15歳にしてすでにプロレスキャリア7年、現役高校生レスラー・夢虹はいかにして誕生したのか

飯伏幸太、ケニー・オメガ、KONOSUKE TAKSHITA。DDTでデビュー、もしくは主戦場にしていた彼らは、現在AEW所属(TAKESHITAはDDTとダブル所属)として海外マットで大活躍中だ。TAKESHITAは17歳のときに「高校生レスラー」としてデビューしたが、さらに9年早い8歳のときに「小学生レスラー」としてデビューしたのが夢虹(当時のリングネームは読み方そのままで「ゆに」)だ。高校1年生・15歳にしてキャリア7年の夢虹に、彼のプロレス人生のスタートを聴いた。

現役高校生レスラー・夢虹のコスチュームは学生服風【写真提供:DDTプロレスリング】
現役高校生レスラー・夢虹のコスチュームは学生服風【写真提供:DDTプロレスリング】

母に連れていかれたプロレスを見て目覚め、8歳で入門を直談判しデビュー

 飯伏幸太、ケニー・オメガ、KONOSUKE TAKSHITA。DDTでデビュー、もしくは主戦場にしていた彼らは、現在AEW所属(TAKESHITAはDDTとダブル所属)として海外マットで大活躍中だ。TAKESHITAは17歳のときに「高校生レスラー」としてデビューしたが、さらに9年早い8歳のときに「小学生レスラー」としてデビューしたのが夢虹(当時のリングネームは読み方そのままで「ゆに」)だ。高校1年生・15歳にしてキャリア7年の夢虹に、彼のプロレス人生のスタートを聴いた。(取材・文=橋場了吾)

 夢虹は2008年2月に大阪で生まれた。彼が最初にプロレスに触れたのは、5歳のとき。大阪を拠点とするプロレスリング紫焔がプロレスとの初の接点となった。

「紫焔は月1回、上本町で無料興行を行っていたのですが、プロレス好きの母親と一緒に見てプロレスにハマりました。やっぱり空中技に魅了されました。当時カポエイラを始めたか始めてないかのときくらいで、とにかくくるくる回る動きが好きだったのですよね。もともとは歌って踊れるアイドルを目指していた時期もあります」

 プロレスと出会ってからは、家で”独学”がスタートする。

「プロレスを見始めてから、初めて家のベッドでバク宙をやってみたらできてしまって……。ムーンサルト・プレスも誰かに教えてもらったこともなく、独学でできるようになりました」

 その後、夢虹はとあるプロレスラーの試合にどっぷりと魅了されることになる。

「紫焔をきっかけにいろいろな団体を見るようになって、新日本に出ていた飯伏(幸太)さんにがっつりハマってしまいました。その飯伏さんがDDTにも出ている(当時の飯伏は新日本とDDTのダブル所属)ということで初めてDDTを見に行きました。紫焔のキアイリュウケンエッちゃんも出るのも、DDTに行くきっかけになっていたんですが、そこで見たDDTがとても面白くて『DDTに入りたいな』と思うようになりましたね」

 夢虹が初めて見たDDTの大会というのが、2015年9月13日に大阪府立体育館第二競技場で開催された『大阪ベイブルーススペシャル2015』。セミファイナルがアントーニオ本多の保持するDDT EXTREME王座にヤス・ウラノが挑戦し、メインイベントでは”ゴールデン☆ストームライダーズ”の飯伏&佐々木大輔が持つKO-Dタッグ王座に、今を時めく竹下幸之介(現TAKESHITA)と遠藤哲哉が挑戦するという、DDTの持つ魅力が凝縮されたマッチメイクがされていた。

「ほかの団体とは全く違うプロレスでしたね、DDTは。選手たちもお客さんも『楽しそう』というのが一番印象に残りました。プロレスラーになるのは、一般的には高校を卒業した18歳のタイミングだと思うんですが、10年も待てなくなってしまって。それでDDTを何回か見に行って、あるとき直接高木(三四郎大社長)さんに『プロレスラーになりたいんです』と直談判しました」

15歳にしてキャリア7年は大きな武器になる【写真:橋場了吾】
15歳にしてキャリア7年は大きな武器になる【写真:橋場了吾】

入門テストをパスし「小学生レスラー・ゆに」が誕生

 小学校低学年の子から「プロレスラーになりたい」と言われたときに、普通なら「もう少し大きくなってからね」と返答するだろう。そこは一味も二味も違うDDT。高木は夢虹を入門テストに呼んでしまう。

「入門テストは京都KBSホールで、試合前に受けました。体力測定はHARASHIMAさんが見てくれて、『一発芸』(都市伝説化していたDDTの入門テストの課題だが、実際に行われていることが判明)はいろいろな選手が見に来ていました。僕はいつも熊のぬいぐるみとプロレスごっこをしていたので、それをリング上で披露しました。フィニッシュはムーンサルトをやったんですが、選手たちも湧いていましたね」

 入門テストをパスした夢虹は、学校があるときは大阪、夏休みなど長期休暇は東京という生活を始め、2016年12月4日、8歳でデビューした。DDTが大阪府立体育館第1競技場で開催した『大阪オクトパス2016~浪花節だよプロレスは~』の第4試合目、カードは入江茂弘&ヤス・ウラノ&ゆにvs大石真翔&勝俣瞬馬&MAO。入江がMAOをビーストボンバーからのエビ固めで下している。

「デビュー戦はめちゃくちゃ緊張しましたね……。試合内容は緊張のし過ぎであまり覚えてないです。とにかく会場が広かったなと」

 月に1回ペースで試合をしていた夢虹に大きな転機が訪れる。2020年にコロナ禍が始まり、DDTの試合数が一気に減少する。大阪在住の夢虹の試合数も必然的に減ってしまう。そこで立ち上がったのが、DDTの10代プロジェクト『DDTeeeen!!』だった。

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