クラスメートへの自己紹介で「僕はプロレスラーです」 異色の15歳現役高校生レスラーの素顔

8歳のときに「小学生レスラー」としてデビューした夢虹(当時のリングネームは読み方そのままで「ゆに」)は、現在15歳で高校に通っている。その夢虹、コロナ禍において大きな出来事があった。それが、マスクマンへの転向、そして再び素顔へ。成長に合わせて転生を重ねた夢虹に、DDTのプロレスラーとしての野望と高校生活について聞いた。

こちらが高校生レスラー・夢虹の決めポーズ【写真:橋場了吾】
こちらが高校生レスラー・夢虹の決めポーズ【写真:橋場了吾】

DDTeeeen!!の盟友・イルシオンへの思い

 8歳のときに「小学生レスラー」としてデビューした夢虹(当時のリングネームは読み方そのままで「ゆに」)は、現在15歳で高校に通っている。その夢虹、コロナ禍において大きな出来事があった。それが、マスクマンへの転向、そして再び素顔へ。成長に合わせて転生を重ねた夢虹に、DDTのプロレスラーとしての野望と高校生活について聞いた。(取材・文=橋場了吾)

 コロナ禍はプロレス業界にも大きな影響を与え、「無観客試合」や「入場制限あり・声援なしの興行」などが行われるようになった。その中で、大阪在住の中学生である夢虹は、1年ほど試合ができなくなってしまった。この身を隠していた時期に誕生したのが、青いユニコーンのマスクを被ったエル・ユニコーンだった。ちなみに夢虹というリングネームは本名であり、これは夢虹の母親がロックバンド・ユニコーンのファンだったことに由来する。

「(前から知っていたファンには)バレていたとは思うんですが(笑)、正直マスクはやりにくかったですね。まず視界が悪いですし、試合中の表情も見えにくいので、僕の試合のスタイルでいうとお客さんに伝わりづらいかなと思いました」

 2021年11月に発足したDDTの10代プロジェクト『DDTeeeen!!』の実質的エースであったエル・ユニコーンだが、今年3月21日に後楽園ホールで開催された『Judgement2023~後楽園史上最長5時間スペシャル~』のDDTeeeen!!卒業試合でマスクと決別、夢虹として素顔で戦っていくことを宣言した。

「もともとマスクマンへの憧れはあって、メキシコのルチャリブレの選手のように、マスクをかぶってくるくる回りながら試合をしていくのはカッコいいと思っていたので、(ユニコーンの)スタイルで頑張っていこうと。ただ、マスクをかぶり続けるか、素顔になるか、選択肢を与えられたら脱ぐことを選びました」

 しかし、DDTeeeen!!卒業試合にともに臨んだ盟友ともいえるイルシオンは、マスクをかぶり続けることを選んだ。

「イルシオンのマスクは(ユニコーンのマスクと違い目も口もふさがっているので)しんどいはずなんですよ。だからこそ、その選択は凄いなと。僕はイルシオンのスタイルやキャラクター的にマスクをしている方が、カッコいいし似合っているなと思います。DDTeeeen!!の練習はもの凄くきつくて、最終的に残ったのが僕とイルシオンだけだったので、仲もいいし絆も深いんですが、ことプロレスになると絶対に負けたくないライバルですね。僕の試合が組まれてなくてイルシオンの試合が組まれていると悔しいし、その逆だとイルシオンも悔しいと思うんですよ」

 2023年1月から2月にかけて、DDTでは若手のみによる『D GENERATIONS CUP』を開催した。その中に、イルシオンはノミネートされたが、エル・ユニコーンの名前はなかった。

「そのタイミングは僕の高校受験と重なってしまって……それが凄く悔しくて、イルシオンには正直”嫉妬”しました。僕はマスクを脱いでから試合が増えてきているので、イルシオンが”嫉妬”するのは痛いほど気持ちがわかりますね」

 そのイルシオンは、DDTと同じくCyberFightグループのガンバレ☆プロレスが2024年1月4日に東京・板橋グリーンホールで開催される『2024年ガンバレ☆闘い始め』のカードとして中村宗達vs夢虹vsイルシオンを発表した際に、自身の「X」ではっきりと「嫉妬」という言葉を使っている。中村はDDTeeeen!!の練習にも参加しながら、ガンプロの練習にも参加し、そのままプロデビューを果たした注目株だ。

「この3人がガンプロというファンの方が近い空間で戦うというのは、僕の中では凄くいいなと感じています。今の僕は、この試合に向けて頭がいっぱいになるくらい楽しみにしています」

今年3月にマスクを脱ぎ、素顔で再び戦う決意を固めた【写真提供:DDTプロレスリング】
今年3月にマスクを脱ぎ、素顔で再び戦う決意を固めた【写真提供:DDTプロレスリング】

入学したての高校の自己紹介で「僕はプロレスラーです」

 現在の夢虹は、出身地の大阪から東京に拠点を移し、現役高校生レスラーとして活動している。夢虹の高校生活はどういうものなのだろうか。

「入学してクラスが決まって、最初の自己紹介のときに『プロレスラーです』と言っちゃいました。僕は人見知りで友達作りが上手ではないので、話すきっかけになればいいなと思って。そうするといろいろなルームメイトが話しかけてくれて、友達になって、という感じです。高校になってからは、まだ友達が試合に来てくれていないので、皆に見てもらいたいですね」

 最後に夢虹に今の野望を聞いてみると……。

「今のKO-D無差別級のチャンピオンは上野(勇希)さんですが、キッズレスラーのときから一緒に行動していて、練習も見てもらうようになって……憧れているレスラーの一人ですね。だからこそ、高校生の間にKO-D無差別級王者になりたいです。竹下(幸之介=現KONOSUKE TAKESHITA)さんが持っている最年少戴冠記録が21歳なので、その記録を破りたいですね」

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