Perfumeの未来を感じさせた5年ぶりカウントダウン あ~ちゃん宣言「ゴールデンタイムが始まります!」
3人組テクノポップユニット・Perfumeが2023年12月30日と31日に神奈川・ぴあアリーナMMで5年ぶりとなるカウントダウンライブ「Perfume Countdown Live 2023→2024“COD3 OF P3RFUM3”ZOZ5」を開催した。両日ともにチケットは即完。超満員のファンで会場は埋め尽くされた。本記事では30日公演の様子をお届けする。
イギリス・ロンドン公演の“再演”となった「Perfume Countdown Live 2023→2024“COD3 OF P3RFUM3”ZOZ5」
3人組テクノポップユニット・Perfumeが2023年12月30日と31日に神奈川・ぴあアリーナMMで5年ぶりとなるカウントダウンライブ「Perfume Countdown Live 2023→2024“COD3 OF P3RFUM3”ZOZ5」を開催した。両日ともにチケットは即完。超満員のファンで会場は埋め尽くされた。本記事では30日公演の様子をお届けする。(文=中村彰洋)
今回のカウントダウンライブのコンセプトは、23年6月3日にイギリス・ロンドンで開催された単独公演「Perfume LIVE 2023“CODE OF PERFUME”」をアップデートしての再演だ。
3人がぴあアリーナMMのステージに立つのは、22年1月に開催された「Perfume LIVE 2022 [polygon wave]」以来約2年ぶり。コロナ禍で行われた同公演は収容率を50%に抑えるため、アリーナが全面ステージという異例の試みで行われたが、今回はアリーナを客席として開放しての実施。メインステージから花道が真っすぐと伸び、その先にセンターステージが配されたシンプルなレイアウトとなった。
開演定刻の5分前。3人の登場を待ちわびる客席からの手拍子が鳴り響き始めた。声出しも全面解禁となり、「あ~ちゃ~ん」「ゆかちゃ~ん」「のっちぃ~」と思い思いにメンバーの名前を叫ぶ人たちの姿も。定刻から3分ほど遅れて影アナウンスが流れると会場は静寂に包まれ、直後には割れんばかりの拍手が巻き起こった。
いよいよライブスタートの時。会場が暗転するとメインモニターに映像が流れ始め、『Moon』の歌詞を彷彿(ほうふつ)とさせる言葉の数々を3人が無機質に読み上げていった。続けて、ポリゴン化されたメンバーの姿などが流れていく。そして、ステージに3人が現れると『FLASH』から幕を開けた。3人のシンクロダンスに観衆が魅了される中、息をつく間もなく、2曲目の前奏が始まると客席からはどよめきが起こった。06年のリリース以降、ライブの鉄板曲として愛され続ける『エレクトロ・ワールド』だ。一気に会場のボルテージは上昇。あ~ちゃんの「いくよー!」の声に呼応し、客席からは「おい! おい!」と全力のコールが鳴り響いた。
盛り上がりそのままに3曲目の『レーザービーム』に突入。赤いレーザーが客席を照らす中、間奏では、のっちが「楽しんでますか~」と会場をあおる。次曲は『ポリリズム Pro Max』。Perfumeにさまざまなきっかけを与えた人気曲『ポリリズム』だが、この日は、23年に出演したスペインの大型音楽フェス・Primavera Soundやロンドン公演で披露していた中田ヤスタカ氏による新リミックスだ。前奏に合わせて花道を進んだ3人は、センターステージに到着したところで、おなじみのポリリズムポーズ。かしゆかの「Are you ready?」の呼びかけに、大歓声で応じた。
最初のMCであ~ちゃんは「やりきれなかったことや後悔を全部発散して、来年には持ち越さないようにしましょう!」と呼びかけた。さらに、今回のライブがロンドン公演の再演だと説明。「セットリストも『海外でやるんだったらこんなんじゃろ』ということで、ど頭から飛ばしております!」とアップチューンの連続での幕開けとなった理由を明かした。さらに、「自己紹介みたいなセットリスト。“Perfume the best”のライブになっている」と渾身のプログラムとなっていることを伝えた。
「男子ー!」「女子ー!」「そうでない人!」などのおなじみのコール&レスポンスでひとしきり盛り上げたところで、『∞ループ』に突入。曲の序盤でメンバーが舞台下に消えると、終盤には赤い衣装に着替えて再登場。そのまま『Spinning World』へとつなげた。『アンドロイド&』では青赤白の衣装へと早着替え。22年に行われた『PLASMA』ツアーでもおなじみのセットリストで見る者をくぎづけにした。
その後は、可動式の透過型スクリーンを用いや影とのシンクロダンスが特徴的な『FUSION』を披露。さらに国内ライブでは久々となる『edge』と続けた。あ~ちゃんは23年11月に尾てい骨を骨折していたことをラジオやインスタなどで報告していたが、その際に、座る振り付けのある『edge』をパフォーマンスすることは難しいといった内容の発言をしていた。ファンが心配そうに見守る中、何事もなかったかのようにクールにダンスを完遂した。
続いての楽曲は『CODE OF PERFUME』。3人が再びステージから消えると、スクリーンに流れる映像とともに「私、君、みんな」「earth、sun、moon」など今回のライブのキーワードが会場に響いた。そして、「心、体、自分」のフレーズとともにあ~ちゃん、のっち、かしゆかの順でそれぞれソロダンスを披露していった。ラストには、「君みたい、先みたい、月みたい」の言葉とともに満月だけがビジョンに残ると、そのまま白を基調とした衣装で『Moon』を披露した。
銀色の衣装にまたもや早着替えしたメンバー。次曲は、ロンドン公演で初披露していた『ラブ・クラウド』だ。楽曲終盤に花道を歩きセンターステージへと舞台を移すと、『映画 すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ』の主題歌として書き下ろされた最新曲『すみっコディスコ』をライブ初披露した。事前に呼びかけなどを行ったわけではなかったが、サビの「Watching Watching~♪」の部分では自然と観客たちも3人の振り付けに合わせて踊っていた。公式YouTubeで「みんなでおどろうダンスビデオ」が公開されていたこともあり、予習はバッチリだったようだ。
四つ打ちのBGMが流れ出すと、会場からは自然と手拍子が鳴り響く。Perfumeライブの代名詞とも言える「P.T.A.のコーナー」のスタートだ。定番のコール&レスポンスや歯磨きの歌を会場中のファンと楽しんでいく。さらに、お正月にちなんだダンスも“指導”。あ~ちゃんが発する「雑煮~雑煮~♪」のリズムに合わせて観客も、雑煮を食べるようなダンスを踊った。かしゆかの「みそ? しょうゆ? おすまし? 丸餅? 四角?」といった絶妙な合いの手に、あ~ちゃんは「愛が強すぎるんよ」と思わずツッコミ。会場は踊りながらも笑いに包まれた。その後も、「門松」や「鏡餅」「雪合戦」などのポーズを教え込まれ、あ~ちゃんの自由なリズムに翻弄されながらも、満員の観客たちが踊るという不思議な光景もPerfumeライブのハイライトだ。
さらにダンス指導は止まらない。先ほど披露したばかりの『すみっコディスコ』の振り付けも全員で踊ることとなった。あ~ちゃんが“スパルタ”で教える中、のっちはフロアに背を向けて、観客が分かりやすいようにレクチャー。のっちの機転の効いた行動には大歓声が送られた。
序盤は腕を組んで見ていた人も気付けば、3人に言われるがままに全身でダンスを楽しんでいる。あ~ちゃんが放った「今日を楽しむ。今を楽しむ。それがPerfumeのライブです」の言葉。とにかくメンバーがライブを全力で楽しむ。その思いが終盤に行くにつれて、観客にも伝播していく。そんな会場の一体感もPerfumeライブの魅力の一つと言えるだろう。
勢いそのままに、23年の紅白歌合戦でも披露したライブ定番曲『FAKE IT』で終盤戦へ突入。会場中の大ジャンプでフロアは大きく揺れた。そして、『チョコレイト・ディスコ』では定番の「ディスコ!」コールが会場中から響いた。
ラスト前のMCでかしゆかは「こんな大きな場所で声を出せて、私たちのベストだと思えるライブを一緒に作れて、本当に最高に幸せでした」と感謝。のっちも「私たちのライブのベスト盤みたいにものすごい強力なショー」と今回のセットリストを振り返った。一方で、会場に来ていた小さな子どもたちへ「帰ってお母さんたちに1から説明してごらん?」と呼びかけると、あ~ちゃんも思わず「宿題重っ!」とツッコミを入れた。この絶妙な掛け合いに、会場は笑いに包まれる。そして、のっちは「これからもPerfumeチームを見守ってくれるとうれしいです」と思いを真っすぐに伝えた。
最後にあ~ちゃんはあふれんばかりの感謝を伝えながら、「来年は辰年。年女が2人(かしゆか&のっち)もいます。最強でしょ! そして翌年は私、巳年です。ここからPerfumeはゴールデンタイムが始まります!」と“年女グループ”としてさらなる飛躍を誓った。
迎えたラスト1曲。あ~ちゃんが「チャンスは1回。せ~の!」と合図を送ると、満員の観客たちは手のひらを頭上に掲げ、スポットライトも客席を照らした。ライブのラスト曲として長年、大切に歌い続けている『MY COLOR』でみんなと一緒にダンスを踊り、大団円を迎えた。
最後にセンターステージでパフォーマンスを終えた3人。いつもの「それではPerfumeでした」の終了の合図とともに、ビジョンにはエンドロール、BGMには『Moon』が流れた。3人は「ありがとう」と感謝を伝え、会場中へ手を振りながら、メインステージに戻ると、大ボリュームの歓声と拍手を浴びながら、舞台下へと姿を消した。
『Moon』で始まり、『Moon』で幕を閉じた今回のライブ。3人が姿を消した会場には、最後にメンバーの声で「2023、これまでを 2024、いまを 2025、これからを」のメッセージが流れた。2024年、そして2025年とPerfumeの未来を感じさせた、約2時間のライブは幕を閉じた。
○「Perfume Countdown Live 2023→2024“COD3 OF P3RFUM3”ZOZ5」2023年12月30日セットリスト
Opening
1:FLASH
2:エレクトロ・ワールド
3:レーザービーム
4:ポリリズム
-MC-
5:∞ループ
6:Spinning World
7:アンドロイド&
8:FUSION
9:edge
10:CODE OF PERFUME
11:Moon
12:ラヴ・クラウド
13:すみっコディスコ
「P.T.A.」のコーナー
14:FAKE IT
15:チョコレイト・ディスコ
-MC-
16:MY COLOR