被災地に配送のパン「本当に感謝です」 大手3社の“業界総出”で緊急支援11万食
甚大な被害が出ている能登半島地震で、全国各地から食糧支援が行われている。ネットを中心に注目を集めているのが、パンの提供だ。山崎製パンのトラックから大量のパンが自衛隊員の手によって運び出される様子がSNS上で反響を呼んだ。実は、大手製パン業者による業界団体が取りまとめており、今回は計3社で11万5000食(3日現在)の緊急支援を行っているという。業界団体の一般社団法人日本パン工業会と山崎製パンに話を聞いた。
山崎製パン・敷島製パン・フジパンの3社が急きょ対応 工場で追加生産、業界フル稼働
甚大な被害が出ている能登半島地震で、全国各地から食糧支援が行われている。ネットを中心に注目を集めているのが、パンの提供だ。山崎製パンのトラックから大量のパンが自衛隊員の手によって運び出される様子がSNS上で反響を呼んだ。実は、大手製パン業者による業界団体が取りまとめており、今回は計3社で11万5000食(3日現在)の緊急支援を行っているという。業界団体の一般社団法人日本パン工業会と山崎製パンに話を聞いた。(取材・文=吉原知也)
両者によると、災害時は国からの要請を受け、日本パン工業会が窓口となって、加盟企業に問い合わせ。数量や供給体制などを調整し、指定された被災地の場所にパンを届ける仕組みだという。
今回は、震災から一夜明けた2日早朝に国から同会に緊急の食糧支援要請が入った。山崎製パン、敷島製パン、フジパンの3社が急きょ対応し、もともと能登方面に出荷予定だった分に加えて、名古屋にある工場で追加生産し、菓子パンや総菜パンを中心に、計11万5000食を届けた。
同会の担当者は「すぐ食べられるもので衛生的ということで、パンが緊急支援の要請に挙げられたと聞いています。配送は自社トラックや取引先業者が動いており、原材料メーカーや段ボールメーカーなどを含めて、業界が総出になって対応に当たっています」と話す。
山パンの広報によると、2日に7700個、3日に4万個のパンを、石川県産業展示館に届けたという。
また、同社は公式サイトで、大規模災害時の緊急食糧支援について、「被災地への緊急食糧の供給を行うことは、食品企業としての当社の社会的使命と考えています」と表明。そのうえで、「平成23年に発生した東日本大震災はもとより、それ以前の阪神・淡路大震災や新潟県中越地震、最近では熊本地震や北海道胆振東部地震等においてもお取引先様である販売店への納品と並行して緊急食糧の供給に全力で取り組み、避難を余儀なくされた方々に、パンやおにぎり、飲料等の救援食糧をお届けしてきました。これからも食生活の一端を担う企業としてしっかりとその使命を果たせるよう緊急食糧供給体制の整備に努力を重ねてまいります」とのメッセージを掲載している。
石川県の公式Xアカウントは3日、山パンのトラックからの積み降ろし作業の様子を公開。ネット上では、「本当に感謝ですね 私も震災の時に助けられました」「企業姿勢が素晴らしい」「このトラックを見るだけでホッとするのは私だけでしょうか」「おいしくて 優しいお気持ちのこもったパン 被災された皆さんが喜んでくださるといいですね」など、感謝と感動の声が広がっている。
家屋倒壊や道路寸断の大きな被害が出ており、余震も続いている。食糧支援は大きな課題となっている。同会には追加の支援要請が来ているといい、「対応中です。今後も継続してしていきたいです」。山パンは「要請に応じて、できる範囲で対応をさせていただきたいと考えています」と話している。