紫式部の人生を描く大河ドラマ
昨年11月初旬、俳優の吉高由里子が主人公・紫式部(まひろ)を演じる今年のNHK大河ドラマ『光る君へ』(1月7日スタート、日曜午後8時)の合同取材会が行われ、制作統括の内田ゆき氏が出席。本作の見どころや吉高の魅力について語った。
本作は、世界最古の女性文学といわれる『源氏物語』を生み出した紫式部の人生を描き、きらびやかな平安貴族の世界と懸命に生きて書いて愛した女性の一生を大石静氏の脚本で物語を紡ぐ。
舞台は平安中期の貴族社会とあって、大河ドラマでは1976年放送の『風と雲と虹と』に次いで2番目に古い時代設定になる。さらに、女性が主役となると2017年放送『おんな城主直虎』以来、7年ぶり。内田氏は本作を「非常にチャレンジングな題材」と言い表して、描かれる世界観について説明した。
「古い時代を扱っており、かつ、貴族ばかりが出てきて合戦のない大河は初めてになります。ただ、作品を描くうえで学ぶこと、新しくすることもとても多く、平安時代の貴族の女性は意外にもアクティブです。特に宮中では、紫式部ものちになる女房と言われる女官たちが働いていますし、貴族の男性も馬に乗り、武官と呼ばれる弓を背負って宮中を警護するような役職もあるなど、私たちが思っているよりもはるかにアクティブな人たちでした」
また、その当時は「非常に大らかな時代でもあり、人々の関心が恋愛、出世、家族の幸せ」だったとして、「これこそ今の私たちが実は追い求めたいもの、興味があるものだと思います」と現代と通じるテーマ性があるという。
そんな本作の撮影は京都・平安神宮で昨年5月末からスタート。現在はスタジオでの撮影が進行し、全体の3分の1が撮り終わった。「雰囲気は非常にいいと思います」と現場の様子を明かし、主演を務める吉高をはじめとした俳優陣への信頼の言葉を並べた。
「出演者の方々も知らない時代を演じられる方が大半で、学ぶ気持ちと珍しさを楽しむ気持ち、そして、大石さんが心血を注ぎ込んで書かれている役になりきるという気持ちを大切にして楽しく演じられています。それには、やっぱり主演の吉高由里子さんの姿勢、とても明るくて優しい女性であり、柔軟なんですよね。どんな方も受け入れてくれる空気があって、私だけじゃなく演出スタッフもみんな『私たちの主役でよかったな』と思いながら、日々楽しく撮影しています。スタッフも描かれている時代を知らないことが多いですけれど、みんなで学ぶつもりで大河としては新しく、古典のことも取り入れていく気持ちで、毎回スタジオで何かの挑戦があるような撮影を続けています」
吉高の演技についても「やはりお芝居の確かさと、いろいろな表情が見えるところですね」と魅力を挙げ、「ご出演された作品を拝見していても、人の心の動きって、あまり決めつけられるものではないんだけれど、彼女の表情を見ていると、見ている人の心が演じる役の気持ちに沿っていきます」と表現。「吉高さんにお願いできて、とってもうれしかったですね」と、オファー時の思いを振り返った。
内田氏は吉高の扮装姿もお気に入りのようで、「あの日本女性の美しい長い髪と衣装などを描くと、おそらくお似合いになるだろうなという思いがありました。実際の姿も早く映像で見ていただきたいぐらい期待通りですので、ぜひ楽しみにしていただきたいなと思ってます」と笑顔でコメント。
また、本作は紫式部と柄本佑演じる藤原道長との関係も見どころの一つ。「ご覧くださる方々が主人公の紫式部や藤原道長のそれぞれの気持ちに、ご自身の気持ちを乗せて見ていただけたら、1年間を楽しんでいただけるのではないかと思います」と語り、「平安の衣装、調度品のきらびやかさも美術スタッフが非常に力を入れていますので、大河ファンの方でも初めて見るものがたくさんあると思います」と、細部へのこだわりもアピールした。