新幹線の手荷物、予約なしで乗ると追加料金のケースも…西と東で違う持ち込みサイズ
新幹線がごった返す年末年始の繁忙期がまもなくやってくる。帰省客に旅行者、外国人観光客と、乗客の持つ手荷物も大型化してくるシーズンだが、手荷物はどこに置けばよいか。近年新幹線に新たに加わったルールなどを整理する。
近年新幹線に新たに加わったルールを整理
新幹線がごった返す年末年始の繁忙期がまもなくやってくる。帰省客に旅行者、外国人観光客と、乗客の持つ手荷物も大型化してくるシーズンだが、手荷物はどこに置けばよいか。近年新幹線に新たに加わったルールなどを整理する。(取材・文=大宮高史)
東海道・山陽・九州・西九州の各新幹線では、2023年5月24日から「特大荷物コーナーつき座席」のサービスがスタートしている。これは、大きな荷物を持った乗客向けに、車内のデッキに設置した大型の荷物収納コーナーを使える専用の指定席を販売するもの。この4路線ではすでに、指定席車両の座席最後部後方に大きな荷物を置ける「特大荷物スペースつき座席」を導入している。いずれも事前予約をしていれば、手数料はかからない。
従来、各車両最後列の座席後方の空間は特に用途はなく、いわば誰でも使える空間だったが、今年から車両を順次改造し、この空間を最後列座席とセットで特大荷物を持つ旅客に提供している。並行して、最後列の座席は特大荷物を使う旅客向けとなった。
では「特大荷物」とはどれほどのサイズか? JR東海・西日本・九州では、3辺の合計が160センチ以上250センチ以内と規定している(250センチを超越えると持ち込み不可)。これは国際線航空機で貨物室に有料預入となるサイズに相当すると説明しているが、航空各社の機内持ち込み可能な荷物サイズはおおむね3辺の合計が115センチ以下なので、実際は航空機よりは事前予約なしで持ち込めるスーツケース類のサイズは大きい。
東海道・山陽新幹線の主要駅には今、空港のように「荷物サイズ測定台」が設けられていて、自分の荷物がこのサイズに該当するかどうか確認できるようになった(スポーツ用品や楽器・車いす・ベビーカーなどについては、事前の予約は不要である)。
東海道・山陽・九州・西九州の4新幹線ではこのように、3辺の合計が160センチ以上でなければ特別な予約なしに車内に大きな荷物も持ち込めるが、当然荷物棚に置くか、パーソナルスペースが狭くなるのを承知で座席の前や下に置かざるを得ない。とはいっても荷物棚は、東海道・山陽新幹線のN700系・N700A・N700Sで幅45センチが確保されていて、海外旅行用の大型のものでないかぎり荷物棚に載せても耐えられる。
しかし片側3列ないし2列の座席に荷物棚は窓側にしかないので、自分の列の棚が埋まってしまうこともあり得る。その場合でもデッキの特大荷物スペース(そもそも切符購入者でないと解錠できない)や、車内最後部の特大荷物専用スペースは使えない。JR東海は手荷物の取り扱いやマナーについては「『特大荷物のお持ち込みルール』をご理解の上、特大荷物に該当しないサイズのキャリーバッグ・トランク等は周囲の方へ配慮してのご利用をお願いします」と取材に答えている。
関東から西の新幹線では近年こうして手荷物のルールが整備されたが、北に向かう新幹線では「新幹線専用」のルールはない。主にJR東日本が運行する東北新幹線と北海道・上越・北陸・山形・秋田の各新幹線では、大型荷物を持った旅客向けの切符はなく、手荷物は3辺の合計が250センチ以下、重さ30キロ以下のものを2個までであれば持ち込みができる。これは在来線も含めたJR全線での持ち込み可能な荷物の規定と同じもの。主力車両のE5系・H5系・E6系・E7系・W7系のいずれの客室内にラック式の荷物置き場があり、こちらは自由に利用可能なスぺースだ。
荷物棚と共有の荷物置き場、という形態は、『成田エクスプレス』『スカイライナー』『はるか』『ラピート』などの空港アクセス特急にも共通している。東北・北陸方面の新幹線はもともと雪国を走るために、スキー・スノーボードを持った旅客を想定して、過去の車両にもデッキに荷物収容スペースを設けていたから、共有スペースを譲り合う慣習が続いてきた一面もあるようだ。
飛行機のように厳密な手荷物検査はないが、「東海道から西は三辺の合計160センチ以下であれば予約・追加料金なし」「東北・上越・北陸・北海道は在来線と同等」と覚えておくと分かりやすい。利用者同士譲り合っての旅を心がけたい。